番外:諸外国軍の装備

国家社会主義陣営(ファシズム圏)(不完全)

●ナチス・ドイツ

・モーゼル HSc67(Mauser HSc 67)

 同社の小型拳銃HScのマイナーチェンジだが、史実のH&K社の自動拳銃HK4と同一である。


・ワルサー VP71(Walther Vollautomatische Pistole 71)

 ワルサー社が「兵器購入予算をあまり取れない諸国向けの銃器」として、大戦中に実現する事の無かった「簡易武装計画(Primitiv-Waffen-Programm)」内の「国民拳銃(Volks pistole)」のコンセプトを受け継ぐ形で開発した、世界初の実用ポリマーフレーム拳銃。

 使用弾薬は9㎜×19弾、装弾数は18+1発。作動方式は変則ストライカー方式のストレートブローバック。

 そこそこの生産数と配備実績を持つが、お世辞にも性能や信頼性は、先進国で使用されている高性能・高品質な自動拳銃には及ばぬ「安かろう悪かろう」程度であり、冷戦終結後は流出した生産設備を利用した無断コピー品が、テロ組織や犯罪組織に出回った。また、南米及びアフリカの紛争地帯で鹵獲された本銃が米本土に行き着き、1982年にナイツ・アーマメント・カンパニーが本銃を参考にしたポリマーフレーム自動拳銃「PHG-80」が開発、資本主義圏内で販売される。

 史実のH&K VP70に相当しますが、本世界観ではH&K社が存在していないのでこの様な形となりました。

 外見のイメージはアメリカのハイ・ポイント社の自動拳銃「JHP」若しくは「JCP」です。因みにコイツは「サタデーナイトスペシャル」と呼ばれる安価で粗悪な銃の一つで、画像検索すると割かし破損した状態の画像が見掛けられます。


・ワルサー P76(Walther Pistole 76)

 同社の傑作自動拳銃P38の発展・後継型となる軍用自動拳銃。外見は史実のP5に酷似しているが安全装置が異なり、スライド後部にP38と同様のデコッカー兼用マニュアルセイフティを有する。左側排莢なのはそのまま。

 派生型として警察仕様の「P76K」が存在し、全長はP5Cと同程度まで短縮、安全装置もデコッカーのみと成っている。

 史実のP5と最も異なる点は、軍用と警察用の順番が逆と成っている点である。


・ワルサー P88(Walther Pistole 88)

 P76の後継となる軍用自動拳銃。本銃はP38以来続いていたプロップアップ方式を廃し、ブローニングタイプの銃身閉鎖機構(ショートリコイル)を取り入れ全く新しい設計により開発された。P76で好評を受けたデコッキングシステムやダブルアクションメカニズムは受け継いでおり、従来のワルサー社製品と違い、ダブルカラムマガジンを採用しているため装弾数は15発と大幅に増加した。

 軍に採用されたという以外は史実のワルサーP88と同じですが、外見のみP88コンパクトやP88ポリスと同じく、スライドと同じ長さのフレーム、スライド後部にデコッカー兼用マニュアルセイフティを有する形と成ります(逆に警察仕様はマニュアルセイフティが無く、デコッカーのみ)。


・ワルサー P92(Walther Pistole 92)

 同社のP88の後継となる軍用自動拳銃。ワルサー初のポリマーフレームオートであり、ナイツ社のPHG-80の影響が強く見られる。ただし冷戦終結に伴う軍縮で配備予算が足りず、特殊部隊等に優先的に配備されている。

 モチーフはワルサーP99ですが、スライド後部のデザインは同社のP22と同じハンマー式撃鉄・デコッカー兼用マニュアルセイフティで、一部設定にH&K P8を含みます。


・モーゼル StG49(Mauser Sturmgewehr 49)

 大戦中のMKb42(H)、MP43、StG44からなるハーネル突撃銃とその代替であるモーゼルStG45の後継としてドイツ軍に配備された突撃銃。StG45から派生する形でスペインのセトメ研究所の協力の下で完成。生産にはラインメタル社も参加している。

