第6話

帰った時には、すでに外は真っ暗になっていた。

僕は、おばあちゃんが作ってくれたご飯を食べて、お風呂に入ってからすぐに布団に入った。

今日のことが幻のような気がして、いまいち信じることが出来なかった。

「今日は、色んなことがあったなぁ…」

独り言のように呟くと、今日体験したことが本当のように思えた。ぐるぐる頭の中で考えていても仕方がないので、そのまま布団の中に潜り、目を瞑った。




次の日。僕は昨日と同じ場所に向かった。彼女との約束を守るために、大急ぎで向かった。

昨日の小さな丘の上に行くと、そこには同じように小さな社があった。

桜の木の下を通ると、そこにはモモカがいた。彼女は箒を持って社の周りを掃除していた。僕は彼女に近づこうとした時に砂利を踏んで音がした。その音が聞こえたのか、彼女はこちらを見て笑顔になった。スーッと近づいて来て、彼女は微笑んだ。

「今日も来てくれたんだね!嬉しい!」

そう言った彼女は大きな目を細くして微笑んだ。彼女の笑顔をみると、胸が高鳴った。

「当たり前じゃないか!だって、約束しただろ?」

僕は少し照れくさくなった。こんなにも素直な反応をされると、こっちも嬉しい。今まで岐阜で友達が出来なかった僕にとっては初めての友達だ。東京に帰った時に、お母さんとお父さんに話をしようと思っていた。

「ねえ、今日は何して遊ぶ?」

僕は彼女に尋ねると、彼女は「何でもいいよ!」と答えた。ここら辺には全くと言っていいほど遊べる場所がない。そのため、僕と同じ年の子達は川へと遊びに行くのだ。しかし、彼女は川で遊んでいるようには全く見えない。僕は悩んで悩んで悩んだ末に、「かくれんぼをしよう!」と言った。

彼女は嬉しそうに、「いいよ!じゃ、ケイくんが鬼ね!」と言って走って行った。僕は、勝手に決められた鬼役をするために目をつぶって10秒数えた。


数え終わってから、「もういいかい?」と聞いたら、「もういいよー!」と彼女の声が聞こえた。僕は彼女を探し始めた。

桜の木の下や、社の後ろなど、いっぱい探したが全然見つからない。

「おかしいなぁ〜…」

あちこちウロウロしながら歩いていると、後ろからワッと声がした。

「うわぁ!?」

驚いて後ろを振り返ると、そこにはモモカがいた。驚いている僕を見てクスクス笑っている彼女は本当に楽しそうだ。

「もう、びっくりさせないでよ〜…」

僕がそう言うと、「だって、全然見つけてくれないんだもーん」と彼女は頬を膨らませながら言った。

「一体、どこに隠れてたの〜?」

そう聞くと、一本の桜の木を指差して「あそこにいたよ!」と元気よく言った。

そこは僕がすでに探した所だった。僕は探したんだけどなぁ、と思ったが、彼女が楽しそうにしていたので気にしないことにした。

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