第2話

新居よりも西には、家どころか何の建造物もないと言うのに。


それは家に沿って南に伸びており、私の家を通りすぎてもまだ続いていました。


そして最後には行き止まりになるのです。


入り口以外の三方を全てブロック塀で囲まれた、完全な袋小路です。


道としては何の役にもたたず、何故こんなところに行き止まりの道があるのか、と思いました。


でもただそこに道があるだけで深く悩むわけもなく、そのうちに私は荷物の整理に没頭しました。


そしてもう寝ようと二階にある寝室に入ったとき、声が聞こえて来ました。


――こんな時間に誰だろう?


西のほうから聞こえて来ました。


寝室は二階の西側にあったので、私は窓を開けて外を覗いてみました。


声は下のほう、あの袋小路の奥から聞こえていました。


――誰がこんな時間、あんなところにいるんだろう?


と思って見てみましたが、真っ暗で何も見えません。


聞いてみるとその声は小さく、おまけにボイスチェンジャーにかけたのかと思うほどに不自然にこもった声で、結局何を言っているのかはわかりませんでした。


ただ男と女の二人でしゃべっているように聞こえました。


しばらく聞いていましたが、やがて何も聞こえなくなりました。


そのまま様子を伺って何もないので、わたしはベッドに入りました。



次の日、寝ようと思ってベッドに入るとすぐに、また声が聞こえてきました。


異様にこもった男と女の声が。

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