中国地味三県活性化会議Ⅱ

暗黒星雲

混迷の自宅会議

「エッチな話題は禁止です」

「え?どうして?」

「そうだよ。人口増加の為には一番大事だろ?」

「色々問題が多すぎるからです。質問苦情は受け付けません」

 ピー太の決意は固い。

「じゃあ、そうね。異世界転生マシンを作るってのはどう?」

「お、面白そうじゃん」

 ネッコちゃんの提案に乗り気なにゃんちーであったが、ピー太は渋い表情だ。

「一応聞きます……」

「今、人気なのは異世界転生物語なのよ。そこで、島根県の神話と科学の粋を集めて異世界転生マシンを作るの。それは、トラックに轢かれなくても異世界転生できる素晴らしいマシンなの」

「なるほど、それは希望者が殺到しそうだな。もちろんお金取るんだろ?」

「うーん。10万円位でいいんじゃないかな。異世界にドンドン飛ばしちゃえ~」

 ネッコちゃんとにゃんちーは二人ではしゃいでいるが、ピー太が水を差した。

「それってさ。異世界に人を飛ばすんでしょ。人口減っていくんじゃないですか。それは困りますね」

「確かに、いくら人気のアトラクションでも、結果的に人口減ったら意味なしだ」

「うーん。人気だけじゃダメなのかな」

「そうかもな。俺も考えたぞ。それはだな、奇兵隊に入隊できるマシンを作るんだ。ま、要するにタイムマシン、SFだ。憧れの高杉晋作様の元へはせ参じることができるんだ。大人気だろうこれは」

「にゃんちーさ。それ、ネッコちゃんの案と同じじゃないの。過去に飛ばすんでしょ。人口減っちゃうよ」

「それもそうか、あ、こういうのはどうだ。サイボーグとか作るんだよ。ピー太はほら二十世紀梨と鳥の合体じゃないか。そういうの作ってさ」

「SFはいいけど、人口を増やす話から離れて行ってない?あ、妖怪の話は無しにしてよ無しに。ゲゲゲ関係も人口増加とは逆な気がするから」

「それはそうかも」

「それ否定すると鳥取は苦しいんじゃないか」

「いいから離れるんだ」

「わかったよ」

 ここでネッコちゃんが挙手をする。

「エッチはダメ、異世界転生はダメ、SFはダメ。とすれば、残りはエッチじゃないラブコメよ!」

「お、そうか、ラブコメだ」

 にゃんちーが頷く。

「へへへーん。出雲大社は縁結びの神社でもあるのです」

「出雲大社とラブコメの関係性は??」

「ピー太。マジに突っ込まない。ラブコメで盛り上がって本当のカップルが増えれば人口増加間違いなし!」

「おお、そうか。ラブコメで盛り上げてカップルを増産、そして人口爆増!いいね!!」

「ちょっと待った!」

 盛り上がった二人をピー太が制す。

「あの、気づいてるかな。話が元に戻ってる。エッチじゃないけど中身は一緒だ」


 混迷を極める自宅会議。

 結論が出るのはいつになりますやら。

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