第二 サァッリムの部

サァッリムを帯びた名詞の部(v1-0339~0554)

サァッリムを帯びた名詞の部(v1-0339~0371)

v1-0339


بسم الله الرحمن الرحيم


二字の語彙の章


تب tap 足りる。「بو اش منکا تب bu ash manga tap」この飯で我には足りる。「تب بلدي tap boldi」足りた。

تب top 一種の食品。小麦を水で煮て、その後、大麦粉と一緒に揉み併せて皿に盛る。熱い所で放置して発酵させ、その後、取り出して食す。

جب جب chap chap 鞭を打ったり、口をパクパクさせることを表す擬態語。「ال ارك جب جب ییدي ol ärük chap chap yädi」彼はパクパク杏を食べた。

جب chöp 沈殿物、おり。あらゆるものの滓。卑賎な人のことを「جب جب کشیلار chöp chäp kishiler」と言う。

جب chip 枝、若枝。この言葉は「جبق chibik」を縮めたものである。例えば「توب top」が「تبك topik」を縮めたことと同じである。


v1-0340

جب chöp 平打ち麺。「بیر جب ییکل bir chöp yägil」一杯の平打ち麺を食べなさい。そば条の麺もこの様に言う。

زب زب zäp zäp 速く歩いていく様を表す擬態語。「زب زب برغل zäp zäp barghil」てくてく行け!

سب säp 嫁入り道具。

سب sip そろそろ二歳になる馬。

شب shap 速い。アラビア語の「هلا」と同じである。「شب کل shap käl」速く来い。

قب qop 誇張と強調を表す助詞。「اغل قب بدودي oghul qop bädüdi」 息子はとても背が高い。「قب اذکو نانك qop ädhgil näng」とても好い物。

کب köp 「کب نانك köp näng」多くの物、繁盛している物。「کب سج köp sach」濃い髪の毛。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  کب سکتکا قش قنار کرکلو>ك کشي کا سوز کلیر

  köp sögütkä qush qonar körklüg kishigä söz kälir

  多くの柳に鳥は止まり、美しき人に言葉は来る。

 この言葉には別の言い方もある。

  یغاج اوجنکا ییل تکیر کرکلك کشکا سوز کلیر

  yighach uchinga yäl tägir körklüg kishigä söz kälir

  木の間に風が吹き、美しき人に言葉は来る。

 美女はこの諺を使って身を護る。

بت pat 沈殿物、沈積物。


v1-0341

بت pat 速く、急ぐ。「بت کل pat käl」と「شب کل shab käl」は「早く来い」と同じである。重い物がドンと音を上げて落ちる時は、「بت تشدي pat tüshdi」とも言う。

بت pit 虱。麦の上の湧く虫を「ترغ بتي tarugh piti」と言う。

جت chat 物が落ちるのを表す擬音語。「جت جت اردي chat chat urdi」パラパラと打った。

جت chit 生垣。葦や茨で作られた生垣。

شت shat 勇気、胆力。「انك نا شتي بار aning nä shati bar 奴にどんな勇ましさがある!」この句は意志の有る無しを意味する。

قت qat ひだ、折り目。「توت قتي ton qati」衣のひだ。山の襞を「قدراق qadraq」と言い、この言葉に由来する。

قت qat 身辺、身の回り。「بك قتنندا bäg qatinda」ベグの身の回りで。

قت qut 幸、福。「قتلغ qutlugh」この言葉も此処から派生した。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  قت قؤغ برسا اذم قولنکا

  qut qavigh bärsä idhim qulinga

  کندا اشي یکسبن یوقار اغر

  kündä ishi yüksäpän yaqar aghar


v1-0342

کت köt 尻、ケツ。

مت mat / mät こうである。強調を表す語気助詞。「اندغ مت andagh mat」そうだ、そうである。

سج sach 頭髪。

سج such さっと手に取る様子を表す擬声語。「قلج سج قلدي qilich such qildi」劔をさっと取った。「ار سج قلدي är such qildi」男はさっと逃げた。

قج qach いくら。疑問代名詞。「قج برماق بیدي qach yarmaq bätdi」いくら銭をあげた?

قج qoch 牡羊。オグズ語。元は「قجنکار qochngar」である。

قج qach いくつ。「قج قتا ایدم qach qata aydim」私はいくたびも言った。

کج köch 遷移、転移。「سو کجدي sü köchdi」軍が動いた。

کج köch しばらく。 「بیرکج کذکل bir köch küdhgil」もうしばらく待ちなさい。


v1-0343

هج هج häch häch 馬に乗る時に、それを従わせる為の掛け声。これはアラビア語と一致する。何故ならば、この言葉の中には文法に合わない音「ه ― h」からである。テュルク語にはこの音は無いのである。

کد käd この言葉は「د ― d」と言う発音であるが、「ذ ― dh」とも発音する。強調やあるものを指して表現する為に用い、「秀でた、際立った」意味で用いる。「کذ ات kädh at」秀でた馬。「کذ ننك kädh näng」際立った物。

بر bir 一。数詞。「بر یرماق bir yarmaq」一枚の銭。この言葉はマンクースの章に入れて「بیر bir」とも読む。この様な例は少なくない。しかるに、テュルク語中、より正しい発音は短く硬い。

تر tär 「ار تر بلدي är tär boldi」男は照れた。これを「ار بلدي ir boldi」とも言ってより。

جر chär 体が重くなることを表す言葉。「ار جرلندي är chärländi」男は太った。ハカーニヤ語。

جر chär 時。オグズ語。「بو جرلك دا کل bu chärlikdä käl」この時に来い!

