サァッリムを帯びた名詞の部(v1-0372~0407)

v1-0372


中間の字に動符を帯びた語彙の篇


فعل fääl,فعل fäul,فعل fäil 型の語彙の章


کلب käläp ケレプ。テュルクの草原に生える若草、家畜の成長を早める。

بست basut 助手、世話人、愛護者。

بست basut 幇助、援助。「ال منکا بست بردي ol manga basat bärdi」彼は我に助けてくれた。

بلت bulit 雲。「قرا بلت qara bulit」黒雲、暗雲。「اق بلت aq bulit」白雲。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قرا بلتغ ییل اجار ارنج بلا ایل اجار

  qara bulitigh yäl achar urunch bilä äl achar

  黒雲が風で散れば、まいないを知りて国を開く。

 黒雲が空を遮った時、風が吹けば散る様に、賄賂は役所の門を開ける。この諺は、ことを成すのに費用を惜しむに及ばないことを勧めている。髪が多くて濃い人のことを黒雲に例える。「بلت تك سجي bult täg sachi」黒雲の様な髪。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  اغدي بلت ککریو

  aghdi bulit kökräyü

  یغمر تلي سکریو

  yaghmur ani säkriyü

  قلق اني اکریو

  qalia ani ügriyü

  قنجا بریر بلکوسوز

  qancha barir bälgüsüz

 稲妻と共に雲が立ち、雨と雹が降り、風は雲を流そうとしているが、その行方はわからない。


v1-0373

تبت tüpüt 吐蕃。テュルク地区に暮らす部族。麝香鹿は彼の地で産する。麝香鹿の腹を裂いて取り出したものが麝香である。吐蕃人は「ثبت サビット」と言う名の人物の後裔である。彼は元々イェメン人であったが、そこで人を殺した為、罪を恐れて船に乗ってチンに逃げた。彼はその地方を気に入り、住み続けるようになった。後に彼の子孫は繁栄し、テュルク人の居地千五百ファルサングを占拠した。この地域は、東はチンに接し、西はカシミール、北は回鶻、南はインドに隣接している。彼らの言葉にはアラビア語の影響が有る。その為、母親を「اما uma」、父親を「ابا aba」と呼ぶ。


v1-0374

تکت tägit 「تکن tägin」の複数形。この言葉は元々「奴隷」の意で、後に可汗の子の称号になった。この種の複製形は文法規則に合わない。「اکا تکت ögä tägit」は、平民の中の大人物と可汗の幼い子に与えられた称号である。この二つの言葉は常に一緒に使用される。「اکا ögä」という言葉はズルカルナインの時代、テュルク人とズルカルナインの和解の前、双方の先鋒が激突した時に発生した。

جکت chöküt チビ。「جکت کشي chöküt kishi」チビな奴。

جکت chigit 綿の実。ヤバーク―語。

سبت sipüt 香菜、コリアンダー。カシュガル語。

سغت soghut 干酪(チーズ)。カルルク語。

سغت soghut 腸詰。腸の中に米、肉、調味料などを詰めた食品。

سغت sighit 激しく泣く。

سکت sögüt 柳の木。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  سکت سولنکا قذنك قاسنکا

  sögüt sölingä qadhing qasinga

 軟らかい物には柳が合い、堅い物には樺が合う。この諺の意味する所は、凡そ物は性質に合わせることが良い。


v1-0375

قجت qachut 戦いの中での潰走。他のことにも使える。

قرت qarit 窃盗、強奪。トゥルクメン語。この言葉は恐らくアラビア語の「غارت」から来ている。

قرت qurut 干したヨーグルト、ヨーグルトの粒。

قنت qanat 羽根、翼。

قنت qonat 優しい人、隣近所。仲良く住んでいる人達。「ال منك قناتم ال ol mäning qonatim ol」彼は我に優しい人だ。

کبت käbit 店舗。

کجت köchät キョチェット。ホラズムに住むテュルクの部族。

کجت köchüt 馬。

کذت kädhüt 衣服(晴れ着)。多くは婚礼の時に用いる衣服、即ち新郎と新婦の近親に贈る衣服。「کذت بردي kädhüt bärdi」衣服を贈った。

کرت kirit 匙。この言葉はアラビア語に近い。アラビア語は「اقلید」である。この言葉の文字「ق」と「ك」、そして「ل」と「ر」、並びに「د」と「ت」は交替し、「ا」は落ちた。

کلت külüt 笑い話。人々の中の笑い話。

بقج buqach 陶器。「اشج بقج äshich buqach」炊事用具、鍋・碗・柄杓・盆など。この言葉は重ねて用いる。


v1-0376

بکج bäkäch テギンたちの別号。例えば「بکج ارسلان تکین bäkäch arslan tägin」である。この言葉を軟らかい音「ك ― g」で読む時は、ベグを矮小化を表し、愛称の意味を持つ。何故ならば、アミールの意味である「بك bäg ベグ」の語尾は軟らかい音「ك ― g」であるからである。

بلج boluch ボルチュ。男の名。

تقج toquch 小さく丸いナン。この言葉は「تق ار toq är 満腹の人」という言葉の「تق toq」から派生した。何故ならば、小さく丸いナンを食べれば人は満たされるからである。

تکج tiküch 饟戳(ビスケット)。

جنج chanach 気概の無い男子、意気地なし、腰抜け。

سنج sanach 皮袋。「سنج کسرلو sanach käsürgü」皮袋。

ققج qaqach 垢。「تون ققج بلدي ton qaqach boldi」服が汚れた。

قلج quluch クルチュ。男の名。

قلج qulach 尋(五尺)。この言葉は元々「قل ااج qol ach 両手を開く」という意味である。「بیر قلج برجن bir qulach barchin」一尋の繻子。

قلج qilich 湾刀。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قش قلج قنقا سغماس

  qosh qilich qinqa sighmas

  二つの刀は鞘に入らず。この諺は、二人の者が一つのことを追い求める、或いは二人の男が同じ娘を嫁にしようとしてることを指す。ハカーニヤのベグたちは、この言葉を名前にも用いる。例えば「قلج خان qilich han」。その意味は「行動と決断が刀の様に鋭いハーン」である。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ارن البي اقشتیلر

  ärän alpi oqishtilar

  قنکر کوزن بقشتیلر

  qingir közin baqishtilar

  قمغ تلمن تقشتلر

  qamugh tolmun toqishtilar

  قلج قنقا کوجن سغدي

  qilich qinqa küchin sighdi

 この様に戦いを描いている。強者達が叫び合い、目に怒りを込めて睨み合い、あらゆる得物の切先を交え合い、故に刀に血が固まって鞘に挿し難くなった。


v1-0378

قمغ qomich 匙、しゃもじ。

کتج kötich 臭货(役立たず)。子供を罵る時に言う。意味は「屁の様に臭い」である。

کزج közäch 甕。この言葉はアラビア語と同じである。ただし「ج」という字が「ه」に入れ替わる。

کذج ködhch 上の言葉と同じで、意味は「甕」である。ヤバーク―語。「ذ」という字と「ز」をアラビア語の様に交替させて使う。例えばアラブ人は「書く」を「ذبر」と書き、「زبر」とも書く。「鹹水」のことを「ما ذعاق」とも、「ما زعاق」とも書く。

کمج kömäch 灰の中に埋めて好く火を通したナン。

کمج kömüch 埋った宝。「ال کمج بلدي ol kömüch buldi」彼は埋った宝を見つけた。

مشج mäshich 「مشج ازم mäshich üzüm」黒葡萄。

بتر putar 蓆を編むのに使う縄。

بدر بدر bädär bädär 「بدر بدر یکردي bädär bädär yügürdi」すたすた走る。

بسر basar 野蒜(のびる)。

بغر baghir 肝、肝臓。不屈の人を「بدك بغرلغ bädük baghirligh 大きな肝の人」と称する。「肝の座った人」という意味である。弓の中間の所を「یا بغري ya baghri(弓の肝)」と言う。


v1-0379

بقر baqir 銅。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  بار بقر یوق التون

  bar baqir yoq altun

  有るよ銅は、無いよ金は。

 有る時は銅の様に顧みないが、無い時は金の様に珍重する。この諺は親戚の間で馬鹿にされている人を指す。彼がいなくなって、漸く彼の有難味を知る。

بقر baqir 秦で鋳造された銅銭の名称。交易の時に使う。

بقر سقم baqir soqim 火星の名称。銅の様に淡い紅色をしている。

بکر bögür 腎臓。

بکر bügür 輪台。クチャと回鶻汗国の間の高所に建築された城堡。そこは辺境である。

تبر tapar タパル。キフチャーグの汗「انال اوز inal oz イナル・オズ」の二人の子供の一人。

تتر tatir 痩せた。「تتر یر tatir yär」痩せた土地。

تتر titir 雌駱駝。

تقر تقر taqir taqir 「ات اذقي تقر تقر اتي at adhaqi taqir taqir ätti」馬の蹄がパカパカ響いた。

تکر تکر tikir tikir 「تکر تکر اتي tikir tikir ätti」上に同じ。

تمر tämür 鉄。この言葉は「کوك تمر کرو ترماس kök tämür kärü turmas 青き鉄に暇はない」という諺に見える。その意味は「何かにぶつかれば、何らかの怪我をする」である。この外に別の意味も含んでいる。クルグズ人、ヤバークー人、キフチャーグ人や其の他の人々は、誰かに宣誓させたり許諾させる時、「بو کوك کرسون قزل جقسون bu kök kirsün qizil chiqsun  それが青く入らば、赤く出よう」と言う。意味は、約束を違えれば、刀によって鮮血に染まり、鉄によって報いられるであろう。何故ならば、彼らは鉄を重んじるからである。


v1-0380

تمر tamur 脈、脈拍。オグズ人は此の言葉の中の「م」を開口符を付けて読んで、「تمر tamar」と言う。彼らは総じて軟らかい語気で話す。開口符は読音符号の中で最も柔らかい。その為、彼らは開口符用いて話す傾向が多い。 

