第3話 消えゆく心は足跡だ

ワードは何故そこまで言い切れるのだ? 連サカは、時の運もあるぜ。ほら。あっさりと林が突破される。一対ゼロだ。サトルリード。林はまだスキル『意地』を獲得していない。だが、サトルは林をかなり警戒しているぞ。

連携値が高まるまで、チームサトルはパスで凌ぐ。えっ。さっきシュートを打ってれば、林を突破出来てただろう。

青山と赤山のコンビが、サトルの裏をかく。この二人が、見逃してくれるわけないぞ、サトルくん。

エントツは強力なシュートを持つが、今のところ守りに参加しているな。エントツの適応能力は高い。

残り十分。まだ結果は見えないが、ワードはもう興味を無くしている。

「チームナゴムは、エントツを使いこなせていない。ホシの方が実力は高い。ホシの替わりなどいないさ」

青山へとボールがわたる。ここで、ロングシュート。キーパー弾くが甘い。ホラーがゴールを決める。一対一だ。

ワードはつぶやく。

「『体の傷』が俺の狙いじゃないんだよ」

どうしたんだ、チームサトル。いや、チームナゴムは強い。ここまでとは、思わなかった。冷静に自分のいないチームを見ると解る。

延長戦に突入するが、三対一でチームナゴムの勝利。問題は、それよりチームアローだろう。個人の実力では、僕は劣っている。只あの時チームナゴムには、『反発する力』で打ち砕いた。僕がチームワードで発動することは、出来ないはずだ。

アローが連携に目覚めると、凄い能力を発揮する。そのスキをつくと、ユキは作戦をワードに告げる。

どうあっても、この世界は消えて無くなるならば、この世界を住人達に楽しいと思わせてやりたい。消えゆく心は足跡だ。どんな世界も、何時かは無くなる。楽しさPは足跡なのさ。

ユキは僕に声をかける。

「七十二パーの再現度を警戒するべきよ」

残りの二十八パーの乱れは、何時か出てくる。出てこないで欲しいけどね。

僕達は、チームアローとの対決の前に、特訓を繰り返す。ワードは、僕のスタイルの違いを理解し、作戦をやり直す。ここで、遂にチームアローに挑む。練習の成果を見せる時だ。僕はチームアローを知っているよ。

試合が始まる。やはり、アローは一人で挑む。アローの驚異のドリブル。そして、シュートがゴールに突き刺さる。キーパーオオカミは驚く。

「これが噂のアロー! ホシより個人技だけなら高いぞ」

知っている。僕は、それでも戦いを挑む。反発する力無しで、僕は対抗するしかない。

ゼロ対一。アロー、悪く思うなよ! 僕はアロー相手でさえ、ドリブル突破する。そして、ヘルシュート! 一対一。

「これがホシの実力なのか?」

と、みんな驚く。二対一。そして、残り七分。

十三対一で、チームワードの圧倒的リード。僕は、叫ぶ。

「みんな、守りを固めろー! アローはここからが本番だ。アローの連携を許すな!」

ここまでは、僕とユキの経験値で、アローを抑えた。ワードは僕を見る。

「やはり、からくりはあった」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る