 本世界観ではH&K社が存在しない事を含め、本銃は史実のG3に相当する……筈だが、フルサイズの7.62㎜×51NATO弾を使用するG3と異なり、短小弾である7.92mm×33クルツ弾を使用する(弾倉も共通)為、むしろG3の7.62㎜×39弾仕様であるHK32に近く、運用形態もハーネル突撃銃やAK-47に近い。命中精度はローラーロッキングによるディレードブローバック方式ゆえハーネル突撃銃やAK-47よりも高く反動も少ないが、低初速(685m/s)の短小弾の為有効射程は350m程度とされる。ジャングルや砂漠等の過酷な環境下での信頼性には少々欠けるものの、市街地や屋内での戦闘では最も強い突撃銃と評されている。

 派生型として、カービン仕様の「StG49K」、HK21及びHK23と同じベルト給弾機構を持つ軽機関銃仕様の「MG49」、HK11及びHK13と同じマガジン給弾式軽機関銃仕様の「MKb49」が存在し、史実のGRシリーズに相当する特殊部隊仕様も存在する。また、初期型では照準器・グリップ・ストック等の形状がStG44及びStG45に類似した物と成っていた。


・モーゼル StG68(Mauser Sturmgewehr 68)

 StG49の小口径高初速弾仕様。ガイアナ戦争で実証されたAR-15や二四式突撃銃等に用いられる小口径高初速弾の優位性に対抗して開発された。

 派生型として、カービン仕様の「StG68K」、HK23と同じベルト給弾機構を持つ軽機関銃仕様の「MG68」、HK13と同じマガジン給弾式軽機関銃仕様の「MKb68」が存在し、史実のGRシリーズに相当する特殊部隊仕様も存在する。

 使用弾薬は4.6mm×36弾。

 史実のHK33に相当しますが、基となったStG49がフルサイズ弾ではなく大口径短小弾を使うので、むしろAK-47に対するAK-74の様な立ち位置です。


・モーゼル Gew50(Mauser Gewehr 50)

 ワルサー Gew43後継となる軍用半自動小銃。StG49及びG3と同じローラーロッキング・ディレードブローバック方式を採用しているが、G3やFALと異なり伝統的な木製ライフルストックを有している。その為「ドイツ版M14」とも言うべき小銃である。構造や外観等は、史実のH&K社製民生用半自動小銃であるHK770(狩猟用・308口径)、HK940(狩猟用・30-06口径)、SL7(競技用・308口径)達とほぼ同じ。

 使用弾薬は7.92mmx57モーゼル弾仕様。フルサイズ弾を使用するバトルライフルに分類される。


・モーゼル MSG72(Mauser Militärisches Scharfschützengewehr 72)

 Gew50を原型とする軍用狙撃銃。史実のPSG-1やMSG-90に相当するが、運用形態はスプリングフィールドM21やドラグノフSVD等に近い。

 初期型では精度の高いGew50に高倍率スコープを付けただけだが、改良を重ねるにつれバイポッドや可変チークピースの追加、銃身のフリーフローティング化、サムホール付きグラスファイバー製ストック・ハンドガードへの交換等が施されていった。外見は史実で試作に留まったSL-7 Matchと大体同じ。

 諸外国が21世紀に入ってから高精度の半自動狙撃銃を開発するまでは、本銃が実用的半自動狙撃銃の筆頭だった。


・シュタイヤー・マンリヒャー MPi57

 オーストリア(アンシュルス)製の短機関銃。ステアーMPi69と同様の物だが、史実より開発・生産が早い。

 史実のMP2(IMI Uzi)に相当する形で配備された。当初は指揮官の携帯火器として運用されていたが、MP66の配備後は戦車兵の護身目的に戦車に搭載されていた他、アフリカ諸国にもばら撒かれた。


・モーゼル MP66(Mauser Maschinenpistolen 66)

 史実のH&K MP5に相当する。


・ワルサー MP63(Walther Maschinenpistolen 63)

 史実のワルサーMPL及びMPKと同じ。長銃身型は「MP63L」、短銃身型は「MP63K」と名前が変更されているだけである。性能面や市場シェアでもMP66に完全に敗北しているものの、軽量安価な短機関銃として途上国に多く輸出され、ライセンス生産品も多い。現在でも犯罪・テロ組織達がUzi等と並んで多く使用している。


・ラインメタル MG60(Rheinmetall Maschinengewehr 60)

 本世界観ではドイツがNATO加盟国ではない為MG3は存在せず、7.92㎜口径のままMG42を改良する程度に留まっている。寸法・使用弾薬・ベルトリンク以外は細部までMG3と全く同じである。

 因みに、トルコ、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド、オーストラリア、チリ、イラン、パキスタン、サウジアラビア、及び一部途上国では鹵獲した本銃及び量産設備を利用したNATO規格版、つまり史実のMG3と全く同じ仕様の汎用機関銃を開発・運用している。


●イタリア社会共和国

・ブレタ M49(※原案:H6345氏)

 問題の多かったブレタM30軽機関銃に替わり採用されたベルト給弾方式の軽機関銃、作動方式はガス圧利用方式で、銃身を約90°傾けて外すなどやはり変わった面もあったが、M30よりマシということで戦後、セトメ・アメリのライセンス生産品が採用されるまで、イタリア軍の軽機関銃として運用され続けた。


・ブレダ FAB1952(Fucile Automatico Breda Modello 1952)(※原案:H6345氏)

 カルカノライフルの後継として制式採用された自動小銃。史実のベレッタBM59に相当する。

 リアサイトはボルトカバーの後方にある(形状はタンジェント式)。マズル下には銃剣用ラグが備わっている。ストックはグリップと一体化した従来型のライフルストックだが、空挺部隊向けに銃身を少し短くした上でピストルグリップと折りたたみストックを備えたモデルも存在する。

 作動方式はガス圧作動とティルティング・ブリーチブロック、射撃は単発のみ。

 使用弾薬は7.92mmモーゼル弾。弾数は箱型弾倉に15発で、弾はクリップを使って銃本体の排莢口から弾倉に装填可能。


 元ネタは史実のチェコ製vz.52です。M1ガーランドを原型とするベレッタBM59の存在が抹消された為、その代替となる自動小銃として、H6345氏が考案しました。当初はスウェーデンのFM1957、スイス・ベルンやフランスの影響が強いライフルも考えられたそうですが、StGw57の存在やドイツからの技術援助も考え、今回は無くなった国で登場するはずだった銃、つまりチェコが併合されCZ等の系譜が途切れたのを考えて、チェコ系の銃の採用と成りました。


●フランス(ヴィシー政権) (※原案:H6345氏)

 野戦服はドイツ式で、M44野戦服をベースにされている。生地の色はオリーブ色(当初は襟と肩章の部分はダーク・ゴールデンロッド)。戦闘ヘルメットは東ドイツのM56に似た物が1949年から使われていた。……と、日本や韓国がアメリカ式装備を小改良して導入したのと同様、フランスもドイツ色が強いものと成っている。

 装備自体はドイツ国防軍からの払い下げ品が多く、特に砲弾などの規格はドイツに統一された。

 1950年代には規格はドイツ式に統一される。拳銃弾は9mmパラベラム弾、ライフル弾は7x57mmモーゼル(8mmモーゼルにしなかったのはドイツ国内で8mmモーゼル弾の製造機械を捻出できる余裕がなくスペインから導入した影響)。戦後の新生フランス軍は小銃がGew43、SMGがMP40、ピストルはP38が採用された。これに加え、戦前のフランス軍で採用されていた銃と混用していたが、独自開発品の導入で旧政権時代の物は更新された。戦後初期のフランス独自の銃器はピストルがMAC Mle1950、短機関銃がホチキス社のタイプ・ユニバーサル49、小銃がMAS-49と乏しいが無事に開発され軍で採用された。StG44も戦後から少数の部隊で使用されたが、ドイツがStG49の採用後に新型小銃Mle1958(後述)が導入された。