تؤر tavar 荷物。家畜と家財。オグズ人及び其の外の民は「و ― w」を用いて、「تور tawar」と読む。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  تؤر کمنك اکلسا بکلك انکر کرکیور

  tavar kiming üklisä bäglik angar kärgäyür

  تؤرسزن قلب بك ارنسزن امکیور

  tavarsizin qalip bäg äränsizin ämgäyür

 誰でも財産が多ければ、そうでない人に比べて国を治めるに相応しい。財産の無いベグは人を自分の周囲に抱き込みようがない。何故ならば、人は其の財貨を慕って彼の為に働くのである。


v1-0381

جبر chüpür 山羊の毛。全く価値の無いゴミのことを「جبر جبر chüpür chäpür」と言うのは、此れに由来する。

جتر chutur 気性の悪い。「جتر کشي chutur kishi」気性の悪い人、嫌な奴。

جغر chaghir 果汁。

جغر chaghir 酒。

  この二つの言葉は、二つが相反する意味を表す言葉である。

جغر chaghir 羊の腸の小道、小路。

جقر chaqir この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ات جقري اتقا تکیر ات جقري اتقا تکماس

  it chariri atqa tägir at chaqiri itqa tägmäs

 犬の灰眼は馬を超え、馬の灰眼は犬を超えず。何故ならば、その種の馬は目が悪いからである。この諺は、その様な馬は用いるなと人々に戒告する。

جکر جکر chiqir chigir 粗い砂の混じったナンを齧った時に出る歯の音。

سغر sughur タルバガン。その河で雨衣を作れる。


v1-0382

سغر sighir (巻狩り)。国王達が多くの人馬を率いて狩猟する方式。国王の人馬を森林や原野に散開させて、野生動物を王の所に追い立てる。国王は労せずして眼前の野生動物を狩り獲る。

سغر sighir 乳牛、牛。「سوؤ سري suv sighir」水牛。

قتر qatir 騾馬。

قدر qadir 難しい、困難な。「قدر نانك qadir näng」難しい物。「قدر ییر qadir yär」山上が厚雪や氷層で覆われて越え難い場所。

قدر qadir 「قدر قش qadir kish」寒冷な冬。

قدر qadir 勇猛、果敢、果断。ハカーニヤの歴代の汗は「قدرحان qadirhan カディルはん」と称するのは、この言葉に由来する。この言葉の含義はアラビア語と同じである。勇猛果敢の大本は力量にあり、勇猛かつ果敢な人は何事も成し遂げる能力を持っているのである。

قسر qisir 不妊の。不妊の女性や動物。馬を産まない牝馬を表す「قسر قسراق qisir qisraq」は、この言葉に由来する。

کلر kälär 蜥蜴。

بغز boghaz 喉、咽喉。

تبز täpiz アルカリ性土壌。「تبز کشي täpiz kishi」嫉妬心を持つ人、心根が腐った人。

تبز topuz 「تبز یك topuz yük」馬の上に乗れない様に散らばった荷物。


v1-0383

تتز titiz 「تتز نانك titiz näng」味の渋い物、訶子の様に渋い味のする物。

تکز tüküz 「تکز ات tüküz at」額に銀貨の様な大きな白い星ある馬。

سغز saghiz 樹脂。「سغز تبراق saghiz topraq」粘土。

سقز saqiz 衣服の汚れの様な染み、或いは其れに類似するもの。

سکز säkiz 八。これは「سکز säkkiz」を軽く柔らかくした形である。

سمز sämiz 動物などが肥えた。この言葉はアラビア語と似ており、ただ「ز」が「ن」に入れ替わっただけである。これはテュルク語にも、よくある現象である。

「سن sän」と「سز siz」の二つの言葉の中、「ن」と「ز」が入れ替わることである。

قبز qobuz コブズ。琵琶に似た弦楽器。

قتز qotuz ヤク。

قتز ات qutuz it 狂犬。

قذز qaziz 樹皮。

قذز quzuz 寡婦。

قمز qimiz 馬乳酒。革袋の中で発行醸造させた馬の乳。「قوز الملا qimiz almila」馬乳酒林檎、甘酸っぱいリンゴ。

ککز köküz 胸、胸部。

کذز kiziz フェルト。


v1-0384

کؤز kiviz 絨毯。

کؤژ küviz 朽ち果てた柳の様な、凡そ枯れ果てた木の幹。

کؤژ küviz 「کؤژ ترما küviz turma」朽ち果てた大根、腐った大根。凡そ味の無くなったものを此の様に言う。

ترس tarus 天井。

تلس talas 競馬や打毬の時、会場の端に張られた縄。

تلس talas タラス。「طراز tiraz」という名を以て知られる都市の名称。この都市は二つあり、一つを「الغ تلاس ulugh talas 大タラス」、もう一つはムスリムの辺境にある「کمي تلس kämi talas 小タラス」である。

