BARにて②

~♪

「さ、ここだ。」

「うわぁ…」


広っ!!…というより…Barって暗いんだな…。飲み屋くらいしか行ったことないから、なんか新鮮だな…。


「なかなか良い所だろ。」

「はい。何と言うか…暗いですね。」


「…あ~、ははッ、そりゃ暗いな。Barだかんな。」


ですよね…!


「何にいたしますか?」


俺がメニューを見だしたのに、すぐに矢間根さんに取り上げられてしまった。


「この子には、一番アルコール少ないやつで。俺はミルク入ってるヤツ。」


「…え゛!?」

酔えないじゃん!!!!


「お前に酔われると、作戦会議ができないからなぁ…。」


ま、また仕事ですか…ですよね…。論破出来なかったし…。



「言っておくが、企画の話じゃないぞ?」

「…はい?」


俺は混乱しつつ顔をあげた。

…あれ?なんか超まじめになってる…?


「ん゛ん…。いいか?お前には今から重大任務を言い渡す。」


「な、何でしょうか…。」



なに言い渡されるんだろう…俺が出来る事って…あるか…?



「…それは「お待たせ致しました。『カルーアミルク(悪戯好き)』と『○ルピス』でございます。」…。」


…間合い悪ッ!!マスターさんのKY!!


「…とりあえずこれを3分で飲み切れ。一気でもいいから。」


「…え?だってこれノンアル「シッ!余計なこと言わないで飲め!!」…はい…?」


…どういうことなんだろう…。


結局俺はノンアル…どころか、カル○スを!カ○ピスを!!3杯を飲むことになった。


「…あの…一体僕は何を「次の動きは部屋で話す。」…はぁ…。」


…わけがわかんなすぎてイラついてきたのだが…。


「俺にもたれながら部屋に戻ること、いいな?」


「…why?ボク、自力デ歩ケルノネ…。」


「お前、カルピ○で酔うのか?」

「酔いませんよ!!失礼な!」


俺の言葉に矢間根さんはクスッと笑った。


「なら良かった。酔ったらフリにならなくなるからな。」

「え…、フリですか…?」



…どうしてフリをする必要なんか…?


「どうして?って顔してるな。」

「…はい。」


矢間根さんは俺の頭をポンポンとしながらククッと喉を鳴らした。


「詳しくは部屋に戻りながら話す。」

「…分かりました…。」


急に立ち上がったら、腹がグルグル言い出した…。

あんだけカルピ○飲めば当たり前なんだろうけど…それにしても気持ち悪い…。


「…おぇッ…」

「おい、マジで吐くなよ?」


「…分かってます…う゛…。」


…と、とりあえず、部屋に向かおう…と言うか、早くトイレ~ッ!!



吐き気を抑えながら…酔いつぶれた演技を怠らずに、ズルズルと引きずられながら、どうにか部屋についた。



「吐き気は落ち着いたか?」

「はい、大丈夫そうです。」


「よし。じゃぁ、次の作戦を言う。」


作戦て…戦うことなんてない気が…。


「…はい。」

「お前は今、酔い潰れてここに運ばれてきた。」


「…そうですね…。」


「そして俺は今夜お前を抱く。」

「…え゛ーー!」


「…フリだ馬鹿たれ。」

…なぜフリなんか…?

さっきから話が見えてこない…ッ!!!!



「そして、俺に襲われているところに、王子サマがやってくる。」


「…どちら様で…?」

「」


…ってここで黙んないで欲しいのですが!!

怖いのですが!!!!



「…めんどくせ…。とりあえずお前は寝たふりをして王子様に助けてもらう。わかったな。」


それだけ言うと、矢間根さんは俺のワイシャツに手をかけた。


「…え、あの…」

「嫌なら自分で第4まで外せ。」


…第4…?…それって…ッ!!!!??


「僕、100%襲われちゃってるじゃないですか!!」


「当たり前だろ!!」


「い、嫌です!!!!」


俺はワイシャツの襟をギュッと握り締めた。

…マジで何が起きてるの?


俺どうなっちゃうの????


「…チッ、分かったよ…手、退かせ。」

ホッ…良かった。


俺は襟から手を下ろした。


パシャッ


は?

パシャッ?


「今、写真撮りました…か?」


「あぁ。」


w・h・y・?

意味がわからない…この変態オヤジッ!!!!


「今、失礼なこと考えたろ?」

「う゛…。」


「王子だって、人に姫を盗られるのは耐え難いだろうな…。」


「はい?…姫…?」

姫って誰のことなんだろ…。

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