第四話「雨、逃げ出した後」

 タイトルを確認するために、ウィキを確認するんだけど、なんとこの話だけ全シリーズを通して、僕らのヒデこと庵野秀明が担当してないんだってさ。初めて知った。


 そしてまずい、ぜんぜん覚えてないぞ第4話。


 たしか、前の戦いでミサトが激おこだったので、嫌になって家出するって話なはず。そして、途中でケンスケっていう同級生に会って、なんかいろいろ話をしてなんだかんだで、ミサトのところに帰っていくんだよなあ。

 ふわっとしてるなあ。


 途中でなんか映画館にいてなんだか前のカップルが、イチャイチャしてるんだよねえ。


 うーんこれシンジ君なんで、ミサトのところに帰ったんだろうか?

 きっかけないんだよね、記憶をたどる限り、だって、ミサトは前回命がけで使徒と戦ったのに、なぜかそれをわからずにシンジを怒鳴りつけたわけだ。劇場版の時もそうだけど、ミサトって本当に人の気持ちがわからない人なんだよね。


 で、なんでミサトのところに戻ったのか?少年ハイロックなら戻らないぞ、正直14歳からしたら29の女って憧れより、ババアじゃんって思いの方が強いからラッキースケベを期待したとも思い辛い。

 見直してみるか第4話。


 でさ、こんなエッセイまで書いておきながら実はDVD持っていないのである。どうしよう、今すぐ見たい!こりゃあ、アマゾンあたりを探すしかないか……。


はい、TSUTAYAで全話借りてきましたよ。

2週間で全て見るのかあ、辛いなあ。


 さて早速4話を見てみます。


 ――うん、やっぱりおもしろいね。エバ!

 4話に関して言うと国語の教材じゃないかと思うくらい、シンジ君の心の変化が描かれている。

 で多分ハイロック少年は、当時相当シンジくんにイライラしたと思う。とにかく、すごいうじうじしてるわけ、しょうがなくやってやってるんだ感がすごいんだよ。


 だけど大人になって改めて、第4話をみると、すげーミサトにイライラするんだ。


 まったくシンジの気持ちを理解せずに、ただ自分の立場を振りかざして説教をするだけ。少年ハイロックは当時ミサトがシンジに説教するのを見て「そうだ、そうだ言ってやれ」と思ったはずだが、それは大人というのは完成されたもので、正しいという固定概念が植え付けられていたからである。

 

 ところが今になってみてみるとミサトがシンジ以上に接し方に困っているのがわかる、本人がヤマアラシのジレンマという風に語るように、ミサトもまた、シンジへの接し方がわからず、叱りつけることしかできなかった。適切な距離を見つけることができずにいたのである。


 あの時ミサトが求められていたのは、上司としての立場ではなく、「僕のことをほめてほしい、認めてほしい」と思っている一人の中学生の承認欲求を理解することであった。


 「しょうがなく乗ってる、お前らのために乗ってやってるという気分」のシンジ君に、上司として言葉を投げかけても届かないということぐらい、29歳のお姉さんならわかってほしいのだが、ミサトはとにかく自己中心的な、いかにも結婚に行き遅れた独身女性なのである。


 だめな女性だなミサト。なんで、作戦担当なんだろうか……。


 改めてみていくと、決してシンジはミサトのところに帰ったんじゃないということに気づく。なんなら、ぐらつくシンジをネルフから離れさせる決定的な一言を放ったのもミサトであって、ミサトとしては、シンジのためを思って言ったつもりなんだろうが完全に失敗である。(ミサトのヒステリーのようにしか映らない)

 シンジに出会った時に言われた通り、ミサトは年の割に子供であるともいえる。


 ではシンジを、引き戻したものは何かと言えば、それは同級生であろう。大人たちには誰にも認めてもらえなかったが、初めてシンジを認めたのが、シンジを殴ったトウジとケンスケである。

 「あのコクピットの中でくる信じてるシンジを見たら、俺らは何も言えへん」とトウジが言ったおかげで、シンジは初めて自分の状況と成果を理解してもらえたと考えたのではないか。


 さて第4話までエヴァという物語は、少年が社会に出て不条理に出会う、そしてそれに反抗する、いや犯行というか逃げ出す、そして、理解者に出会うという構図を示している。


 この前の世代までは、不条理に出会った時には、校舎の窓を割るか、盗んだバイクで走りだすものだったが、バブル崩壊に伴って、不条理に対して逃げ出すという選択肢が生まれた。

 その際、何かに出会えれば、再び社会という不条理に飛び込めるのだが、何にも出会わず承認欲求が満たされなければ、引きこもるしかなくなってくる。

 現にこの辺りから引きこもりやニートが社会問題として騒がれるようになってきた。

 そしてこの後さらに、lainなんていうアニメも登場するのであった。エヴァがこういった現象の中心にいたことは間違いないだろう。

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