自殺について

*自殺について


 私はどちらかというと自殺否定者だ。

 しかし、「なんで?」と訊かれると見事なきれいごとしか返すことができない。

「生きていればいいことあるから」

「家族と友達がいるから」

 こんなの私だって反論できる。

 生きていればいいことがある、って何故言い切れる? 今までが嫌なことばかりだったんだから。

 死ぬことは自由だ。私の家族は悲しみませんむしろ喜びます、泣くような友人なんていません。それにじゃあ、家族も友達もいない人は死ねばいいってこと?

 って、昔の私なら言うだろうな。

 でも今、私は自殺したいなんてまったく思わない。生を素晴らしきものと思って享受している。実際生きているって楽しすぎる。

 しかしふと思うのだ。

 私は偽善者じゃないか?

 他人の自殺を止めるなんて、偽善もいいとこ、じゃないか?

 だって死ぬなんて自由だから。関係ないから。

 私は以前、「優しくするというのは、他人を見下すから気持ちいいのかもしれない」という仮説をたてた。

 自殺を止めることで、自己満足をしているだけでないか?

 自殺志願者にとっては迷惑もいいとこ、ではないか?


 私は途方にくれている。

 自殺してほしくない。しかし、それは偽善かもしれない。というかきっと偽善だ。どうすればいいのかわからない。


 いまどき性善説なんて流行らないよな。

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