جر chär 真正面、向かい側。「اننك اؤي بو جرلك دا aning ävi bu chärkijdä」奴の家はこの向かいだ。戦いのときに相対する戦線も「جرك chärik」と言う。


v1-0344

جر chir 衣服が破れる時に発する音。「ال تونن جر یرتي ol tonin chir yirtti」彼は服をビリッと破いた。

جر chür 利益、好い処。「ال اندن نانك جرلادي ol andin näng chürlädi」彼は其処から物を得て得した。

جر جر chor chor 容器の中の乳を掻き回す音。あらゆる液体が発する音も、全て此の言葉で表せる。

جر chir 脂肪。「اشجتا جر یوق äshchtä chir yoq」鍋の中に脂が無い。元々は油の染みを指す。 「بو اتا جر یوق bu ättä chir yoq」この肉に脂はない。

جر جر char char 「ال جر جر ییدية ol char yädi」彼はきれいさっぱりに食べた。

سر sir 蟋蟀の鳴き声。「سر سر اتيي sirsir ätti」シルシルと鳴いた。

سر sir 上薬、釉薬。ある種の粘性の物質、チンの器皿の装飾に用いる。「سرلغ ایاق sirligh ayaq」上薬を塗った皿。

شر شر shar shar 雨の降る音。あらゆる液体が響き音にも、この言葉は使える。言葉の中の「ش」は、「ج」から変換されたものである。

قر قر qar qur 「قر قر اتي قرن qar qur ätti qarin」カルクルと響く腹。この言葉は文法上も、意味の上でも、アラビア語に似ている。


v1-0345

قر qur 地位、位。「منك قرم الغ mäng qurm ulugh」我が位は大きい。

قر qur 腰帯。「اج قر ich qur」ズボンの帯。

قر qir 「قر یغي qir yaghi」悪しき敵。

قر qir 「قر ات qir at」灰色の馬。

قر qir 土手、塚。

قر qir 丘、坂。

کر kür 勇ましい。「کر ار kür är」勇ましい男。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  کم کر بلسا کؤاز بلور

  kim kür bolsa köväz bolur

  誰か勇ましければ、誇りとなる。

この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  ارتش سؤي یماکي

  ärtish suvi yämäki

  ستغب تتر بلاکي

  sitghap tutar biläki

  کرمت انك یراکي

  kürmät aning yüräki

  کلکالمت ارکشور

  kälgälimät irkishür

 イェメーク人はキフチャーク人の枝族。詩歌ではこの様に言っている。彼らは袖をまくり上げ、意気盛んである。我らに向かって攻め込む為に今正に集まりつつある。


v1-0346

بز biz 我ら。「بز کلدیمیز biz käldimiz」我々は来た。

تز tüz 平らか。「تز ییر tüz yär」平らかな地。

جز chüz 錦。チンで織られた赤い刺繍に金糸織り込まれた絹織物。

قز quz 山蔭、背面。「قز تاغ quz tagh」山のうしろ、太陽が西に沈む時、ようやく陽光が差す。それは太陽の左側であり、そこには常に雪が積もり、とても寒い。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قزدا قار اکسوماس قیدا یاغ اکسماس

  quzda qar äksülmäs qoyda yagh äksmäs

  山蔭で雪が融けなければ、羊に脂が乗らない。

قز qiz 高い、高価。「قز نانك qiz näng」高価な物。「بو ات قز الدم bu at qiz aldim」我はこの馬を高値で買った。

قز qiz 女中、小間使い、婢女。「قز قرقن qiz qirqin」女中たち。

قز qiz 娘。「منك قزم mäning qizim 」我が娘。「اؤ قزي äw qizi」おぼこ。「ینجکا قز yinchkä qiz」妾。この言葉は自由身分の娘にも使えば、買われてきた婢女にも使われる。この言葉は元々「処女」の意を含み、その他の意味は似たものの派生である。


v1-0347

قز qiz 「قز قش qiz qush」人の上に落ちて来そうなくらい低く飛ぶ鳥。

قز qiz 「قز کشي qiz kishi」ケチな人。アバーク―語。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قز کشي ساقي یورغلي بلماس

  qiz kishi savi yarighli bolmas

  ケチな人の話は役に立たない。(ケチは名を挙げられない。)

 この諺は、名声を獲得したければ、気前良くなくてはならないと戒めている。

کز käz 「اق کزي oq käzi」矢の尻。

کز käz お焦げ。鍋底に乳や小麦粉の類こびり付き、削ぎ落すべき焦げ。「اشج کزي äshich käzi」お焦げ。

کز käz チンの絹織物の一種。

کز küz 秋。

کز kiz 香料を入れる箱や袋などのもの。「کزداکي کز یبار kizdäki kin yipar」箱に入った麝香、箱に保存された麝香。この句は、乙女の口の中の香りの比喩に用いられる。


v1-0348

مز miz 我ら、我々。この言葉の中の「م」の字は「ب」と交換するが、「ب」の字が現れるのは主語に用いる時である。例えば、「بز بردمز biz bardimiz」我らは行った。「کلدمز käldimiz」でも「我らは来た」になる。この規則は所有格の名詞や動詞にも同様に適用する。例えば、「اتمز atimiz」我らの馬、等々である。

بس bis 沈殿物。革袋や容器の底にたまったタールの様なもの。

تس täs 強調詞を作る附加部分。オグズ語。オグズ人は丸い物を強調して言い表す時、「تس تکرما täs tägirmä」と言う。これは規則に反している。何故ならば、物の色彩や性質を誇張して言い表す時、非修飾語の語頭を取って、その後に「ب ― p」を加えるからである。これはテュルク語の共通規則である。オグズ人は「ب ― p」の代わりに「م ― m」を用いる。テュルク人は真っ青なものを「کب کوك köp kök」と言い、オグズ人は「کم کوك köm kök」と言う。即ち、テュルク人は「کوك」の頭文字を取って、その後に「ب ― p」を付けて、「کب köp」という形式を作る。これが強調詞を作る附加部分である。色彩を表す名詞に加えて「کب کوك」 となる。オグズ人は「ب ― p」を「م ― m」に替えて「کم کوك」と言う。意味は「真っ青」である。

 黄色を意味する「سرغ sarigh」を真っ黄色と言うには「سب سرغ sap sarigh」とする。「سرغ」の頭文字「س ― s」を取って「ب ― p」を加え、形容詞を強調する附加部分を作る。同じく、空き地、平らな地を意味する「یزي yazi」を強調して形容すると「یب یزي yap yazi」となる。あらゆる強調を表す形容詞は、均しくこの様に構成する。しかし、「ب ― p」を「س ― s」に替えるのは規則に合わない。


v1-0349

تس tas 悪い、劣ったもの。オグズ語。「بو ات تس تکل bu at tas tägil」この馬は悪くない。

تس تس tus tus 絨毯や衣服などの柔らかい物を打つ時に発する擬音語。「تس تس اردي tus tus urdi」パタパタと打った。

کس käs かけら。砕けたもの一般。「ییر کس اتماك bir käs ätmäk」一かけらのナン。

کس käs 土の塊、土くれ。大小便をする時に使う。

کس kis 妻。「انك کسي aning kisi」彼の妻。ある人は、この言葉を正偏と組み合わせて使う。「ال کسي الدي ol kisi aldi」彼は妻を娶った。

بش bosh 解き放たれた。「بش یلقي bosh yilqi」放たれた馬の群れ。この言葉を使って「ال اشلار بش ol ishlär bosh (qildi) 彼は妻を休ませた」とも言う。「ال قل بش قلدي ol qul bosh qildi」彼は奴隷を解放した。総じて「自由、解放」の意味で均しく「بش bosh」で表せる。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  بش نانك کا اذي بلماس

  bosh nänggä idhi bolmas

  放たれたものに主はいない。

 この諺は、自分の持ち物をよく見張っておけと戒めている。


v1-0350

تش tüsh 途中で休憩する地点と時間。「تش اوذي tüsh ödhi 途中で休む時」は正に是に由来する。

جش chäsh トルコ石。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  یرتي یشل جش

  yaratti yashil chäsh

  سؤردي ارنك قش

  savurdi ürüng qash

  تزلدي قرا قش

  tizildi qara qush

  تن کن ازا یرکنور

  tün kün üzä yörgänür

 この様に天空を描いている。神はトルコ石で天空を創り、白い玉を散りばめて星々にして天空を飾り、天秤座(テュルク人はカラクシュと言う)を並べ、昼と夜を交互に廻らせた。


v1-0351

جش چش chish chish 婦女が子供におしっこをさせる時に使う擬音語。馬に乗る人が帰ってから、馬に放尿させるときも同じように言う。

سش sish 串。麺条をつかむものも「سش sish」と言う。

قش qush 鳥、鳥の類の総称。次の様に分類される。「ارنك قش ürüng qush」白隼、「قرا قش qara qush」草原鷲、「تؤي قش tävä qush」駝鳥、「یون قش yun qush」孔雀、「ایل قش äl qush」禿鷲。そして天秤座は「قرا قش qara qush」とも呼ばれる。天秤座が現れると「قرا قش تغدي qara qush tughdi」と叫ぶ。この星座は黎明の時分に何れかの方向に出現する。オグズ人は駱駝の蹄の爪先を「قرا قش qara qush」と呼ぶ。「قز قش qiz qush」は、羽毛の色が龍の様に変わる鳥である。

