第11話 Labyrinth

世の中に暗雲が立ち込め始めた。1955年をピークに減少し続けてきた殺人事件被害者件数が僅かに上昇しはじめた。殺人オッズは下がり、犯罪予報で危険な日が増え始めた。


今日は珍しくオッズの高い日だった。逆に殺人の起こる可能性は低いということだ。僕は溜まっていた買い物をすませるため、近所のスーパーに向かった。ぼんやりと今日までのことを考えていた。Death Chainには色々な人がいた。まるでローマのコロッセウムのように僕たちは人々の死んだり、死ななかったりする様を見ながら、悪態をついたり、お祭りをしたりしていた。購入パターンを見ると、かなりの資金を投入している人もいるようで、さながらカイジの殺し合いゲームを見る金持ちのようでもあった。自分達は安全なところからそれを眺め、今日自分が安全なことに、ある種の安らぎを感じてしまうのだった。これは、そう感じてしまう中毒性のようなものがあり誤魔化せないのだ。ふと、目の前を見ると、やさしそうな母親がベビーカーに赤ちゃんをのせて歩道を渡っているのだった。なにか嫌な感じがした。次の瞬間、




ドンッ




自動車が突っ込んできた。そして、ぼくも巻き込まれたのだった。



〜終〜


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Death Chain 山川一 @masafuro

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