تلس tulas 「تلس یوز tulas yüz」青ざめた顔、冷ややかな顔。

بجش pichish 大人物の宴会で来賓に振る舞う絹織物。

برش bürish ひだ、しわ。毛皮や衣に出来た皺。

بغش baghish 節、関節。手や指、その他の部位の関節。葦や其の他の似たような植物の節も此の様に言う。

بقش baqish 見る、互いに見つめ合う。

بلش bilish 知る、よく知る。この言葉は此処では形容詞であって、動名詞ではない。

بلش bulush 利益、利点。何かを成すことから生じる利点。


v1-0385

بلش bolush 手助けする事、言葉と一緒に助けること。「ال منکا بلش قلدي ol manga bolush qildi」彼は我を手助けした。

تبش tapish 互いに頼み合う、互いに示し合う、二人の人が互いに申し合わせる、相手に何かを任せる。

تتش tutush 摑む。責める。この言葉の発音はやや硬い。

تتش tutush トトシュ。男の名。

تؤش tavash 感覚、知覚。動静、消息。

تقش toqish 衝突、戦闘、戦争。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  تقیش اجرا ارشتم

  taqish ichrä urishtim

  الغ برلا قرشتم

  ulugh birlä qarishtim

  تکز اتن یرشتم

  tüküz atin yarishtim

  ایدم امدي ال اتار

  aydim ämdi al utar

 戦いの中で、我と敵の頭目と干戈を交え、額に星のある馬に乗って戦いに入った。我は喊声を上げて「おい!ウタールよ!お前にくれてやろう」と言って、彼に向って矢を放った。ウタールとは、とある人の名前である。


v1-0386

تقش toqish トキシュ。人名。

تکش tägish 食事を差し上げる、互いに食事を勧め合う。

تکش täkish あらゆる物の末尾、終わり。

تکش täkish テキシュ。男の名。

جبش chäbish 六か月の雌の仔山羊。

جؤش chavush 戦時に陣容を整え、平時には士卒による庶民への圧迫を阻止する官職。

جقش chiqish 利潤、儲け、利益。「ال ایشتا جقش یوق ol ishta chiqish yoq」その事で儲けはない。

جلیش chalish 相撲。

سرش surush 麦穂焼き。黄色く熟す前に麦穂を摘み取って、好く火を通してから、揉み解して食する。


v1-0387

سقش siqish 犇き合う、互いに押し合う。

سکش söküsh 互いに責め合う。

سکش sügüsh ケバブに適した子羊と仔山羊。オグズ語。

سکش sikish 性交。

قبش qapish 奪う。

قبش qapush カプシュ。ヤバークー畜の一地名。

قجش qachish 逃げる、避難する。人々の中に起きた恐慌騒乱。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قجش بلسا قیا کرماس

  qachish bolsa qiya körmäs

  逃げだせば、横を見ず。

قجش quchush 互いに抱き合う。

قذش qadhash 気心の知れた人、近親。

قذش qadhish 皮紐。獣皮から切り取った皮紐。

قرش qarish クヌギの木。「بیر قرش bir qarish」一本のクヌギ。

قغش qoghush 鞣した皮紐と鞣してない皮紐。

قغش qoghush 水桶。「تکرمان قغشي tägirmän qoghushi」水で磨いた水桶。

قغش qoghush 矢を飾る道具。

قمش qamish 葦。

کجش kächish 河川の渡し口。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  ال کشني سوؤ التي

  ol kächishni suv älätti

 その渡し口が水で流された。この諺は「木が船になれば、元に戻らない」という意味である。


v1-0388

کرش kärish 登れる山頂。オグズ語。

کرش kärish 馬の頸部、肩や背。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  کرش یغري اغلقا قلیر

  kärish yaghiri oghulqa qalir

 馬頸の鞍ずれは子に残ろう。馬頸には筋が多いため、傷付けば癒え難い。この諺は人々にその様な傷が付くことを防ぐ様に戒告している。

کرش kärish 争いや殴り合い中の対抗、反抗。

کرش körüsh 互いに見つめ合う。

کرش kirish 弦、弓弦。

کرش kirish 実入り、収入。一個人が自己の財産から得る収入。

کرش kärish 言い争い、殴り合い。「نالك کرشتنك nälik kärishting」君たち何故争っている?

کلش kälish 来る事。「کلش برش kälish barish」行き来。旅籠のことを「کلش لك برشلغ اؤ kälishlig barishligh äv」と言うのは、これに由来する。

کمش kümüsh 銀。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  الب ارن ني اذردم

  alp äränni ödhürdüm

  بینن انك قذردي

  boynin aning qadhirdim

  التن کمش یذردم

  altun kümüsh yüzürdüm

  سوسي قلم کیم اتر

  süsi qalin kim ötär

 とある戦役を描写する。我は敵軍を蹴散らし、彼らを屈服させ、彼らに金銀を担がせた。敵の数が多すぎたので、暫く通り抜けられなかった。


v1-0389

کمش kümüsh 銀貨。その中には銀が含まれているからである。

کمش kümüsh キュミュシュ。女僕の名。

بتغpatigh 泥、河川に溜まった泥。

بجغ pichigh 契約、協議、誓言。「ال منك برلا بجغ قلدي ol mäning birlä pichigh qildi」彼は我と誓いした。

برغ barigh 「ال برغ بردي ol barigh bardi」彼はとっとと行った。


v1-0390

برغ barigh 臭い物。この言葉は「سسغ برغ sasigh barigh」の様に対になる言葉と一緒に用いる。

بسغ basigh 奇襲地点。「ال اني بسغدا تتي ol ani basighinda tutti」彼は奴を襲った所で捕まえた。

بسغ pusugh 埋伏。

بشغ boshugh 許可、お許し。国王が使者に与える許可状。使者に与える礼物にも、この言葉を使う。この言葉はアラビア語の「سفرة」と同じである。「سفرة」の本来の意味は「招待客への食事」であるが、後に食事の時に料理を盛る皮製の敷布を指すようになった。遠くから親戚の元に来た人は、帰る前に全ての親戚を招待して宴を設け、その後、親戚たちは彼に多くのお土産を贈り、彼の帰去を許す。この様な宴会を

