第12話 持ち物の準備

ミノ王国王女であるナツさんとユミさんが同行することになって彼女たちは従者との別れを惜しんでいる。


「お嬢様ご健康にはお気を付けください」

「爺も元気でね」

「タカシ様、お二人をよろしくお願いします。もし、返品の際はお手数ですがミノ王国まで送り届けてください」


「わ、わかりました」

何かすごい発言をする爺やだな。


「私たちもタカシ様に返品されないように頑張るわ」


ナツさん、あんたもそれでいいのか!


「ご安心ください。『賢者システム』が安全を保障します」

「ありがとうございます。ミオさん、ハルさんも二人をよろしくお願いします」


「わ、私もタカシさんとの子供を爺に見せることができるように頑張るから」


頭が痛くなってきた。

この先、ものすごく不安を感じるよ。


仮の認証の器具を着けたナツさんとユミさんも魔力車に乗せてフジエダインターチェンジを経由して『賢者のハイウェイ』を使ってシズオカサービスエリアへ向かう。

ここの世界では多くの上下線のサービスエリアやパーキングエリアが隣接するか通路で繋がっており車両も特別なゲートを使って移動できる。

また、外部ゾーンからスマートインターチェンジを使った場合、直接本線に入るのではでなく一度サービスエリアの駐車場に入ることができる。

そう言えばナツさんとユミさんの荷物は?

沢山あったようだけど、どこにやったの?


「この車両には収納の魔道具が後ろにありますからそこに入れてあります」


そういうことか。

到着したところで見せてもらったら広さが1m×60cmで厚さ10cmの箱があった。

ミオさんが箱の横を触れると箱の上にタブレットが。

これが収納操作機だという。

収納から出した二人の荷物をハルさんの準備した台車に載せ、私が宿泊している特別室へ運ぶ。

部屋には余裕があるからね。

彼女らにそれぞれ部屋を割り振った。

少し遅くなったが食堂で昼食ということになった。

10時にカフェでタルトを楽しんだのでまだそれほど空腹ではなかったが。

二人とも身分証とシステムカードを持っていてATMを含めて使い方はわかるという。

口座には数千万円が入っているという。


「だからお金が必要なら頼ってくれていいのよ」


ユミさんが言ってくれた。

ごめん、その100万倍以上持っているのだけど。

ミオさんに確認したら彼女らの食事なども必要経費で問題という。

必要経費のシステムカードで5人の昼食を用意した。

日替わりランチでいいとということなので日替わりランチの上を注文したよ。


今日のメニューは

お浸し

温泉卵

てんぷら3種

刺身3種

茶碗蒸し

とろろ

麦飯

お新香

味噌汁

デザートにはとろろのアイス

で1000円だった。

かなり安いよね。


「ナツさんとユミさんは好き嫌いとか、体質的に食べてはいけないものとかはありますか?」

「いいえ、2人とも何でもおいしくいただきます。ですから旅で食べる食事は好きですよ」

「そうですか。それはよかった」


昼食後、旅に持っていく持ち物の準備と確認をした。


まず、ナツさんとユミさんに認証用の収納機能付きの腕輪を渡した。

システムの結界維持設備以外には入れる認証になっている。

収納機能は私と同じだ。

彼女らの荷物もここに入れればよい。


「でもすごい容量ね」

「何か知られたら狙われそうね」

「ナツ様、ユミ様。お二人がお持ちのポーチは収納機能がありますよね」

「ええ、でも20Lぐらいよ」

「お二人は魔術師ですから頭の中で思い浮かべて操作することもできますよね」

「そうか設定を頭の中で変更して周囲に人がいるときは一度ポーチに出してそこから出すようにすればいいのかあ」

「そんなことができるの?」

「彼女らのように高位の魔術師の方ならばということですが。タカシさんはこちらをどうぞ」

「ウエストポーチ?」

「はい、手を入れてみてください」

「うおー、底なし。いや底はあるか」


腕が付け根まで入って底にたどり着いた。

覗き込むと沢山のポケットがあるディバックの中程度の空間があった。


「中には15Lぐらいの容量があります。ポケットもたくさんあるでしょ。手を入れられるのはタカシさんだけです。中身を掏られる心配もありませんよ。すぐ出したい物はこちらに入れておいたらいいでしょう。入れられる大きさはポーチの口を通る大きさということになります」

「これは便利だ。ポーチの口も拡げれば20cm×10cmぐらいになるね」

「タカシさんから20mぐらい離れると自動的に腕輪の収納に入ります、収納操作機を出す要領で腕輪の青い所に右手の親指を赤い所に中指を当てて3つ数えれば出てきます。腕輪に収納したいときの操作も同じです」


携行できる治癒の魔道具や魔法薬が渡された。

これで裂傷や打撲程度までの簡単な怪我や風邪程度の病気は治せるということだ。


「より重篤な場合は治療院が付属しているサービスエリアや町の治療院に行かなければなりません。そこにある大型の診察の魔道具と治癒の魔道具を使わなければいけません」


「私もいるから大丈夫よ」


そうだね。

ナツさんは治癒魔法が使えるのだよね。


トラベルキットや衣類は持っている。

フジエダに行く前に腕輪の収納へ入れた。


「こちらを」


私が預けたノートパソコンとタブレットとスマホだ。


「こちらで使えるようにしてあります。インターネットもハイウェイ上と内部ゾーンと外部ゾーンと『賢者システム』の持つ施設内では使えます」

「町にあった商店でも?」

「はい、『賢者システム』の商店には休憩スペースがありますからそこで使えばいいですね」


車内に設置してある機器も使えるようにしてあるということだ。

充電も車内や宿舎でできるから問題なし。


ナツさんとユミさんがノートパソコンとタブレットとスマホに興味を持ったようだ。

工場や『賢者システム』の本部に行けば似たようなものが手に入るということだ。

ここを出発した後、本部に向かう予定だからその時に渡せるかな。

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