قش qish 冬。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قش قنقي اوت qish qunuqi ot

  冬の宴席は火である。


v1-0352

تف täf 小細工、謀り事。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اؤجی نجا ال بلسا اذغ انجا یول بلیر

  avchi nächä al bilsä adhigh ancha yol bilir

  狩人が幾つか仕掛けを知れば、熊は幾らか道を知る。

جف chif 葡萄酒が甕の中で発酵する時に出る音。

قؤ qiv 幸福、幸せ。

تق toq 「تق کشي toq kishi」満ち足りた者。「تق ار toq är」テュルク人と異なる髪形の人。「تق یلقي toq yilqi」角の無い畜群。「تق تق اتي toq toq ätti」硬いものが発する音、例えば石と石をぶつけた音。「ار کسي برلا تق تق بلدي är kissi birlä toq toq boldi」男と妻は互いに好く判り合った。

جق chaq 「正に、とても、好く」と同じく、正にそのもののことを表す言葉。「جق ال اتني تتغل chaq ol atni tutghil 」好いぞ!馬を掴め!「جق امجني ارغل chaq amanchni urghil」よく鞭で打て!

جق جق chaq chaq 薪、頭蓋骨や胡桃の類を叩きつけた時に発する音。「جق جق اتي chaq chaq ätti」チャクチャク鳴った。

جق chaq これは声音を表す擬声語である。「ال اني ارذي جق اتمدي ol ani urdi chaq ätmädi」彼は彼を打ったが彼は声をあげなかった。


v1-0353

زق زق zaq zaq 牡羊を呼び寄せるが時にかける擬声語。

سق سق saq saq 見張りが守衛する城堡、堡塁、馬匹に呼び掛け、敵の為す所を防ぐために用いる言葉。「سق سق saq saq」は即ち「最大限に警戒せよ」ということである。怜悧な人、目ざとい人を「سق ار saq är」と呼ぶ。

سق suq 「سق یلنکوس ار suq yalngus är」孤独な人、助手や伴侶のいない人。

بك bäk 丈夫な、固い。「بك نانك bäk näng」丈夫なもの。

بك bük こんもりと生い茂る、勢いよく茂る。

بك bük 隅っこ。ヤバークー語。

تك täk 何となく、ついでに、静かに。「تك کلدم täk käldim」何となく我は来た。「تك تر täk tur」静かにして。オグズ語。

جل جل chal chal ぼろぼろな、みすぼらしい。

جك جك chök chök ラクダを臥せさせる時に使う擬声語。

جك جك chik chik 仔山羊を呼ぶか、追い立てる時にかける擬声語。

جك chik 家畜の後ろ足の距骨の凹型の部分。羊の時は距骨の凹面を上に向け、「جك تردي chik turdi」と言う。

دك dük 「دك اردي dük urdi」手のひらで叩く。

دك dük 「دك منك dük ming」数千。「دك منك یرماق dük ming yarmaq」数千枚の銭。

دك dik 立てた、真直ぐな。「دك تردي dik turdi」真っ直ぐ立った。


v1-0354

سك sik 男性生殖器。マフムードが按ずるに、礼節を保ち、偉大なる神の経典への敬意を表す為、無知蒙昧な男女の面前でクルアーンを読経する人として、次の様な経文を声を低くして唱えなければならない。「واتت کل واحدة منهن سکینا」、並びに「مایفتح الله للناس من حمة فلا ممسك لها وما یمسك فلا رسل له من بعده」。彼らはこの意味が解からないので、己の理解した範囲で笑いを浮かべ、かくして罪を得るであろう。同じく、低い声で「ان هذا الا اختلاق」と読経せねばなるまい。テュルク語では女性の生殖器を「تلاق tilaq」と言う為である。同様に無知なオグズ人の中で「انتم انزتموه من المزن ام نحن المنزلون」という一句の疑問符「ام äm」を声を低くして読経せねばならない。何故ならば、オグズ語では女性生殖器のことを「ام」と言うからである。それらのことは、正しく経文を理解している人たちの前では、どの様に読経しようと問題はない。

شك shük 静か、安静。静める為に用いる言葉。テュルク人は「お静かに!」を「شك تر shük tur」と言う。

مك mük 屈める。「ال مك تردي ol mük turdi」彼は屈んで立った。

بل bul 銀色。「بل ات bul at」銀色の脚の馬。額に星のある馬を「اغر بل ughur bul」と言う。長年貯蔵して味の変わった小麦を「بل ترغ bul tarigh」と言う。水でずぶ濡れになって湿った小麦のこともそう言う。経年劣化して使用に耐えなくなったもの全般にも「بل bul」と言う。この言葉は発音と意味がアラビア語と似ている。アラビア語で言う所の「بلی」は、テュルク語では「بل」と呼ぶ。


v1-0355

تل til 話。「ال انکر تل تکردي ol angar til tägürdi」彼は彼を話で傷つけた。

تل til 言葉(言霊?)。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اردم بشي تل ärdäm bashi til