「بشغ اش boshugh ashi」と言う。

بشغ pishigh 熟す、熟れる。「بشغ اش pishigh ash」熟した飯。熟したあらゆる物にこの言葉を用いる。「بشغ کربج pishigh kärpich」煉瓦。「بشغ سجوك pishigh süchük」熟成した果実酒。

بقغ baqigh 見る、覗く。「انك بقغي کر aning baqighi kör」彼が見ている所を見た。

 私はこれらの動名詞を片っ端から収録するつもりはない。ただ日頃用いる物を挙げるのみである。


v1-0391

بشغ pusgugh 煩悶。「بشغ بشدي pushugh pushudi」彼は悩みに悩んだ。

تبغ tapugh 服務。

تبغ tapugh 服従、崇拝。「تنکري تبغي tängri tapughi」神への崇め。

تتغ tutugh 抵当、質草。

تتغ tutugh 癲癇。「انك تتغي بار aning tutughi bar」彼は癲癇を持つ。

تذغ tidhigh ある物事を忌む、禁忌。

ترغ tarigh 食糧。あらゆる作物の総称。

ترغ tarigh 多くのテュルク人の言葉では「小麦」を指す。ただオグズ人だけは「黍」を指す。これは正しくない。彼らは小麦を「اشلق ashliq」と呼ぶ。

ترغ turugh 山間の要塞。

ترغ torugh 棗騮(鹿毛の馬)。「بو اغلانغ بیر ترغقا الدم bu oghlanigh bir torughqa aldim 」この小童を一頭の鹿毛の馬で買った。時には遠回しにこの言葉を駱駝や牛にも使う。「ترغ ات torugh at」鹿毛の馬。

ترغ torigh 「ترغ ارت تیز torigh art täz」トリグアルトテズ。カシュガルの一草原の名称。


v1-0392

جؤغ chavigh 鞭の先につける革紐。

سبغ sapigh 天幕の下の縁。

ستغ satigh 売買、交易。

سذغ sidhigh 襟、打ち合わせ。「سذغ یبب التردي sidhigh yapip olturdi」襟を正して座った。この様に座れば、謙虚で礼儀正しいと見做される。

سذغ sidhigh 歯の間。ある人に秘密を守らせる時、「بو سزتي سذغدن سزتما bu sözni sidhighdin sizitma この話を歯の間から漏らすな」と言う。

سرغ sarigh 黄色。深い黄色の物を「سب سرغ sap sarigh」と呼ぶ。胆汁なども「سرغ sarigh」と言う。

سرغ sarigh 「سرغ سوؤ sarigh suv」黄色い水、腹の中に賜っている黄色い水。あらゆる黄色い物を「سرغ سرغ sarigh surigh」という対句で表す。

سرغ sorugh 問い詰め、追及。「سرغ قلدي sorugh qildi」(失くしたものを)追求した。

جلغ chaligh この言葉は失くしたものを「追求、捜査」する意味を表す。ベグたちが郷民や遊牧民に人を遣わして、彼らに重要なことをさせるように呼びかけることにも、この言葉を使う。

قبغ qapugh 門、大門。

قتغ qatigh 硬い。様々な物が堅いこと。


v1-0393

قذغ qadhigh 縫い目。

قذغ qudhugh 井戸。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قذغدا سوؤ بار ات برني تکماس

  qudhughda suv bar it burni tägmäs

 井の中に水あれども、犬の鼻は届かず。この諺は、力が思うに任せない、或いは秋を知らず食べたい物が手に届かない人のことを指す。

قذغ qidhigh 岸。池、海、河、水路の岸辺。あらゆる物の縁や渕なども、この言葉で表す。「ارق قذغي ariq qidhigh」水路の岸。「ایق قذغِي ayaq qidhigh」碗の縁。「یار قذغي yar qidhigh」崖っぷち。

قرغ qurugh 空、空き。「قرغ اؤ qurugh äv」(人の住んでいない)空の家。物のない言えも此の様に言う。「قرغ الما qurugh ulma」空の壺。空の器や皿にも「قرغ qurugh」という言葉を使える。

قرغ qurugh 渇いた、干した。前の言葉の意味はこれに由来する。

قرغ qorigh ベグなどの人の囲い壁。凡そ守られた所を此の様に言う。

قسغ qasigh 頬の内側、口の中の左右両側。

قسغ qisigh 監獄、牢屋。「ال بك قسغندا قبدي ol bäg qisighinda qaldi」彼はベグの牢獄に入った。

قسغ qusigh 嘔吐。「اني قسغ تتي ani qusigh tutti」彼は吐いた。又は彼は吐き気がした。

قشغ qoshugh 民謡、詩歌、頌歌。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ترکن قتن قتینکا تکر قشغ

  türkän qatun qatinga tägür qoshugh

  ایغ سزنك تبغي اتنر یکي تبغ

  ayghil sizing tapughchi ötnür tapugh

 カトン様、我が歌を捧げましょう。申し上げます。貴方様の下僕が望むことは新しい仕事です。


v1-0394

ققغ qaqigh 吐き気。「من انك ققغندا بو ایش قلدم män aning qaqighinda bu ish qildim」我は彼の吐き気の所為で仕事した。

قمغ qamugh 全て、皆、一切。「قمغ کشي توز ارماس qamugh kishi tüz ärmäs 」全ての人は同じではない。

قنغ qanigh 願望、渇望。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  تتجي یغر بلیتي التن تمار ارغ

  tutchi yaghar buliti altun tamar arigh

  اقسا اننك اقني قندي منك قنغ

  aqsa aning aqini qandi mäning qanigh

 女皇の恩恵を此の様に描いている。彼女のお気持ちは彩雲から降り注ぐ清らかな金の様である。若し彼女の奔流が我に打ち寄せたら、我は悦びに堪えない、それが我が望みである。


v1-0395

بتق putiq 枝、小枝。枝分かれ。あらゆる枝状のもの。

بتق putiq 小さな革袋。カシュガル語。

بتق putiq 馬の脛の皮で作った皮袋。馬乳酒や其の他のものを入れるのに使う。

بتق putaq 小枝、枝。方言。この言葉の「ت」を開口符で読んでもよい。また斉歯符で読んでもよい。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  کم ایت اشتر قلاق

  kim ayip äshtür qulaq

  ای اؤي ارتج بتاق

  ay ävi artuch putaq

 詩人は愛する人の面影を月明りに例え、体つきを杜松の木に例えて此の様に言った。月明りの住処は杜松の木の間、この話を誰かにしたか、又は誰かが聞いたか?


v1-0396

بجق puchuq 欠けた、不揃いの物、欠損のある物。あらゆる物の半分も「بجق puchuq」と言う。「بجق یرماق puchuq yarmaq」不揃いの貨幣、半分にした貨幣。

بذق bidhiq 口髭。

برق baraq 毛がばさばさした猟犬。テュルク人にとり、鷲が老衰した時に二つの卵を産み、孵化後、一方の卵から「برق baraq」と呼ばれる犬の子が孵る。走るのが最も速く、最もよく得物を獲る犬だそうである。もう一個の卵から鷲の雛が孵り、それは最後の雛であるそうだ。

یرق yoriq 立ち振る舞い、付き合い。「بك یرقي نتك bäg yoriqi nätäg」ベグの達振る間合いは如何?

برق biruq 国王の身辺に在って、大人物たちを官位に応じて着座させる宣旨官。この言葉の本来の意味は「بیرق buyruq 命令」であり、この官職は命令を伝えるからである。


v1-0397

بذق budhuq 破れた、壊れた。「بذق اؤ budhuq äv」壊れた家。壊れた、崩れたあらゆるものに「بذق budhuq」という言葉を使うことが出来る。

بشق bashaq 鏃。矢や矛の切っ先。

بشق bashaq 一種の皮靴。チギル語。オグズ人とキフチャーグ人は「م」を加えて「بشماق bashmaq」と言う。この種の字を足す現象は、アラビア語の中にもある。例えば「تمد رعت المرأة」の中の「تمد رعت」は、元々「تدرعت」であり、「درع」という言葉に由来する。「تمسکن الرجل」中の「تمسکن」は、元々「تسکن」であり、「تسکون」という言葉に由来する。

بشق pushaq 沈み込む、イライラする。「بشق ار pushaq är」いらつく人。オグズ等の言葉。

بشق pishiq 熟れた。「بشق ات pishiq ät」熟れた肉。ヤグマー人は「بشق bashiq」と言う。 

بلق baliq 魚。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  بلق سؤذا کوزي تشتن

  baliq suvda közi tashtin

 魚は水に、目は外から。この諺は、ある事を知っているのに知らない様に装う人に用いる。

بلق baliq 泥。ヤバークー人と一部のオグズ人の言葉。一部のヤバークー人は、三つの連続した静符を一緒に付けて「بلق balq」と読む。テュルク語では二つの静符が一緒に表れるのみである。ヤバークー語はやや不純である。


v1-0398

بلق baliq イスラムを信奉する前のテュルク語と回鶻語の中で「城市、城堡」のことを呼ぶ。この為、回鶻人最大の都市を「بیش بلق bäsh baliq ベシュバリク」と言い、意味は「五城」である。回鶻人の別の都市は「ینکي بلق yangi baliq」と言い、意味は「新城」である。

بلق bulaq 「بلق ات bulaq at」背の広い馬。

بلق bulaq ブラク。テュルクの部族の名称。キフチャーク人が嘗て彼らを捕らえ、後に偉大なる神は彼らを救い、併せて「الکا بلق älkä bulaq エルケブラク」と呼ばれるようになった。この言葉は長く読んでも、短く読んでもよい。

