2-16 試験2日目 その11 ラミア討伐
次はカレン、今だに頭を抱えて怯えている。
「カレン、僕は君のために、凄い人を連れてきたよ。」
「え?」
カレンは見上げた。そこにはハチベエが立っていた。
「我は忍者の末裔、カラス天狗のハチベエじゃ。お主、忍者の才があると見た。忍術を使って見ぬか?」
このやり取り、昨日夜作った設定だ。カレンは突然の事にも関わらず、目を輝かせている。
「ハチベエ様、私は忍者に成りたいです。そして、忍術を使いたいです。」
「なるほど分かった。ではこの巻物を詠むのじゃ。」
ハチベエはカレンに巻物を渡した。カレンは巻物を広げた。何やら訳の分からない文字が書かれていた。
「おい、ハチベエ、あれカレンは詠めるのか?」
「ですから、修行しないと無理なんですって。」
僕とハチベエはこそこそと話をしていた。するとカレンが言ってきた。
「ハチベエ様、この文字は読めません!」
「目で詠むのではない。心で詠むのじゃ。」
「わかりました!!ありがとうございます!!」
今ので分かったのか?本当に変わった子だな。
カレンは巻物を詠み?出した。すると、彼女の身体に得体の知れない何かが降りてきたように見えた。黒色の髪が紅の色に変わっていく。
「ハチベエ、何の巻物を渡した?」
「何って、【移身の術】ですよ。」
「元気になる術じゃないの?」
「そのようなものはございません。」
「なに~!」
しまった、ハチベエと調整不足だ!
すると、カレンはスーっと立ち上がった。
「貴様ら、何おしゃべりしている、今シャーロットからとクリスティーナが戦っているじやないか。おまえたちも手伝え!」
カレンの髪の色だけじゃない。言葉使いが変わっている!態度も変わっている!!何が起きたんだ?
「ハチベエ、なにしたんだ?」
「別の人格を纏ったのです。たぶん、気の強い人が。」
「何でその人なの?」
「私も分かりません。何を纏うかは彼女次第なので。」
「貴様ら、私の話を無視しておしゃべりしてるんじゃない!!」
「はい、スミマセン!」
僕とハチベエは思わず答えた。カレンの姿で言われると、逆にますます怖い。
「カレン。。。いや、カレン様、いまシャーロット達が怪我をしていまして、我々は治療の魔法が使えず困っていたのです。」
シャーロットとクリスティーナは懸命に戦っていた。二人とも、ラミアの攻撃を何度も受けていて傷を負っていた。
「何だそんな事か。安心しろ、私は治療士だ。すぐに治してやる。」
そう言って、シャーロットとクリスティーナのところへ向かった。そして、
「ヒールハンド 」
そう言うと、二人の傷が瞬時に回復した。離れていてるのに驚異の回復力だ。しかも2人同時に。
「ありがとう、カレン。凄い回復力よ。」
「眠れる聖女がやっと目を覚ましたのね。」
なんだかんだで、ついに彼女たちは本当に戦えるひとつのパーティーになったようだ。
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「分かった、降参する!もうやってられないわ!!」
ラミアは降参した。【スキンオフ】を使っていたため、普段では大したことない攻撃が、とてもダメージがあるのだ。魔法によるダメージは受けないだか、連続でやられると凄く目障りだ。
「どう、私たちの力は!私と戦えたことを感謝しなさい!」
「私の魔法の前ではどんな魔物もいちころよ!」
「怪我など私の前では意味がない。」
まあ、色々と補助スキルを使っていたから勝てたのだが、普通は幻獣に人間は歯が立たない。それでも、自信が着いたのであれば良しとしよう。
「もう、せっかく人間たちに邪魔されない静かな場所を見つけたのに・・・たった100年しか持たなかったわ。」
「本当に人間を襲っていたのか?」
「そんなわけないわ。来ていた人を脅しただけよ。」
「そうか・・・魔王復活に対応するため、力を貸してほしい。」
「分かったわ。負けたらって約束だし。」
僕はラミアと主従契約を結んだ。魔名は【ミーア】。手にいれたスキルは【フラッシュライト】だ。相手の目に強い光を当てて、動きを止めるのだ。囲まれた時に威力を発揮しそうだ。
「さて、幻獣と契約出来たし、シャーロットたちも自信がついたし、結果オーライだね。元の場所に戻りますか。」
そう言って、荷物を抱え、さっき来た洞窟に戻ろうとしたところ、女子たちが前を防いだ。
「その、言葉をしゃべる馬は何ですの?どこから出てきたの?」
「契約って何ですか?」
「全然わかりません!ちゃんと説明してください!!」
彼女らはカンカンだ。そう言えば言ってなかったな。
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