 対戦車ロケットに関してはパンツァーシュレック(後述)を使用。

 再編されたフランス陸軍では、戦車運用に関しては機甲科として歩兵科から独立した運用が始まる(現実の仏軍戦車部隊は歩兵科の枠内で運用されてます)。また砲兵部隊には突撃砲が配備されたが、これは短期間のうちに留まり、50年代に廃止された。

 戦後に運用していた戦車に関してはV号パンター戦車をドイツから供与・国内でライセンス生産し運用、1950年ごろには大戦後にドイツで開発された7.5cm KwK 49(史実のCN-75-50 75mmライフル砲)への換装が行われた。

 この他にもフランス国産戦車やIV号も運用されたが、主力はV号で1960年代には国産あるいは準国産の戦車が導入された。


・マニューリン/ワルサー PA-Mle1956(Manurhin/Walther Pistole-Automatique Modèle 1956) / PA-56

 ワルサー社のP38のフランス仕様。既存のP38の改造品も含まれる。ライセンス生産はマニューリン社が担当。


・FA-Mle1958(Fusil-Automatique Modèle 1958) / FA-58

 StG44・StG49の後継として開発・採用されたフランス製突撃銃。

 小銃用擲弾は空砲で飛ばすライフルグレネード式で小銃に専用アダプターバレルを装着して使用する。

 使用弾薬は7.92mmクルツ弾。弾倉はStG44及びStG49と共通。


 モデルは東ドイツのNDRです。


・AAT-Mle1958(Arme-Automatique-Transformable Modèle 1958) / AAT-58

 機関銃に関してはMG42の導入することとなり、国内で7mmモーゼル弾仕様に改造された上で使用されることとなった。

 設計はグロスフス社、既存するMG42の改造を含むライセンス生産はツール・シャテルロー政府造兵廠が担当。

 以下、各派生型。

>AAT-58:MG42の改造品

>AAT-59A:新規製造のAAT-58

>AAT-59A2:AAT-59Aの照準器及びボルトの質量、機関部後端のバッファーを新型に変更。

>AAT-59A3:AAT-59A2のマズル、ストック、二脚を新規設計の物に交換

>AAT-59B:装甲車両の同軸機銃型に改造されたAAT-58。

>AAT-59C:AAT-59B仕様に改造されたAAT-59A/A2。

>AAT-60:新規された分離式ベルトリンクに対応したモデル。

>AAT-60B:同軸型のAAT-60

>AAT-60M:海軍向けの再設計品、銃身の挿入や給弾排莢方向が逆になっており、通常のAAT-60と同軸でマウントされ使用された。


・GR-Mle1944「テラー・デュ・シャール」(Grenade Rocketmail Modèle 1944 "Terreur du char") / GR-44

 パンツァーシュレックのフランス軍仕様。「テラー・デュ・シャール」はパンツァーシュレック=戦車の脅威を直訳した物である。


・ERL 75(Engin de Reconnaissance Légère 75)

 パナール社が1950年代に開発した6輪式装輪偵察車。戦前開発のAMD35から続く装輪装甲車の系列であり、同社初の6輪戦闘車両、主砲に7.5cm KwK 49ライフル砲を搭載し、同軸でAAT-59B/59C/60B機銃が搭載されている。6輪にしたことにより不整地での走破性と安定性を確保したのと同時に主砲の7.5cm砲の側射にも対応している。

 本車両は偵察車両という名目で採用されたが、50年代当時のフランス軍の内情が強く反映され、偵察車というより装輪戦車としての意味合いが強い車両であった。当時、フランスでは新型戦車の開発がまだ許されておらず、主力はドイツ設計のV号戦車であったが、それ以前に開発された戦車を置き換えたい陸軍首脳部が規制の網を何とかかいくぐれないかと画策し、開発した車両である。

正式化後、300両程が製造された。

 派生型として2cm KwK 52(2cm KwK 38機関砲ベース)搭載の「ERL 20」や8.8cm砲搭載の「ERL 88」が開発された。


 元になったのはパナールERC90及び試作車両のAML Lynx 6x6です。

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