第4話 アルカディアという世界



 牢屋に連れていかれる前に、温室から出た裕司達はその世界の景色を初めて見ていた。


 美しい水晶の様な巨大な気が、何本も生える世界の景色を。


「わぁ、すごい。この世界って、こんなに綺麗な景色なんだね」

「状況が状況でなかったら、見とれていたところですわ」


 どんな絵画も霞んでしまう様な、一流の芸術品のような景色を見つめていると、男達が訝し気な声を放った。


「まるで、昔話の異邦人のような台詞だな。この世界の……アルカディアの景色を初めてみたような……」

「おい、油断するな。子供と言えど不法侵入者だぞ。とくにアルカミレスだった場合はどうなるか分からん。無駄口を叩くな!」


 もっと男たちの会話から情報を引き出したかったが、まとめ役のような人物にたしなめてしまったので、それきり会話が発生しなくなってしまう。


 そのまま裕司達は、武器を突きつけられながら近くの建物の中へと入って行き、薄暗い牢屋へと入れられてしまった。


「ここから出ようと考えない事だ。逃亡した場合は罪が重くなるだけだぞ」


 裕司達を押し込んだ男達は、そう言ってその場を去っていく。


「ま、待って。僕達は本当に悪い事なんてしてないよ。あ、でも不法で入っちゃった事はそうかもしれないけど、でも悪気があったわけじゃ……」

「裕司様、それでは逆効果になってしまいますわ」

「あ、そっか。ごめんね」


 聞く耳持たずといった様子で去っていく男達の姿が消えた後に、裕司は大きなため息を付いた。


「僕達、これからどうなっちゃうんだろう」


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