第4話

「ここが、例の扉だね。」

 トルティージャの警戒センサーが敏感になって僕に伝えられた。彼には十中八九罠だと感じているようなそぶりで僕に耳打ちしてきた。僕も、頭の中にはりめぐらせながら、開かずの扉をゆっくりと開いていく。

 暗がりの中には、幾重にもわたって死体の放つ異様な甘酸っぱい匂いが漂い、そのにおいに混じり汚物や残飯の匂いが三重奏になって僕達に襲い掛かった。

 ライトを照らし出すと、そこには複数の子供達がいた。その子供たちは飼い主たちの趣味なのか、全員何かボンテージを着させられていて、露出している部分にはぬいぐるみを修理したように、手術糸の後があった。中には明らかに女の子なのに子幹部に女の子にはない膨らみがあるものもいた。

「君たち大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ。」

 それは明かるい子供たちの返事ではなかった。どこか、機械的で恐れも悲しみも感じられない。まるで、ロボットか人形のような生き物ではない無機質的な何かであった。僕とトルティージャは何か疑いと恐怖がまるで袋のように僕達を覆いかぶさられる思いに駆られた。

「みんな、早くここから逃げよう。」

 僕は優しく語りかけて、子供達に逃げるよう促す。それに子供たちは喜びの声も上げずただ、言葉の代わりに彼らは銃を取り出し、一斉に僕にめがけて引き金を引いた。

「危ない!」

 トルティージャの条件反射的な言葉の僕は反応して、僕は相いてよりも先に体を回転させて、銃弾かわす動作をした。弾丸は僕の耳元や懐をかすり壁に穴をあけていく。そして僕も正当防衛といわんばかりに、銃を取り出し彼らに引き金を引いた。最もさっきの警備員たちとは違い、すべての弾丸は致命傷を避け、足の付け根や右手、そして彼らの構える銃にめがけて弾丸を発射させた。

 彼らは体内に入った銃弾の跡から赤い液体を滴りだし、その場に倒れこんだが、苦痛に苦しむというわけでもなかうただただ、平然としていた。しsて何を思ったの僕の前に駆け寄り、僕に体にしがみつく。最初は僕に助けを求めに来たのかと思ったが、すぐに違うことに気が付いた。子供たちの口元が歪んでいたり、胸のところにひものようなものを手にしている子がいた。

「まずい、この子達自爆するつもりだ。」

 僕はすぐにシグナルを最大にしてその場から逃げ出した。子供たちの目はまるでブラックホールのように輝きを失い、僕を闇の中に吸い込もうとやってくる。

 僕は開けた扉を勢いよく締めて封鎖を図るが、子供たちのボンテージに覆われた手が僕のコンバートスーツを握りしめる。すかさず僕はナイフをを取り出し、彼の手をまるで精肉店の解体のように切断して、階段を駆け抜けた。

 僕が部屋から飛び出た瞬間、火山噴火のような爆発音と爆風と炎が噴き出し隠し扉を前方に押し上げた。

 僕は体を吹き飛ばされてそのまま意識が曇りガラスのようになった。

「大丈夫、イーター。」

 僕は答える気力の目盛りが0に近かった。どうしても答えることができない。ふと、扉の向こうから誰かがやってくる気がした。

「どうやら、奴らのトラップは失敗してしまったようね。」

 それは女性の声に近いのだがなぜか違和感がった。そして、僕の前には靴底が中くらいの赤いブーツが見えた。僕にはその人物になぜか聞き覚えらしき引っ掛かりを感じた。

「君は、まさか……。」

 どうやら、トルティージャも見覚えがあるみたいだった。その質問をするも間もなく僕は曇りガラスから、闇に意識を持っていかれてしまった。

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