第16話 シンフジ

シミズサービスエリアを東に向かって出発してすぐにシミズジャンクションから北に向かう。

午前中に監査を行ったイハラサービスエリアを横目に北上、シンシミズジャンクションから東に向かう。

シミズパーキングエリアではミオさんが監査業務をおこなう。

ここでは近くには果樹園を持った集落が見えた。

あまり離れていないな。

副結界の中じゃないのか。


「あの集落は特別に副結界の中にあります。そうでないと果樹が生産できませんから。生活に必要なものはここの外部ゾーンにかなり依存しています。出荷も外部ゾーンから行います。この集落から街に行く道はかなり危険ですから。行く時は護衛を何人かつけなくてはなりません」

「ハイウェイを利用させてあげることはできませんか」

「今の規則では無理ですね」


副結界内の側道もトンネルがあるところでは途切れてしまう。

そのためにこの集落は側道以外の道で街に出なくてはいけない。

街道ではない道には結界はない。

だから魔物の危険性があるわけだ。

バスか何かをハイウェイ経由で運行すればいいのにな。

ハイウェイ内で降りなければ問題はないともうのだけどね。

本部に行ったら訊いてみるか。

さらに上り線を北東方向へ進む。

トンネルを抜けて街道と交差するところにシンシミズインターチェンジがあった。

街道を北に800mぐらい行ったところには集落があるという。

シンシミズインターチェンジにはシンシミズサービスエリアが設置されていた。

さあ、ここの結界維持設備のメンテナンスを行うぞ。


「あ、故障個所を見つけましたよ」

「ここの部品の交換で済みますか」

「それだけでは駄目なようですね。ハイウェイ本線上にも問題が。あ、この権限だと私がいかないと駄目ですね」

「仕方がありませんね。行っていただけますか」

「はい、行ってきます」


工事用の車両2台で出発する。

現場は下り線を2km行ったところだ。

作業担当のオートマタが6人同乗している。

ミオさんは結界維持設備にいる。

ハイウェイ下り線は閉鎖した。

交通量は少ないから問題ないのだ。

現地についてミオさんと連絡を取りながら作業を指示した。

特に大きな問題もなく20分で作業は終了した。

工事車両でシミズパーキングエリアまで行きそこから上り線に入り、シンシミズサービスエリアに戻ってきた。

結界維持設備で最終確認をして作業終了だ。

状況の履歴を確認していたところ一瞬の異常が確認できた。

私がこちらに転移した時間に。

結界維持設備の本線上の故障もその影響のようだ。


少し予定より時間を多く使ってしまった。

今回ここでは3時間ぐらいかかった。

今回は近い所の本線上でまだよかった。

これが遠ければ故障個所までいくのも大変だ。

戻ってくるわけでだからその先のサービスエリアやパーキングエリアまでの往復をしなくてはならないわけだ。

サービスエリアやパーキングエリアの間隔が広いところも大変だよね。


さて、ナツさんとユミさんはどこかな。


「お二人は特別室の書斎で読書をされています」


二人を迎えに行った。


「ご苦労様です。作業が大変だったようですね。ハルさんから聞きました」

「はい、少し手間取りました。お待たせしてすみません」

「大丈夫ですよ。タカシさんの大事なお仕事ですから。ハルさんにお茶も用意していただきました。出発しますか」

「はい、シンフジに行きましょう」


予定より2時間ぐらい遅れての出発だ。

夕暮れ近くになってシンフジインターチェンジにあるシンフジサービスエリアに到着した。

ここのインターチェンジはジャンクションも持っており南に向かうとフジインターチェンジ、北に向かうとフジノミヤパーキングエリアとアサギリサービスエリアがあり、さらにハイウェイは北に続くらしい。

メンテナンス作業は明日行うことになった。

荷物を特別室に置き、食堂に向かう。

夕食は日替わり定食の特上。

ニジマスのフルコース。

様々なニジマス料理が出てきた。


「このあたりはいい水が湧きますのでシンフジからアサギリにかけてニジマスの養殖が盛んです。養殖場の結界の維持も大変ですが」

「だけどこのニジマスの刺身は美味しいわね」

「こちらのニジマスのの甘露煮も絶品です。骨まで柔らかい」


ナツさんとユミさんもニジマスを堪能してくれている。

明日はここシンフジサービスエリアでのメンテナス作業をしたのち、アサギリサービスエリアの向かうのだそうだ。


「ここの作業も少し時間がかかりそうです」

「どこからか情報が?」

「はい本部からそのような情報が入っています。詳細は結界維持設備で確認してみないといけませんが」


明日も大変そうだ。

兎にも角にも、体を休めよう。


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