第4話見学
次の日大学の生協への加入の手続きが、無事に終わった後で、
「せっかくだから、見学するだけ、していこうかな? 『理系同好会』を……」
美和子がそう言うと、愛美は、
「絶対止めといた方が良いと思うけど……。でも美和子がそこでどんな目にあわされるかわからないから、一回だけは、一緒について行ってあげるわ」
こうして美和子と愛美は、部室だけが集まっている建物の二階の、ちょうど一番右端にある『理系同好会』という張り紙がドアに張られた部屋の中に入るために、ドアをノックしてみた。するとある男子学生の声がした。
「いらっしゃ~い。お二人は新入生なのでしょうか?」
するとまた別の男子学生が、
「いや~女子学生のこの部活の見学なんて、ようやくというか、本当に久しぶりですよ!」
部室に入室してから、その異質な空間が醸し出す空気に、若干の違和感を覚えた美和子と、その空気に対して、あからさまに嫌な顔をしている愛美……。
すると突然愛美が、露骨に怯えだした。愛美が美和子に、小声で言う。
「美和子。この部屋出よう! なんか変だよ。この空気というか、雰囲気……」
「でももうちょっとだけ、見ていきたいかな? 私は……」
怯えている愛美を後ろに、美和子は続けて、
「あの……。部活の勧誘のビラにありました『期末試験の過去問のストック』っていうのは、どちらにあるのでしょうか?」
そう質問を投げかけると、とある男子学生が、
「期末試験の過去問のストックは、ほらそこの棚にある通りですよ。ただし過去問を使っても良いのは、理系同好会の部員だけですけれどね」
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