第8話 旅立ちの準備(5)

人口約4263万人。

これが現在のこの世界の地球の全人口だ。

そのうち日本 約2200万人。

日本以外のアジア地域 約920万人。

ヨーロッパ地域 約400万人。

アフリカ地域 約300万人。

北アメリカ地域 約200万人。

ラテンアメリカ地域 約200万人。

オセアニア地域 約40万人。

南極地域 約2万人。

その他の地域 約1万人。


宇宙嵐による災害が起きた時、生き残ったのは日本が約550万人、その他の地域が約200万人だった。

合計で約750万人だった。

単純に約250年で全体で7倍弱、日本は人口が4倍、他の地域が10倍になっている。


「日本からの移住者も世界中にいますよ」


7割以上が日本人だったことから公用語が日本語、通貨単位も世界共通で円になった。

『賢者システム』でも公用語が日本語、通貨単位は円だ。

日本からの移住もし易くなったわけだ。

日本に生き残りが多かった理由は賢者が日本人だったことが関係しているようだ。

さらに狭い地域に『賢者のハイウェイ』が多くあり結界の影響が強かったこと、賢者の本拠地が日本にあり賢者による救出が早かったことが関係している。


『賢者のハイウェイ』を許可しなかった国や地域の被害が大きかったという。

災害後に『賢者のハイウェイ』を建設するのだが。

『賢者のハイウェイ』のうち災害後に造られたものは約30パーセントだ。

災害後3年で作られたそうだ。

これによって住める地域が増えたわけだ。


行政はどのようになっているのか教えてもらった。


「都市国家とそれをまとめる地域連邦、そしてその地域連邦をまとめる世界連邦があります」

「都市国家というと都市部のみが国ということですか」


私は外壁に囲まれた都市を想像した。


「いいえ、中核になる都市と周辺地域で国家を作っています。都市や町や村は先程も話しました魔道具の結界で魔物からは守られています。中核都市の中には外壁に囲まれた都市もあります。領主や支配者の城塞も存在します。自分たちの支配する領土がどこまでなのかを地域連邦と世界連邦と『賢者システム』に登録しますがその際登録しようとする領域が重なることによるトラブルもおこります。そうすると紛争が起こります」

「登録ですか」

「はい登録した場所はその国家が管理しなくてはならないので管理できない魔物が多い地域や環境の厳しい地域を登録することはありませんね。開発を行いたい地域がある場合は仮登録を行います。『賢者システム』が持つ土地は国家には入りません。各国家内に『賢者システム』が土地が必要な時はその国家や個人の持つ土地を有償で借りています」

「『賢者システム』の持っていないでさらに登録されていない土地はどうなっていますか?」

「地域連邦と世界連邦で管理ということになっていますが実質放置状態ですね。『賢者システム』が開発をして所有していくこともありますよ」

「海はどうなっていますか」

「岸から20kmが領海ということになっています。海岸線が複雑で境で揉めるたりお互いの岸の間が40km以下だとそこでも境で揉めることがあります。地域連邦で裁定をするのですが不満が出ることも多いですね。管理できないような小島を登録してその周囲を領海にしようという国家もいます」

「『賢者システム』の土地を奪おういう動きはないのかな」

「ありましたよ。ことごとく捕らえられました。その国家の支配者は悲惨な生活を行うことになりましたよ。それからはちょっかいは少なくなっていますが」

「国家の支配者は国王とか」

「皇帝・国王・王・領主・公王・大統領・国家代表。そんなところですね。国の支配者を国民が選ぶ国もあれば世襲制の国もあります。国によっては貴族がいる国もあります。立憲君主制の国もあります。あ、宗教国家もありますね。そこの代表は教皇を名乗っていますね」

「法律とか税金とか出入国はどうなりますか」

「法律は国際連邦が提唱している国際標準の法律に準拠して各国の法律が作られています。そうでないと『賢者システム』からの恩恵が受けられなくなりますので。税金には住民税、所得税、法人税が一般的です。消費税や関税や相続税は国によりますね。『賢者システム』に対しては法人税や関税がかかりません。オートマタにも住民税、所得税はかかりません。『賢者システム』は各国家に住民の人数に比例した交付金を出していますから当たり前でしょう。出入国に関しては町や都市に入るときや街道の関所を通るときに身分証を提示して税金を支払うぐらいですがタカシさんの身分証は免税だということが表示されていますから問題ありませんよ。消費税がある町では消費税を支払うことになりますけどね」

「国の枠を越えたような組織は『賢者システム』以外でありますか?」

「あー、はい、様々な職種に関する『ギルド』があります。このような組織を作るときは『賢者システム』に登録してもらっています。連絡の魔道具も必要ですから必ず登録してくれますよ。登録することによって『ギルド』にも恩恵もありますから。今あるのは商業ギルド・工業ギルド・傭兵ギルト・製薬ギルド・医療ギルド・農業ギルド・魔術ギルドですね。必ずギルドに入らなくてはいけないわけでもありません。国によって温度差がありますね」

「傭兵ギルドって戦争のためですか」

「紛争での依頼もありますが護衛とか警備とか魔物討伐が仕事になります。魔術ギルドは魔術や魔道具の研究者の集まりですから変わった方が多いですよ」


色々と細かいことを教えてもらっているうちに夕食の時間になった。

夕食は日替わり上定食を勧められた。

2000円。

トンカツとサラダと7種のフライの盛り合わせ。

トンカツは一口ヒレカツと2つとロースかつ1つ。

フライはホタテと車海老としし唐となすと玉ねぎと鮭と鰯だった。

お浸しと白和えと煮物と茶碗蒸し。

ご飯と味噌汁とお新香。

デザートが果物の盛り合わせ。

コーヒーとお茶。

ご飯と味噌汁はお代わり自由。


ちょっと食べ過ぎた。

明日は外の出てみることになった。

外部ゾーンを見てから近くの町に行く予定だ。

書斎で一人でインターネットを利用した。

私が元いた方の地球ではまだ3時間しか経っていないんだな。

不思議な感覚を持ちながらベットに入った。

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