第5話 高校卒業

色々考えているうちに時は無情にも過ぎていき、ついに高校卒業の前日を迎えてしまった。

(明日は告白の日…)

『愛梨っ!』

『なに?』

『明日、卒業式終わったら話したいことがあるから教室に残っててくれないか?』

『いいよ!』

『ありがとう』

とりあえず約束は出来た。

愛梨は昔からモテて告白されることが多かった。しかし愛梨は全ての告白を断っていた。自分が告白していいのか今日まで悩んできた。しかし、自分の気持ちにこれ以上嘘はつきたくない。決意を固めた。

そして、次の日。

(今日はついに告白…卒業式より緊張する…)


────卒業生 入場────

(どうやって告白しよう…やっぱりストレートが1番か?それともひねった方がいいのか?分からない…)

この時はいつも長いと感じていた校長先生の話でさえ短く感じた。刻々と迫る告白の時間…

────卒業生 退場────


みんなで教室へ戻る。そうすると愛梨が話しかけてくる。

『海斗、話って何〜?』

『ちょっといいか?』

『?うん』

流石にみんなの前で告白はレベルが高すぎる。俺は愛梨を連れて人気のない空き教室に入った。

『こんな所まで連れてきてどうしたの?』

愛梨が心配そうに顔を覗きこんでくる。

『大事な話がある』

愛梨の顔が真剣になったところで


────本番だ。


『愛梨』

『はい』

『俺…愛梨のことが…好きだ』

『…』

『俺と付き合ってください』

…愛梨からの返事がない…怖い…

『愛梨?』

『…あっ、ごめん。まさか海斗も同じだとは思ってなかったから…』

『えっ?同じって…』

『私も海斗の事が好きです』

『…まじか!?』

『まじ!』

やばい…!凄く嬉しい!

俺は思わず愛梨を強く抱きしめた。

『わっ!海斗、どうしたの?』

『愛梨、俺すっげぇ嬉しい…好きだ』

『私も海斗のこと好き』

この日は我に返って恥ずかしかったので帰り道は無言だった。


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