بمق pamuq 綿花。オグズ語。

تبق topiq ホッケーに用いる球。ホッケー。

تبق topiq 膝皿。「تبق سنکوك topiq sömgük」膝皿。羊の軟骨は食べ物である。

تتق tutuq 去勢された、去勢馬。

ترق turuq 痩せた、あらゆる痩せたもの。

ترق turuq 「ارق ترق aruq turuq アルクトゥルク」カシュガルとフェルガナの間の峠の名。


v1-0399

تزق tuzuq 落とし穴、罠。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  اکلدي مانك اذاق

  iglädi mäning adhaq

  کرمذب اغري تزاق

  körmädhip oghri tuzaq

  اکلدم اندن ازاق

  iglädim andin uzaq

  املکل امدي تزاق

  ämlägil ämdi tuzaq

 隠された罠が見えなかった。我が脚に巻き付かれてしまった。為に我は長い間苦しんだ。愛しい人よ、只あなただけが我の傷を癒してくれる。


v1-0400

تزق tuzaq 親愛を表す言葉。この言葉には「愛しい人」の意味もある。語尾に「ی」を加えて、「تزاقي tuzaqi」と読んでもよい。

تشق tashaq 睾丸。ついてる所が近いので、陰茎のことを「تشق tashaq」と言ってもよい。

تتق tutuq トゥトゥク。男の名。

تنق tanuq 証人。

جبق chabaq テュルクの湖に住む小魚。比喩して、下流の人を「جبق ار chabaq är」と呼ぶ。

جبق chibiq 若くしなやかな枝、瑞々しい小枝。

ججق chochuq 子豚。

جرق charuq 皮の履物。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  یذاغ اتي جرق کوجي ازق

  yadhaq ati charuq küchi azuq

 歩く者の馬は皮履、力は干飯。この諺は道行く人に足の赤剥けと疲れて力なくなることを防ぐ様勧めている。この二つの物を備えよということである。

جرق charuq チャルック。テュルクの部族の一つ。「برجق barchuq バルチュク」城の近くに住んでいる。これはアフラスィヤーブの町である。「بخت نصر buhtu nässär ブフト・ネッサル」の子「بتزن bätzän ベトゼン」は嘗て此処に捕らわれていた。 

جلق chuluq 手と腕が欠けた者。

جلق chuliq 斑柄の水鳥。大きさは鳩と同じくらい。


v1-0401

جمق chomaq クラブ、棍棒。

جمق chomaq ムスリム。回鶻人や非ムスリムの人の間の言葉である。彼らは一人の穆斯林のことを「جمق اريٰ chomaq äri」と言う。

جنق chonaq 鉢。木を削って作り、塩などの類を盛る容器。

جنق chonaq お碗、皿。オグズ語。 

سجوق sachuq 散らばった。「سجوق نانك sachuq näng」散らばった物。

سذق sudhuq 唾。

سرق siruq 支柱、テントを支える柱。

سسق sasiq 皿、陶器。ウチュとウチュ近辺に住む人たちの言葉。

سسق susiq 桶、木桶。私は何処かの部族の言葉で聞いたことが有る。

قبق qapaq 瞼。「کوز قبق köz qapaq」瞼。

قبق qapaq ひょうたん。年寄りが食べられる様な柔らかい瓢箪はない。

قبق qapaq 処女膜。「قیز قبقي سیدي qiz qapaqi sidi」娘の膜は破れた。

قتق qatiq 平面にヨーグルトや酢の類を加えたもの。

قتق qatiq 混ぜ物。あらゆる混ぜ物。

قجف qatiq 抱え。「بیر قجق بوز bir qatiq böz」一抱えの布。


v1-0402

قذق qadhiq 小舟、丸木舟。木を抉って作る。エルグー語。

قرق qaraq 瞳、目玉。「قرا قرق qara qaraq」黒目。「ارنك قرق ürüng qaraq」白目。「اوت قرق ot qaraq」瞳孔。

قرق qiruq 「قرق ار qiruq är」手が痩せこけた人。「قرق اذاق qiruq adhaq」痩せこけた脚。

قزق qazuq 「قزق ارق qazuq ariq」掘られた溝。その他にも用いる。

قسق qasaq 皮袋。馬の皮で作られた皮袋。乳や馬乳酒を入れる。

قسق qasaq 皮、樹皮。この言葉は本来「قس qas」であるが、語尾に「ق」が付いた。

قسق qosiq ハシバミ。この言葉は女子の名前にも使われる。

قشق qashaq 葦の一種。

قشق qoshuq 匙。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قرق قشق اغزقا یرماس قرق سوز قلاقا یقشماس

  quruq qoshuq aghizqa yaramas quruq söz qulaqqa yaqishmas

 空の匙は口に合わず、空の話は耳に入らず。この諺の説く所は、人に何か手伝わせようと思うなら、その人の為に何か好いことをすべきであると。

قؤق qavaq 「قؤق ارت qavaq art カヴァクアルト」オズケントとカシュガルの間の峠の地名。


v1-0403

قؤق qovuq 「قؤق نانك qovuq näng」中が空のもの。

قؤق qavuq 膀胱。

قؤق qaviq もみ殻、糠。米や黍などの籾殻或いは糠。

قلق quliq 空気。

قلق qulaq 耳、耳たぶ。人によっては「قاخاق qulhaq」と言い、また他に「قلقاق qulqaq」とも言う。一番前の言葉が正確である。

قلق qulaq 「قلق تون qulaq ton」袖の短い服。

قلق qiliq 行い、立ち振る舞い。「ل」に静符を付けて「قلقqilq」と読んでもよい。

قمق qomuq コムック。一人のベグの名前。私は嘗て一度彼に会ったことがある。

قمق qomuq 馬糞。この言葉は馬糞のみに使う。

قنق qunaq (奶皮)。乳を熱した時に表面浮かぶ薄膜。エールグー語とブルガール語。この言葉の中の「ن」を「ی」に交換した。

قنق qonuq 客人、客。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  بردي ارن قنق بلب قتقا سقار

