ひなかご あとがき

 1996年に雑誌へ投稿した小説です。

 ひなかごとは北極星の星座のことで、ドーデーの『風車小屋だより』から取りました。

 北極星だと列車の名前のように見えたので。わかりにくいですが、書いた当時のままの題名で載せました。

 話の決着がついていないのも当時のままです。ハリウッド映画のような話なら、とっととジォンとくっつけて終わりにしますが(暴論)、なんとなくそれを書くのが嫌なので自分の本能に従ってやめました。そんなに寸止めが好きか自分。朝チュン愛好家なのか自分。


 友人に「なんでプロヴァンスの話?」と眉をひそめられました。

 これは当時『耳をすませば』を最後に映画をやめると言っていた宮崎駿へのオマージュのようなものでした。『紅の豚』などを意識して書いています。カラーは違いますが、舞台や雰囲気を真似しています。でも外側だけじゃ意味ないんだよね……という理由で書き直したいと思っているのですが。高村薫さんが自作を文庫化するときに書き直す気持ちがよくわかります。レベルはぜんぜん違うけど。

 この小説を書き直すとすれば、第二次大戦中の占領下のお話になると思います。実力が伴わなくてエピソードだけで済ませてしまった部分が心残りです。ジォンのお話としても書ける部分を切り捨ててしまったので。でも、そうするとどんどん話が長くなっていくのよね……


 この話を書いていた当時はなんか苦しんでいた覚えがあります。

 消化できないものを飲みこんでうんうんいってる蛇みたいな、そんな感じでした。

 「ジォンはロリコンだと思う?」という問いに友人が力強く頷いたときは、そうか……と遠い目をしました。

 サイトの書評などで幼児性愛を批判している人間がこんな話を書いていることは矛盾したことかもしれません。

 「してはいけない」と書いている人間が「してはいけない」ことを書いている矛盾は、話の内容で判断してもらうしかないだろうと思います。そうやって自分も人の小説を批判したり評価したりしてきたのだし。それが毒である、危険であると思いながらもどこかで魅力を感じている、私のなかにそんな部分があるのだと思います。


 そんなわけで、とんでもない間違いを見つけられた方は教えていただけると幸いです。 (2001.6.21)

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ひなかご @shoko_senju

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