第6話 悪党なのかは自分で決める

 ルーティが何を言わんとしてるのかを俺は理解した。

 普通のモンスターとダンジョンのモンスターとの違いとしては、まず、モンスターの出現率だろう。普通のモンスターは自分の子孫、つまり子供を生んで数を増やすが、ダンジョンのモンスターは突然、生まれる。比喩ではなく、突然だ。これは、ダンジョンが最奥に行かせないための行動だと考えられている。

 そして、罠を使って邪魔をしてきたり、擬態したりと中々狡猾。

 そして、今回はダンジョン探索だから関係無いがダンジョンには、階段を守る番人、フロアマスターと呼ばれるB級冒険者パーティーがフル装備でやっと勝てるモンスターがいるという話を聞いたことがある、そして、ダンジョンの最奥を守るダンジョンマスターはA級48人のフルパーティーでやっと倒せる強さらしい。


 「つまり、俺達のパーティーに最低一人、冒険者を入れろと、そう言いたいんだな」

 

 ルーティがドヤ顔で頷くが、俺はそれに待ったを掛ける。


 「お前さっきのギルドマスターの話聞いてたか? ここのギルドにはもうパーティーを組める人はいないって言ってただろ」

 「そ、それなら、他の冒険者ギルドに言って・・・・・・」

 「私の聞いた限りでは他の大手のギルドもパーティーを組める人はいないそうです」

 

 クレアに言われ、落ち込むルーティ。最初の『追い剥ぎ』でドヤってたお前はどこ言ったんだか。アホ丸出しだぞ。お前。うん?そう言えば・・・・・・。


 「なぁ、一人、気になる奴がいるんだが、元ここのギルド所属のトルファンって男がいたんだが、そいつを誘うか?」

 「それって、さっき、あんたを踏んづけてそのままどっか言った男でしょ」

 「ああ、そうだが、さっきからどうしたんだ? クレア? 」

 「それって・・・・・銀髪で目付きの悪いチンピラのことですか?」

 「ああ・・・・・・そうだが、知り合いか?」

 「ルネサンス学園で上級生や貴族に喧嘩で暴れているところを何度も見ました。他にも嫌がる女の子を無理やりどこかに連れていったり、人を何度も殺していたりなどの真偽の定かでない悪い評判や噂を聞きました。それが原因で退学させられて、ここのギルドに入ったそうです」


 クレアの説明で分かったが、クレアは・・・・・なんというか・・・・・そのトルファンって奴を大分嫌ってるぽいな。だが、話を聞く限り、メチャクチャ悪党だな、トルファン。ここはヒーローとしてどう動くか・・・・・・。


 「・・・・・・よし、じゃあ探すか、トルファン」

 「はぁ、あんた話聞いて、それでもトルファンをパーティーに入れるつもり? あたしが言ったことだけど他の奴を探した方が良いんじゃあ・・・・・・」

 「正義の味方は悪党を倒すもんだろ。だから、トルファンに事情を聞いて、それで俺は悪かどうかを決める」

 「わかったけど、説得はしない。あんたが自分でやりなさい。人数は揃ってるし、あまり時間は掛けられないから、日没までに何とかしなさい」

 「ああ、分かってる」


 クダンはそういって、ギルドを出て、道行く人達にトルファンの場所を聞いて回る。

 トルファンは中々の悪名らしく、ここらの人は皆知っていたのと、目立つ外見のおかげで場所はすぐ分かった。

 彼はダンジョンの方に向かったみたいだ。だけど、なぜだ? トルファンは試験に落ちているし、今更ダンジョンに言っても意味は無いだろうし・・・・・・まあ、会えば分かるか。


 俺は少し、寄り道してから、ルーティ達と合流し、一言ーーー


 「・・・・・で、トルファン見つかった?こっちは準備いいけど」

 「今から、ダンジョンに行くぞ、そこにトルファンがいるらしい」

 「今からですか!?もう日が沈んでるんですけど・・・・・はぁ」

 「よし、出発だぁーーーー」


 俺達は馬車に乗り込み、出発した。


 ーーーーー試験終了まで後3日。

 

 


 

 


 

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たとえ偽善になろうとも @parkman

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