かつての約束

ガルガード

届いて欲しい願い

霧人(きりと)視点



「陸玖(りく)」



その名を呼ぶだけで少し気持ちが救われる気がした



いつのものかも分からない遠い昔の記憶………



桜の木の下で交わした「約束」



何回も転生し何回も生と死を繰り返してきた



今は「現代」と呼ばれる電子機器や人工知能?とか言うものが発明されている時代………



時代の流れに沿って俺は生き死んできた



ねぇ………何時になったら会える?



何時になったらもう泣かないで済む?



あの時のように俺を抱きしめて



あの日のように俺の名前を呼んで



貴方の声が聞きたい



貴方に触れたい



そんな気持ちが時の流れに沿って溢れ出してくる



不老不死としての生を得た俺を



もう一度あの頃のように救い出して



お願い



陸玖………



早く俺を見つけて………









霧人「…………」


上司「相変わらず成績トップの模範解答だな 霧人」


霧人「お褒めに預かり光栄です」


上司「少しは崩したらどうだ?」


とある軍の上司の部屋で霧人はそんなことを言われるが決して崩すことはしない


上司「頑なだな………いつも通りだが……… 所でまだバディが見つからないのか?お前程の実力者ならすぐに見つかると思うんだがな………」


霧人「皆バディがいます 私のような強さだけがトップに立つ者ではバディを得ても相手を死なせてしまう」


上司「…………」


霧人は隻眼ながら戦闘能力も頭脳も軍トップの実力者だが………何故か肝心のバディ(パートナー)がいない


霧人「この後仕事がありますので失礼します」


上司「あまり詰め込みすぎるなよ」


霧人は予定していた時間に上司の部屋を出て仕事場へ行く


霧人 またやられてる………


仕事場へ行くと目を通さなければならない資料がビリビリに破かれており、正直言って見れるものでは無い


仲間「!!!この資料滅茶苦茶大事なやつじゃ………!!!」


たまたま霧人の近くを通りかかった仲間の1人が資料のことに気がつき大焦り


仲間「あの馬鹿………!!!」


霧人「内容は先に読んで把握してある 気にしなくていい」


仲間「読めてないところがあるだろ!!??追加の資料も完全にビリビリに破けてるんだぞ!!!!????」


霧人「今の科学技術なら復元できるから大丈夫だ というかお前そんな大声出たんだな」


仲間の大声に1人感心する霧人と大焦りしている仲間との温度差が激しく、いつも通りのそれに他の仲間達は遠い目


霧人「デスクワークだから問題ないよ 仕事に戻れ」


仲間「本っ当にすまない!!!!!!」


霧人 どうせいつもの事だしな


仲間の中には自分がバディを持たないことに不満を抱き、今のような資料を破いたりする輩がいるのだが霧人は至って冷静でむしろ冷たいくらい


霧人「…………」


ふと………霧人は無言でパソコンを閉じ静かに自室へと向かう………晴天で満月の綺麗な夜………月明かりが部屋を照らしベランダの前まで行きガラス張りの窓に触れる………その瞬間涙が溢れ出し霧人は口を開いた………


霧人「陸玖」


生まれてから何度呼んだのかもわからない名前を呼ぶ………泣きながら名前を呼び続ける………


霧人「陸玖………仁矢(じんや)………どこに居るんだ………」


桜の木の下で交わした「約束」………陸玖と仁矢の3人で交わしたその約束を霧人は叶える為に様々な場所に行く軍に入った………


霧人「陸玖………仁矢………」


泣きながら名前を呼ぶ………届くかどうかもわからないその願いを言う………


霧人「会いたい………抱きしめたい………触れたい………」


霧人 届くなら届いてくれ………この声が………この願いが………


霧人「俺が俺でなくなる前に………」


「俺を見つけて」





霧人はそう呟いた………

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