第26話君のおかげで

 ・小話・

 関係ない余談からですが、前話を書いている時に「ルビー文字」などの機能を見つけました。

 今回からどんどん活用していきます。


 色々な話を読んで振り返りをしていたのですが、誤字や漢字変換が間違えていて、とても申し訳ないw

 いつも最後までやったら、1回見返して、間違えているところとかを直しているんですけど、やっぱ何回かやった方がいいですかね?


 今回の小話は関係ないことばっかり。

 本編をお楽しみください。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 鉄格子の様な黒く大きな門の前に立つと、深呼吸をしてゆっくりと目を開けた。

 塀には「雨風」と書いてある表札が掛けてあった。俺はそれに目をやり、ここが雫の家だということを確認した。


 門を開けると、広い庭に目をやらず、足早に玄関へ向かった。


 大きな庭に見合った程の大きな家。白く清潔感を漂わせている。何度見ても息を飲む程だ。あのオンボロ小屋とは全く違うな。

木造のあのオンボロ小屋が頭をよぎったが、ため息と共に頭から振り落とした。


 インターフォンのボタンをおして、玄関の扉の前で家の人が出てくるのを待った。

 高鳴る心臓の鼓動を抑えるために、ゆっくりと胸を撫で下ろした。


「お入り下さい。」


 可愛い控えめな高い声がして、玄関の扉が開いた。雫だ。

 雫は少し驚くと、すぐ笑顔になり


「あっ!火炎君。どうしたの?遊びにきたの?」


「いや違う。君の親に相談しにきた。」


 ここで言うと押し返そうとしてくるかもしれないけど、ここは包み隠さずに言った方があとあと楽になると思った。

 雫の顔が一瞬で曇ったのが感じ取れた。


「大丈夫だよ。私の家の問題だもん。火炎君が相談に来てくれれば、説得力もあるし、親も納得してもらえるけど・・・」


 雫はしたを向き、最後は口籠もらせてあやふやに終われせた。

 そんな雫を俺は雫の頭を手で2回ポンポンとし、雫をなだめる様に言った。


「俺は雫の思いを踏みにじりにきたわけじゃないよ。君がこの旅に来るなら、である俺が親に相談する必要がある。それが俺のと思ったことだから。」


 雫は小さく頷くと自分の両親をリビングに呼んだ。


 壁も汚れの無い純粋な白色で、そこに大きく木で作られた机が置いてあった。机には白のテーブルクロスが敷いてあり、等間隔にキャンドルが4つ置いてあった。

 俺は6つある席のうちの1つに座り、雫は隣に座った。


 雫とは喋る暇もなく、雫の両親が2階から降りてきた。


「雫。話ってなに?」


 ぱっちりとした目は疑問を抱きながら雫と俺を見て言った。雫の母親だ。

 優しそうな声や、ぱっちりとした目は雫そっくりだ。


「まあ、まず座ってよお母さん。」


 母親の疑問を後回しに、雫は自分の向かい側の席に座らせた。


 雫の母親の後ろについてきていた、父親は俺を見るなり、鋭い眼光で俺を少し睨んだように見えた。


 シュッとした引き締まった顔。鋭い眼光。全く雫とは似ていないが、多分雫の父親だろう。


 雫は父親を俺の向かい側の席に座らせた。今から「娘さんを下さい。」と結婚前に親に許可をもらいに来る雰囲気に似ていて、妙に緊張した。


「で、話って何だ。」


 低く重たいプレッシャーをかける様な声。

 雫の父親はまたも、鋭い眼光で俺を見ながら言った。


「雫さんをこの旅に連れていかせてください‼確かに危なくて、もしかしたら死んでしまうかもしれません。それでもこの旅に雫が必要なんです。必ず雫を悲しい思いにさせません‼」


 産まれてはじめて人に頭を下げた。

 それ程旅に出ることを許して欲しかった。必死だった。


 時間が止まったように、皆が無言になった。その時間を少し過ごすと雫の父親がさっきとはトーンや強さは一緒だが、重たいプレッシャーではなく、優しい強さを感じをさせる声で言った。


「頭を上げなさい…嫌だ…と言うのが親なんだろうけど、言いたくない。なぜだろうな。

 実は雫のスキルが弱すぎて昔俺は諦めてしまったんだ。親失格だ。今でもそう思うよ。でも君と雫が夏休みを一緒に過ごしたおかげで、とても強いスキルに進化した。雫は強くなれた。

 本当は嫌だが、雫が君にとって本当に必要な存在なら連れて行っても構わない。が、もし雫に何かあったり、悲しむことがあったりするなら、君を俺は殺しに行く。それを分かった上で連れて行きなさい。

 雫。準備はできてるだろ。行ってきな。」


 嬉しい。その言葉で頭が埋め尽くされた。


 俺と雫は別れを告げた後雫の家から出た…


「実は悲しいんでしょ?かっこいいことばっかり言って。」


 雫の母親は、横に座っている雫の親に言った。


「馬鹿言え、そんなことあるわけないだろ。」


「ふふ。照れちゃって。あの子も大きくなったわね。」


「そうだな。」


「あの男の子が雫の夫なら良いのにな。そう思っちゃうくらい、かっこよくて、雫を大切にしてたね。」


「雫は嬉しそうだったな。あの子の近くに居れて。家よりも笑顔だったよな、別れる時の顔が。」

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