第19話 治療費

ホッとしているとミオさんから連絡が入った。

メンテナンス作業を一段落させたいということだ。

一度私がアサギリサービスエリアに戻る必要がある。

確認したら工事スタッフはまだカミクパーキングエリアに留まってくれている。

私だけカミクパーキングエリアの職員とともにカミクパーキングエリアの魔力車でカミクパーキングエリアまで戻ることにした。

そこで集落を訪ね、少女が助かったことを伝えた。

治癒魔法の使える女性も魔力が回復したようで目覚めたようだ。

集落では治療費と私が立て替えた薬代をどうするか揉めているようだ。

私はまた来るということを伝えてカミクパーキングエリアに戻り、工事スタッフと合流した。

工事車両で彼らとともにアサギリサービスエリアに戻った。

メンテナンス作業を最終確認まで終了させてミオさんとともにユミさんと合流する。

ユミさんは書斎で仕事をしていた。

彼女もミノ王国の公爵だ。

そちらからの魔道具を通じて仕事が来るらしい。

主に承認するかしないかというものだが。

承認しないときには理由をしっかりと伝え、どうしたら承認されるかを指摘している。

これなら部下ももう一度頑張ろうという気になるよね。


ユミさんとミオさんを連れ、自分の車でミナミコウフサービスエリアに向かうことにした。

ミナミコウフサービスエリアに着いた時には周囲はすでに暗くなっていた。

ハルさんとナツさんもアサギリサービスエリアの魔力車で戻ってきている。


「あれ、アサギリサービスエリアの魔力車を借りっぱなしでいいの?」

「大丈夫です。サービスエリアにはまだ6台はあるはずです。いざとなれば工事車両もありますから」

「そうだね」

「今日はここミナミコウフサービスエリアに宿泊しますがよろしいでしょうか。ナツ様、医療施設の方はいかがでしたか」

「はい、少女は安定してきており入院しています。付き添いのお姉さんも病室に泊まることになりました」

「そうですか。それなら大丈夫ですね。タカシ様、食事にしましょう。それからここのサービスエリアには温泉もありますよ」

「それは嬉しいな」


夕食は鶏もつ煮とホウ等のセットを食べた。

鶏もつ煮は私の好物だよ。


「きしめんももいいけどこれもありね」


ナツさんとユミさんも満足してくれた。


温泉はアルカリ泉で気持ちがよかった。

肌がつるつるするんだよね。

特別室の近くには宿泊者用の男女別に分かれた温泉がある。

今回はそこを使ったが、ここには内部ゾーンと外部ゾーンにも日帰り入浴ができる温泉施設があるという。

ちなみにオートマタも温泉を楽しめるらしい。

ほとんど人間だよね。

温泉に入って壊れないの?


風呂上りにリビングに集まってこれからの事を話し合うのだが。。。。


「ナツさん大丈夫?」

「す、すみません、気持ちよすぎて長湯をしてしまいました」

「全く、お姉さんはいつもなのだから」


ナツさんが長湯で湯あたりしてしまった。

少し寛ぐとナツさんも元に戻ったようだ。

治癒魔法を使った?

ミオさんの仕切りで打ち合わせだ。


「あの少女やカミクの集落をそのままにはできませんのでしばらくここに滞在ということになります」

「少女は病院に任せて集落の方は特に問題がないのでは」

「そういうわけにはいかないのです。この世界では支払いを怠ったたり借金を返済できないと厄介な処分がされます。おそらく少女は医療施設に治療費の支払いができないでしょう。集落もタカシさんへの借金は返済できないと思います。そうなると強制労働が待っており、そのことが記録に残ってこれからの人生に不利になります」

「そんなことが」

「はい。まだ日本連邦傘下の国々では奴隷がないだけよいのですが」

「他の地域では奴隷が?」

「非公式に奴隷がいる国があります。世界連邦は奴隷を禁止していますから」

「そうですか。それで少女たちをどうしますか?」

「この国やこの町が何かしらの助成制度を持っていればよいのですが。明日にでも彼らと少し話し合いましょう。それからなぜこれほどに魔物による怪我人が出たか疑問です」

「明日もいろいろと忙しくなりそうですね」

「ええ、予定外ですが私のミナミコウフサービスエリアの監査を行うことになりました。それからここのメンテナンスも行いましょう」


翌日はナツさんはハルさんを連れて医療施設へ。

私とミオさんはサービスエリアでメンテナンス作業を行った。

ユミさんは公爵の仕事だ。


メンテナンス作業は順調に進み故障個所も見つからなかったのだが、


「ミオさん、カミクパーキングエリアの近くの副結界の外にある弱い結界は何でしょう」

「確かにありますよね。ここはあの集落がある付近ですよね」

「あの集落は特別の許可で副結界の中にあるはずですよね」

「はい、そのはずです」


私とミオさんは顔を見合わせた。


「まさか」

「可能性がありますよ」


結界を重ねる場合注意が必要だ。

気をつけないと弱体化や無効化をしてしまう。

その時、ハルさんから連絡が入った。


「すぐ来てください。ナツ様が医療施設職員と治療費支払いの事で揉めています」

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