反政府組織2

「どうだ? うまく対応できたか?」


 待ち合わせ場所である大通りに到着すると。 オルガさんが、わたしを見つけるなり話しかけてきた。


「話の流れもメルスさんの予想した通りでしたので、それなりに手ごたえはあったと思います。メルスさん達は、どちらへ行かれたんですか?」


「メルスには、この国を落とすための工作に行ってもらった」


 オルガさんは平然と言ったが、国を落とすための工作とは何だろうか? 私には想像もできない。


「その工作内容を聞いてもいいですか?」


「……説明したところで、お前の頭で理解できるのか?」


 反論したいが、全く理解できる気がしないため顔を伏せて黙り込む。 その様子を見て話す気が完全に無くなったのだろう、オルガさんは話題を変える。


「それでは、幽閉されているだろう場所もメルスから聞いているな。片っ端から解放しに行ってこい」


「えっ!? 今すぐに!? しかも、私一人でですか?」


 バッと顔をあげて、思わず叫ぶ。 視界に入ったオルガさんは、眉間に皺を寄せなぜだか、少しだけ不機嫌そうにしていた。


「当たり前だろ、 俺が付いて行って手伝っては意味が無い」


「ですけど、一人では無理じゃないですか? せめてオルガさんか、メルスさんが付いて来てくれないと厳しいと思うんですけど」


「亜空間で大量のスケルトンと戦った事に比べれば楽勝だろ? 生命感知で動いてるアンデットとは違い、人間は姿を隠すだけで見つからないんだからな。 それに仮に見つかっても今のお前なら余裕で圧倒できる」


「ホントですか? わたし、あの空間で死にかけた記憶しかないんですけど」


「大丈夫に決まってるだろ? 誰が鍛えてやったと思ってるんだ」


 たしかに、オルガさんに鍛えてもらって、わたしは、かなり強くなったと思う。 だが、私が相手にしていた魔物は所詮はスケルトンであるため、いまいち自信が持てない。 そのことをオルガさんに述べようと口を開く。


「いや……ですが」


「くどい!! 殺すぞッ!! 早く行けクソガキッッ!!」


「はい!! 行ってきます!!」


 今までにないほどの殺気に満ち溢れた声に、わたしはビビッて思わず身体強化を行ってその場から脱兎のごとく駆けだした。

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隠居魔王の成り行き勇者討伐 倒した勇者達が仲間になりたそうにこちらを見ている! けんざぶろう @kenzaburou

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