いつものあいさつ

「また来たぞー。」


 やる気も抑揚も無いあいさつ―――あいつだ。

 いつもの席に、いつもどおりの恰好で。

 私は重い腰を上げ、注文を取りに……行かなくて良いか。


「おーい、いつものー。」

「あいよ。」


 いつもの。常連ならでは、なのだろう。

 一枚のカードを添えたグラスをカウンターに流す。


 あいつは……手の届く位置に止まったグラスを一気飲みし、グラスをカウンターに置くだろう。


 案の定、一気飲みしたあいつはグラスを置いた。一応、釘を刺しておく。


「おい、割れるだろうが。」

「はは、すまんすまん。今日は一段いちだん辛気臭しんきくせえな。」

「いつもとは違うんでな。」

「ふーん、次はコイツか。」

「いつもの、だ。」


 ため息ひとつ。


「じゃあ、行ってくるわ。」


 軽く上げた手を振りながら。

 いつもの後ろ姿に、違和感があったなら……。


 

―――――――――――


 というわけで、あったなら何だ、という。


 作者としては、昭和の酒場をイメージしています。ジャズなどが流れて良そうな。

 


 西部劇の酒場やクラブハウス、海の家など『場所』をイメージすると雰囲気が変わるのが面白いな、と思う今日この頃です。

服装などもイメージを変えると、小説の題材にもなりそうです。


 散文でした。

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