村人たち(一般人)


 ムテには小さな村が点在している。

 霊山から近い順に、一から五まで村があり、霊山の恩恵が受けられる範囲である。

 最高神官の祈りによって、百八の村の五十四までは、霊山の力が及ぶ。

 各村には神官がいて、霊山の祈りをさらに遠くまで飛ばす手助けをしている。

 だが、辺境・僻地と呼ばれる田舎には、力ある神官も存在せず、霊山の恩恵はあまり届かない。

 よって、流行病などの災いやリューマ族による拐かしが時々発生する。

 本来、力ある神官こそ田舎に行くべきであるが、霊山より遠い場所で力を使うと、それだけ寿命を使うので、力があり、発言力のある神官に限って、より霊山に近い場所に赴任してしまう傾向にある。



 *一の村


 サリサやフィニエルの出身村。

 霊山にもっとも近くて大きな村。陶製の白いタイルで覆われた美しい村である。

 エリザにとって第二の故郷とも言える村。



【ラウル】


 採石師。霊山に登って石をとって来る許可を得ている者。

 照れ屋で素朴で優しく、ムテにしてはたくましい。また性格は不器用だが手先は器用で、宝石の細工にも長けている。

 霊山で足を失った後、エリザと婚約するが、自らの生きる道を求めてエーデムへと移住する。



【ララァ】


 エリザにとって理想的な幸せな家庭を築いた女性。ラウルの姉。

 後腐れのないサバサバとした明るい性格で、ややしたたかで前向きだが、それが災いして時々失敗も。



【ロン】


 ララァの夫で料理人。明るい妻に振り回されつつ、包み込むようなおおらかな人。



【ロロ】


 ララァの息子。まだ幼子ながら、赤子の妹の世話をする優しい男の子。



【アウラ】


 村外れの家でラウルと一緒に住んでいた妹。

 ジュエルを恐れるあまり、エリザとラウルの関係をあまりよく思っていなかった。

 ラウルが足を失ってからは、一転して、エリザに兄を助けて欲しい、と願うようになる。


 エリザにとって、一の村で一番仲良くしてくれたララァ一家だが、ラウルを追ってエーデムに移住してしまう。



【メイメ亭の女将】


 ロンが独立するまで勤めていた料理屋。一の村で評判。

 女将はいい人で、それがまた店を繁盛させていたのかも?



 *椎の村


 霊山の村と辺境の村を結ぶ街道にある比較的大きな村。



【リリィ】


 椎の村の外れで乗合馬車と宿を営むリューマ族カシュの妻。

 元々は、蜜の村よりもさらに遠い辺境の村出身。

 病に倒れた娘のマリを救うため、一の村まで旅をして帰る途中、行き倒れて、カシュに救われ、結婚した。



【マリ】


 流行病で死にかけたリリィの娘。

 エリザの癒しで助かり、巡り巡ってエリザを救うことに。

 元気に成長した後は、リューマ族の影響も受けて、ちょいとガサツな女の子に成長。サリサの心配の種である。



【酪農家】


 霊山の村と椎の村の途中にある小さな村落で、牛を飼っている人。

 リリィはここでミルクを買い込む。



 *栃の村


 辺境の入り口にあたる村。

 霊山の恩恵から遠く、祈り所もない村で、主だった産業もない。

 宿場として成り立っているが、よそ者も多く、ムテにしては治安もあまり良くない。



【ペルールの両親】


 宿を営む夫婦。金と幸せは比例すると信じ、娘を金持ちのリューマ族に嫁がせようとした。

 だが、根はいい人たち。



【ピエル・ロラン】


 めしいの流れ者。ペルールの恋人。

 実は、学び舎を追放された学生で、神官の子供。

 空を読むことが出来るので、ペルールの両親に気に入られ、養われている。



 *蜜の村


 エリザの故郷。

 良質の蜂蜜が取れることで有名だが、ムテでは辺境の村であり、霊山の祈りは届きにくい。

 蜂蜜の取引で、リューマ族が出入りする。



【エオル】


 聡明なエリザの兄。

 生真面目さが災いし、時に、悟ったふりをしたがる面も。

 サリサとは、エリザの知らないところですっかり仲良し。



【ヴィラ】


 隣村出身の美しい女性で、エオルが一目惚れして妻に迎えた。

 生い立ちが不幸で、育ての親に利用され、利用価値がないとなると見捨てられた。自分のせいでエオルが不幸になってしまい、もう愛がなくなったのだ、と自分を追い詰めてしまう。



【ファヴィル】


 エリザとエオルの父。妻が亡くなって以降、心病を発症し、正気を失って、本来の人ではなくなってしまった。

 ヴィラを恨んで危害を加えるようになり、村人からも嫌われるようになる。



【エリザの母】


 巫女姫に選ばれたエリザに、お前には平凡な結婚をして欲しかった……とぼやく。エリザが霊山に旅立って間も無く時を終えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る