  bardi ärän qonuq bulip qutqa saqar

  قلدي الغ ابق کرب اقني یقار

  qaldi aligh uyuq körüp ävni yiqar

 客人が来ると幸が来たると見做した好漢は世を去った。残るのはチンケな小人ばかりである。彼らは荒野に影を見かけると、泊まりに来た客人だと思って、幕屋を畳んで去ってしまう。


v1-0404

قنق qonaq 粟。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قنق بشي سذرکي ییك

  qonaq bashi sädhräki yäg

 粟の穂は少ないほど好い。何故ならば、少なければ実は大きく、多ければ実は小さいからである。この諺の指し示す所は、力を省きながら目的を達成を望む人間のことである。

بتك bitik 文書。手紙、書かれた物。

بتك bitik 書くこと、筆跡。「انك بتکي بلکولك aning bitiki bälgülüg」彼の筆跡は、はっきりしている。

بتك bitik 御守り。オグズ語。

بجك pichäk 小刀。匕首。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  نجا یتك بجاك ارسا اوز سابن ینوماس

  nächä yitig pichäk ärsä öz sabin yanumas

 どんなに速い匕首でも己の柄は削れない。この諺の指し示す所は、自分の事も上手くいっていないのに、他人に対して大きな口を叩く人間のことである。


v1-0405

بدك bädük 大きい、背が高い。様々な物が大きい。「بذك تؤي bädük tävi」大駱駝。

برك bürük 袋の口を結ぶ縄、ズボン紐。

بزك bäzäk 装飾物。とある方言である。

بزك bäzik 戦慄、身震い、ガタガタ震える。「ال بزك بزدي ol bäzik bäzdi」彼はガタガタと震え上がった。

بسك püsük 「ال قلن بسك بسدي ol qulin püsük püsdi」彼は奴隷を隠してしまった。奴隷を殴りつけることも此の様に言う。

بلك bölük 部分、群、家畜の一部分。「بیر بلك قوي bir bölük qoy」一群の羊。「بیر بلك کشي bie bölük kishi」一群の人。「人民」や「駱駝」等の言葉と同じく、この言葉自体が「群」の意味を表す集合名詞である。

بلك biläk 手首。

بلك bäläk 礼物。外出した人が帯びて親戚に贈る贈り物、或いは、ある所から別の所に持っていく土産。

بلك bälik 芯、灯芯。


v1-0406

بلك bälik 綿棒。傷口や腫物を調べる為の綿棒。

بلك bilik 知識、学問。「بلك اکرن bilik ögrän」君は知識を学びたまえ。

بلك bilik 才能、哲理。「ازاقي بلکالار ozaqi bilgälär」昔の賢者たち。

پلك bilik 智慧、理知。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اغلان بلکسز

  oghlan biliksiz

  子供に智慧無し。

بنك bänäk 果粒、粉。エルグー語や其の他の部族の方言。

بنك bänäk 銅銭。

تبك täpük 蹴り羽根。丸い鉛の塊の穴に山羊の毛を通した玩具。子供たちが蹴って遊ぶ。

تبك täpük 蹴り。「ال قلن تبك تبدي ol qulin täpük täpdi」彼は奴隷を蹴っ飛ばした。

تتك titik 痛み。「باش تتك تتي bash titik titti」頭がとても痛かった。この種の言葉は協調の意味で用いる。例えば、「ال ارك ارغ اردي ol ärig urugh urdi」彼はその人をボコボコに殴った。「ال قجغ قجدي ol qachigh qachdi」彼は逃げに逃げた。

تتك tütäk 壺などのものの口。

تتك titik 泥、泥濘。


v1-0407

ترك tirig 活きた。あらゆる家畜の生きた。

تزك täzäk 馬糞、糞。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  تزك قاردا یتاس اذکو ایسز قتماس

  täzäk qarda yatmas ädhgü äsiz qatmas

 糞は雪に置かず、善し悪しは混ざらず。何故ならば馬糞の温度は雪を解かすからである。それと同様に、彼其れは異なるので、善し悪しは一つにならないのである。

تزك täzik 人々が驚いて逃げること。「تزك کشي täzik kishi」難民。

تزك tizik 行、列、串。「بیر تزك تراك bir tizik täräk」一本の柳。「بیر تزك ینجو bir tizik yinchü」一連の真珠。

تژك täzik タジク。

تشك täshük 脱腸。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  تشك سؤدا بلکرار

  täshük suvda bälgürär

 脱腸は水で明らかになる。この諺は、あることをするのに好く自慢をする人のことを指す。意味は「事の善し悪しは、いずれ自ずと明らかになる」ということである。

تشك täshik 貪婪な、貪欲で飽きることを知らない人。

تشك tüshük 怠惰な、なまけた。「تشك کشي tüshük kishi」怠け者。

تشك töshäk 布団、衾。


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