  男らしさの頭は言葉。

 この諺はアラビア語の諺「المرء صخبو تحت لسانه」と相同じである。これは「良い言葉」を重んじることを指す。

تل til 言葉、語彙。例えば「اغز تلي oghuz tili」オグズ語、「یباقو تلي yabaqu tili」ヤバークー語等々である。この言葉はアラビア語と符合する。何故ならば、アラビア語の「لسان」は、「言葉と語彙」として用いられるあらである。その為、「اني اتتني لسان اسر بها من علو لاعجب فیها ولاسخر」という例の中の「لسان」には「言葉」という意味が含まれる。

تل til 舌。敵方から得た捕虜。「تل تتیم til tuttim」舌を我は捕まえた。即ち、敵情を知るために、捕虜を捕まえたのである。

جل chil 塞がった傷。皮膚の上に残った傷痕。

شل شل shäl shül 「شل شل الکلك shäl shül äliklig」手が不器用な人。

قل qul 奴隷。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قل یغي ات بردي

  qul yaghi it böri

  奴隷は敵の如し、犬は狼の如し。

 奴隷が一旦主人の財物を得たら、くすねて只機会を伺い、逃げてしまうであろう。犬は其の主人にとっては狼である。何故ならば、一旦食物を得れば、節制できなくなるからである。この諺は、奴隷は自分の主人に対して信義を守らないことを説いている。


v1-0356

قل qil 人及び其の外の毛。「قل قش qil qush」春に飛来する鳥で、鴨によく似ている。ベグたちは春になると、これを礼物にして相互に贈り合う。またの名を「قل قذرق qil qudhruq」とも言う。

کل kül 灰、燃えがら。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  کل ارکنجا کوز ارسا ییك

  kül ürgünchä köz ürsä yäg

  灰を吹けば目に喰らう。

 この諺は人に小事を捨てて大事を取ることを勧める。  

تم täm 閂。「قبغ تملتی qapugh tämläti」門に閂をした。

تم tum 寒い、寒冷。この言葉は本来「寒さ」を表すが、「冷たい」と「涼しい」のどちらも表すには「تملغ tumlugh」を使う。

تم tum 色が深い。動物の毛色の「深さ」を表すのにも使える助詞である。「تم قرا ات tum qara at」深い黒の馬、青毛の馬。「تم رغ ات tum tarugh at」深い鹿毛の馬、黒鹿毛の馬。

جم chim 生、或いは柔らかい、熟していない状態を強調する詞。「جم ییك ات chim yik ät」生々しい肉。「جم ال تون chim ol ton」湿った服。


v1-0357

جم chim 泥炭、草炭。土地から切り出し、乾かして燃料にする。この為、中に草と根っこが混ざっている。「جم بجتي chim pichti」草炭を切った。

سم süm とても。「سم سجك نانك süm süchük näng」とても甘いもの。オグズ語。

قم qum 砂。チギル語。オグズ人はこの言葉を知らない。

کم käm 病。「ات کملندي at kämländi」馬が病んだ。その他にも使える。

کم köm 青色の「深さ」を強調する詞。「کم کوك köm kök」真っ青。オグズ語。

کم kim 誰。疑問代名詞。「بو کم bu kim」これは誰?この言葉は単数にも複数にも用いる。オグズ人は言う「بوی کم boy kim」この部落はどれ?これも同類の言葉である。

بن bän 我。「بن برذم bän bardim」我は行った。オグズ語。テュルク人は「من män」と言う。

تن tün 夜。「تونلا کلدم tünlä käldim」夜に我は来た。

تن tin 気、息、命。「انك تني کسلدي aning tini käsildi」彼の息は絶たれた。即ち彼の命は尽きた。

تن tin 轡。「تن تزکن tin tizgin」轡を繋げ。


v1-0358

جن chin 真の、真実の。「جن سوزلار chin sözlär」誠を話す。「جن ایدنك chin ayding」誠を君が言う。

سن sän おまえ。テュルク人は、この言葉を子供や下僕、及び自分よりも年下など、目下の者に対して使う。自分よりも年長者や敬意を表する相手には「سز siz」を使う。これに相反して、オグズ人は年長者に対して「سن sän」、目下には「سز siz」を使う。複数にも用いる。規則はこの様である為、「سز siz」は複数の意味も持つ。

