無限の時間を過ごすということは、時間が止まっていることと、本質的には変わらない。無限性は不変という性質をまとっている。 生きることの意味が希薄な世界で、ようやく意味を見つけることを選択する。それは有限性を受け入れることだった。 生きることとは、少しずつ死ぬことに他ならない。きっと、限りある『生』だからこそ、世界は虹色に輝いて見えるんだ。
最初から物語に惹き込まれ最後まで一気に読んだ。綺麗な文体のため、重い展開となっても陰惨な空気にならない。かなり好きな作品。
この国の未来の人類は、あるきっかけで不老不死の妙薬を手に入れていた。減少してしまった命を確保する為、国策となった永遠の生。当たり前に果てしなく生き延びる人々の中で違和感に苛まれてきた私は、ある時どうしても自分の気持ちを抑えることが出来なかった。生きる喜びとは、時の流れの中にある美しいものとは。シリアスなテーマを読みやすく心に迫る筆致で描く秀作。読みごたえのある短編です。