第3話 捕縛



「あの、クレハさんは元の世界に帰る方法とか知ってたり、しますか」

「残念ながら、それについてはあまり詳しくはありません……。召喚した人に、魔法を使ってもらう事ぐらいしか」

「そうなんですか」


 もたらされたクレハの言葉に裕司はうなだれる。


(とりあえず、元の世界に帰る為には、僕達を召喚した人を見つけなくちゃいけないんだ)


 落ち込んでいると、そこにクレハが声をかけてくるのだが、段々とその声が小さくなってしまう。


「こちらでも力をつくして貴方達を召喚した人が見つからないか、協力させてもらいます。その間、このクリスタルパレスで、客人として……」


 クレハの小さくなっていった声は、途中で途切れてしまって聞こえなくなってしまった。


 唐突に会話の無くなってしまった中で、裕司は焦ってクレハに呼びかける。


「クレハさん、どうしたの。大丈夫?」

「今の声は、この棺の女性の方の声なんですわよね。どこか具合でも悪いのでしょうか」


 心配になって、棺を覗ぎこむが、その中に納まっているクレハの様子は、最初に見た時とまったく変わらなかった。


 これからどうするべきかと、裕司と加奈は互いを見合わせていると、そこ制服を着た男たちがやって来た。


 全員手には怪しい武器を持っている。


「侵入者だぞ、捕まえろ!」

「ええ!」


 どうやら、裕司達は不法侵入者だと間違えられてしまっているようだった。


 弁明しようにも、クレハの声は裕司達や男達にも聞こえなくなっているらしく、無実を証明する方法がない。


「怪しい子供達だな、取り調べをするまで牢屋に放り込んでおけ!」

「そんなぁ」

「困りましたわね」


 裕司達は、男達に捕まってそのまま牢屋へと入れられてしまった。


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