قن qin 鞘。剣や湾刀などを収める鞘。「قلج قیني qilich qini」刀の鞘。

کن kän 東方では城市の名称の語尾に「کن kän」を付ける。この言葉は「کند känd」の短縮形である。

کن kün 太陽、日。「کن تغدي kün tughdi」日が出た。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  کنکا بقسا کوز قمار

  küngä baqsa köz qamar

  陽を見たら、目が暗む。

کن kün 日、昼。「بو کن برغل bu kün barghil」今日行きたまえ。昼間は太陽の光によって作られるので、太陽を日と呼ぶ。

کن یبار kin yipar 麝香。

من män 我。テュルク語。

من mün 肉湯。ヤグマー人が話すのを聞いた所、彼らは「肉湯を持ってこい」を「من کلدر mn käldür」と言い、平麺の入った肉湯が運ばれてきた。


v1-0359


 これら文字は突厥文字で書写する時は、軟音の字で書いても良いが、口語では、私が書いたように発音をする。


二字のサァッリムの語彙は完


v1-0360


三字の語彙の篇


فعل fä'l فعل fu'l فغل fi'l 型で、語頭に各種動符を帯び、語中に静符を帯びた語彙の章


برت bart 酒や液体などを量る器具。

برت part 水を飲む器皿。オグズ語。

برت برت part purt 「برت برت تتي part purt tutti」さっと掴んだ。

برت burt 夢魔。「کنی برت」※意味不明

برت bärt 主人が毎年、奴隷から搾取する貢賦。この言葉に「ی」を加えて「بیرت」と書いても良い。

ترت tirt 「انك تونن ترت ترت یرتي aning tonin tirt tirt yirtti」彼の衣をびりびりと破いた。


v1-0361

ترت tört 四。「ترت یرماق tört yarmaq」四枚の銭。四つから成る如何なるものについて「ترت tört」と呼ぶ。この言葉に「و」を書いて「تورت」としてもよい。

جرت chart 「حرت جرت chart churt」あらゆるものが壊れる、砕け散る。「بزنك اندا بیر جرت الغمز بار bizning anda bir chart alghumiz bar」そこには壊れた我らの帳がある。

جرت chirt 「جرت سوذتي chirt suzti」唾を吐いた。

سرت sart 商人。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  سرت ازقي ارغ بلسا یلدا ییر

  sart azuqi arigh bolsa yolda yär

  商人の飯が清ければ道で食う。

 この諺は既に何度か挙げた。

سرت سرت sart surt 靴を履く時に出る音。「انك اذاقي سرت سرت قلدي aning adhaqi sart surt qildi」彼の脚はサルスルとした。

سرت sirt 硬い毛、髭。オグズ人は山や丘を「سرت sirt」と言う。

قرت qart 瘡。気立ての悪い人のことを「قرت ار qart är」と呼ぶ。

قرت qurt 虫。大多数のテュルク人はこのように言う。オグズ人は狼のことを「قرت qurt」と呼ぶ。


v1-0362

قرت قرت qart qurt 「الك قرت قرت اتي älik qart qurt ätti」指をパチパチと鳴らした。

قرت qirt 「قرت ات qirt ot」短い草。同じく短い髪を「قرت سج qirt sach」と言う。とてもケチな人を「قرت کشي qirt kishi」と言う。

کرت کرت kürt kürt 「ات ارباني کرت کرت ییدي at arpani kürt kürt yädi」馬が大麦をパリパリと食べた。同じく、人が胡瓜などを食べる時に出す音も、この擬音語で表す。

کرت kürt からたちの木。山に生える樹木、矢の竿や鞭の竿、杖を作るのに使える。

قرج قرج qarch qurch 「ار ترمزني قرج قرج ییدي är turmuzni qarch qurch yädi」人が胡瓜をカリカリと食べた。

قرج qurch 「قرج تمر qurch tämür」鋼。堅く強いもの挿し、老練な人を「قرج ارن qurch ärin」と呼ぶ。頑丈で堅固なもの全般をこの様に言う。

مرغ murch 胡椒。

کند känd 町、都市。これに拠りカシュガルのことを「اردو کند ordu känd」オルドカンドと呼ぶ。意味は「国王の居住する都市」である。この地は気候が人に宜しく、アフラスィヤーブは嘗てここに居住していた。ここが即ち下秦である。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  کلنکزلیو اقتمز

  kälngizläyü aqtimiz

  کندلر ازا جقتمز

  kändlär üzä chiqtimiz

  فرخن اقن یقتمز

  furhan ävin yiqtimiz

  برخن ازا سجتمز

  burhan üzä sichtimiz

 回鶻との戦いをこの様に描いた。我らは洪水の様に彼らにぶつかり、彼らの城市を占領した。彼らの寺廟を打ち壊し、仏像の上に糞を乗せた。ムスリムの習慣はこの様である。異教徒の地区に侵入すると、彼らを侮辱する為に仏像の頭に糞を置き尿を蒔くのである。


v1-0363

کند känd オグズ人及び其の近隣の人たちの言葉では「郷村」の意味である。圧倒的大多数のテュルク人の言葉では「城市」を指す。この為、フェルガナの都市は「اوزکند öz känd」。その意味は「己の町」である。同様に「سمزکند sämiz känd」も大都市であり、この様に言われる。ペルシャ人は「سمرقند sämärkänd」と言う。


v1-0364

برس bars 虎。

برس bars 虎年。テュルク人の十二支の名称の一つである。テュルク人は十二種の動物の名で十二カ年を呼ぶ。彼らは子供たちの年齢、戦争史等、均しくこの種の年暦を循環させて数える。その来歴はこの様である。

