第8話 倒れ伏したカナ
カナの袈裟斬りの斬撃を躱し、魔人が僅かによろめいた瞬間、魔人の足元が弾けた。
ダンは先程魔人の眼前に放った爆発の魔法を、今度は魔人の足元に使ったのである。
魔人は堪らず、仰向けにひっくり返った。
絶好のチャンスである。
ダンはカナの勝利を確信した。
カナは魔人の首筋めがけて剣を突き刺した。
ところが、驚くべき事にカナはそれでも魔人を仕留められなかった。
剣は魔人の首筋の横…地面に突き刺さっていた。
「カナ、お前…」
ダンは信じられない気持ちで、その光景を見つめていた。
「ダン…」
ダンのほうに振り返ったカナの顔は今にも泣き出しそうだった。
ダンはようやくわかった。
何故カナが魔人を斬れないのかを。
カナは魔人に馬乗りの体勢になっていた。
魔人は左腕を伸ばし、カナの頭を片手で鷲掴みにした。
地面に剣が突き刺さったままになっていたので逃げるのが遅れた…というわけではなく、カナはもう泣きべそをかいていて、逃げるどころではなかったのである。
魔人は上半身だけ起こした体勢で、まるで手毬でも放るかのように、カナの体をダンの後ろにあった大木の太い幹に向かって投げつけた。
ドォンという轟音が響き、大木が揺れ、叩き付けられたカナはそのまま木の根元に倒れ伏した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます