魔女の迷宮 B11 - 2

先手を取ったのは巨大ゴースト『魔女』だった。

数百本を越える炎の矢が現れ私たちに降り注ぐ。なんていう規模だ、魔法使い10人分はあろうその攻撃を左右に大きく回避して逃れる。さっきまで私たちの居た場所の床が真っ赤に焼ける。

今度はこちらの番だ!左右から挟みこんで同時に魔法を打ち込む。が、それは両手のひらで防がれてしまう。

「本命はこっち!!」

派手な魔法で気をそらし、一瞬にして『魔女』の目前に迫る。

ゴーストをも切り裂ける魔力を込めた私の剣が、無防備となった『魔女』の胸に突き刺さった。が、しかし、生物と違って明確な急所の無いゴーストにはこれでは致命傷とならない。

怒り狂った『魔女』は両腕を振り回し、私は距離を取ってマキと合流する。


「よし!でっかいやつ行こう!」

「はい!」

一気に勝負を決めるべく、大技の体勢に入る私達。

『魔女』 は再び炎の矢を生み出して、今度は広範囲に、しかも時間差を付けて放ってきた!そして最後の矢を発射するまでにまた新たな矢を生み出し続ける。

マキと私はそれぞれ降り続く炎を掻い潜りながら呪文を唱え、剣気を溜める。

二手に分かれて広間を半周し、反対側で再会した瞬間、私たちの攻撃が完成する!


『スピリット・エクスプレス!!」

『破魔雷神剣!』

マキの放った魔法と私の巨大化した刃が『魔女』に直撃!

果たして『魔女』は苦悶の表情を浮かべながら消滅していった。


「やった!」

「勝てましたね、ソティアさん!」

かなりの強敵ではあったけど、なんとか倒すことができた。

あいつは迷宮の主だった魔女の幽霊だか怨念だか分からないけれど、このフロアが凍結封印されていたことで霧散せずその姿を保っていたんだろう。

ともあれこれで本当にダンジョンクリアだね。


そう思った瞬間、膨大な魔力の奔流が私たちを襲った。

「……くっ!」

咄嗟に張った魔法シールドの向こう側で、『魔女』が急速に再生していくのが見える。

まだ倒せていなかったのか!とりあえずこの攻撃を凌いだらもう一回体勢を立て直して……しかし。

「攻撃が……終わらない!?」

『魔女』の攻撃は終わるどころか徐々に勢いを増してゆき、徐々に2人ともシールドが押され始めた。


このままだと……まずい!

死の影が、忍び寄ってくる。

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