 テュルクのとある可汗は以前のある戦争について調べようと思ったが、その戦争が起きた年について混乱してしまった。この可汗は臣民たちと諮って言った。「もし我らが歴史を整える時に、この様に間違ってしまったら、子々孫々の代に至るまで間違い続けるであろう。そこで、我らは十二箇月と黄道十二宮に因んで、各年毎に名を付け、今後の紀年にはこれらの年を一巡りさせて数えよう。それによって、我らは恒久の紀念を残し続けることになろう。」人々は可汗のこの意見に皆賛同した。この目的の為に可汗は狩りに出かけ、あらゆる動物たちを「ایلا ila」河に向かって追い立てるように命じた。これはとても大きな河であり、人々は動物たちをイリ河に追い立てた。これによって十二種の動物の名が十二カ年の名となったのである。最も先に泳いできたのは「سجغان sichghan 鼠」であった。その為に十二支の始まりに、その名が付けられ、「سجغان یلي sichghan yili」と呼ばれた。その後、泳いで川を渡った前後順序に従って年毎の名が付けられた。

  اود یلي ud yili 牛の年。

  برس یلي bars yili 虎の年。

  تؤشقان یلي tavishghan yili 兎の年。

  ناك یلي nak yili 鰐の年。

  یلان یلي yilan yili 蛇の年。

  یند یلي yund yili  馬の年。

  قوی یلي qoy yili 羊の年。

  بجن یلي bichin yili 猿の年。

  تقاغو یلي taqaghu yili 鶏の年。

  ات یلي it yili 犬の年。

  تنکز یلي tonguz yili 猪の年。

 猪の年の後、また鼠の年から新たに始まる。

 我らが本書を書いた年は回暦466年一月で、既に蛇の年に入っていた。一年が過ぎ、467年に入ると馬の年である。年暦は我らが指摘した順番に従って数えるのである。

 テュルク人は其々の年に兆が現れると考えている。彼らの見方に拠れば、牛の年は戦いが多くなる。何故ならば牛は突き当たることを好む動物だからである。鶏の年は食糧が増えるが、人々の不安も増える。何故ならば、鶏の飼料は穀粒であるからである。穀粒を探す為、土埃を立ててすっちゃかめっちゃかにするからである。鰐の年は降雨が多く、豊作である。何故ならば、鰐は水の中に棲んでいるからである。猪の年は雪が多く、気候は厳寒で、謡言が広まる。彼らはこの様にどの年にも様々なことが起こると信じているのである。テュルク人の中に一週間七日を指す言葉はない。何故ならば、「週」の概念はイスラムを受容して漸く出来たからである。

 月の名称は、都市の中ではアラブの月の名称が使われる。遊牧生活では、イスラム教に依拠するテュルク人はいない。一年を四季に分け、三か月ごとに一つの名称で呼ぶ。この様な方法を用いて一年の過程を表す。例えば、元旦後の初春の月を「اغلاق ای oghlaq ay」と言い、その後の月を「الغ اغلاق ای ulugh oghlaq ay」と呼ぶ。何故ならば、仔山羊はその月に大きく育つからである。その後の月を「الغ ای ulugh ay」と呼ぶ。何故ならば、この月は真夏に当たり、大地に食べ物は遍く、家畜は肥え、乳類は満ち足りている。その他の月の名は、あまり使わないので、ここでは再述しない。各自で了解のこと。


v1-0366

برس bars 虱、虱に噛まれて出来た腫物、或いはその後に表れた風疹。「انك اتي برس بادي aning äti bars boldi」彼の体に腫物が出来た。

ترس tärs 難しい。あらゆる難事を「ترس ایش tärs ish」と言う。

جرس جرس chars chars 「ال اني جرس جرس اردي ol ani chars chars urdi」彼は彼をパチパチと打った。四方八方から打つことを「ترس ترس اردي tars tars urdi パチパチと打った」と言う。


v1-0367

قرس qars 駝毛或いは羊毛で作られた衣服。

قرس قرس qars qars 手を鳴らす音。「ال قرس قرس ایا یبتي ol qars qars aya yapti」彼はパチパチと手を鳴らした。

کلف kölf 「تام کلف یقلدي tam kölf yiqidi」壁がドスンと倒れた。

برق barq 「اؤ برق äv barq」家産、身代。「برق barq」という言葉は単独では使えない。必ず結合してのみ使う。

ترق turq あらゆる物の長さ。「بیر سنکو ترقي bir süngü turqi」一矛の長さ。「ییرابني ترقي yär äni turqi」土地の広さと長さ。

جلق chulq 「جلق اسکرك chulq äsgürük」酩酊して居眠る、完全に昏睡する。

جلق جق chalq chulq 拳で打つ時に出る音。「جلق جلق یدرقلدی chalq chulq yudruqladi」っ拳でボコボコに殴る。

قرق qirq 四十。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قرق یلقا تکین بای جغای تزلنور

  qirq yilqa tägin bay chighay tüzlinür

 四十年過ぎれば、テギンもバイも乞食の同じになる。死んだり世の中が変わるのは四十年もかからないので、富者も貧者も同じ様になる。


v1-0368

برك bärk 頑丈、堅牢、堅固。「برك نانك bärk näng」丈夫な物。この言葉の原形は「بك bäk」であり、後に「ر」が付け加えられた。

برك börk 帽子。

  تاتسز ترك بلماس باشسز برك بلماس

  tatsiz türk bolmas bashsiz börk bolmas

  余所者なしではテュルクは有り得ず、頭無しでは帽子は有り得ない。

 頭が無ければ帽子が有り得ない様に、ペルシャ人がいなければ、テュルクと分けようが無い。

ترك türk テュルク。テュルク人の城市の一つ。

ترك tärk 速い、迅速。「ترك کل tärk käl」とっとと来い。様々な場面でせかす時に使う言葉である。「ترك قل tärk qil」とっととしろ。


ترك türk テュルク。神より恩寵を賜ったヌーフの子の名前。神はまたこの名でヌーフの子「ترك türk」の後裔を呼んだ。神の「هل اتی علی الانسان حین من الدمر」という経文の仲の「انسن」という一言は「アーデム」を表し、単数を指す。「اقد خلقتا الاتسان احسن تقویم تم رددناه اسفل سافلین الاالذین امتوا وعملو العااحات」という経文の中の「انسن」という一言は複数を表し、単数では不可能な例外である。同時に「ترك türk」という一言は、ヌーフの子の名となった時、ただ一人を表す。そしてヌーフの後裔の名の時、「بشر 人、人類」という一言が単数は複数も表す様に、複数を表す。例えば「ロムルス」という一言が、神が重んじる所のイスハークの孫、イーサーの子ロムルスの名であることと同じく、ロムルスの後裔たちの名称でもある。「テュルク」もこれと同じことである。

 我らが言及した通り、「テュルク」という名前は偉大なる神が賜いしものである。何故ならば、「الثیخ الامام الذاهد الحسین بنخلف الکاشغري カシュガルの人ハルフの子、敬虔なイマーム、導師フサイン」は私に言った。「این الغرقي」の講ずる所に拠れば、「ابن ابي الدنیا」を以て名をはせる「الشیخ ابوبکر الفید جرجرائ ジャルジャラの人、導師アブーバクル・ムフィード」は、世界の終末を描く書物で、我々が知る聖訓「یقول الله جل وغز ان لي جندا سمیتهم الترك و اسکنتم المشرق فاذا غضبت علی قوم سلطنهم علیهم」を引用した。“偉大なる神は言う。我には一つの従順な部隊が有り、我は彼らをテュルクと名付けた。我は彼を東方に置いた。もし我がある部族を叱りつけるなら、我は彼を遣わして彼らを征服させるであろう。”

 この事は、彼らがその他の人よりも高尚でことを表す。何故ならば、神は彼らに名を賜い、彼らを地上の最も善き所、最も気候宜しき所に置いたからである。併せてこれを称して「己の部隊」と読んだ。これに加えて彼らは、優雅さ、和やかさ、親切、礼儀、敬老、信義、純朴さ、謙虚さ、勇敢さ、慷慨などの数え切れない美徳を具えているのである。この言葉は詩歌ではこの様に歌われる。

  قجن کرسا اني ترك

  qachan körsä ani türk

  بذن انغا انك ایدجي

  bodhun angha aning aydaqi

  منکر تکر الغلق

  mungar tägir ulughluq

  مندا نرو کسلنور

  munda närü käslinür

 ある人を褒める時にこう言う。「もし彼が確かにテュルク人なら、人々は必ず言うであろう。偉大さと善良さはこの人に対して相応しく、他の人には相応しくない。」

 「テュルク」という言葉は単数形であり複数形でもある。例えば「کم ست kim sän 誰?」と問われれば、「ترك من türk män テュルク人です。」と答える。「ترك سوسي اتلندي türk süsi atlamdi」テュルクの軍が出で立った。


v1-0371

ترك türk 時間や時節を表す言葉。「適した時」の意味を含む。「ترك ازم اودي türk üzüm ödi」葡萄が成る頃。「ترك قیاش اودي türk quyash ödi」真昼時。「ترك یکت türk yigit」年頃の若者。

سرك särk 陶磁器の皿、及び其の欠片。

سرك sörk 「انك ذاقي سرك بوزتك aning adhaqi sörk buztäg」彼の脚はひんやりと凍った様。この言葉は只この様に使う。

کرك kürk 皮の外套。

کرك körk 美しさ、見目。「کرکلك körklüg」美しい、見目麗しい。


中間に静符を帯びた語彙の章は完

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