生き残る道。

唐突に生き残る道を迫られ、困惑するジェームズ。


と、思っていたのだが、



「脱出は楽かもだが、逆にヤツに常に襲われる恐怖に追われながら最後まで怯え続けなければならない。が……」


「ヤツを倒して仕舞えば、もう何も怖いものはない。楽に脱出するだけだ」


「だな……」



「ダメージは与えている。勝ち目がないわけじゃない」


どうも三人はバケモノを倒す方で話を進めたいらしい。



「ま、まて‼︎本気か?」


あんなのに勝てるわけないだろうと反論するジェームズ。


「なんだ?ビビッてるのか?」


アドルフが煽るように問いかけてくる。


どうやら話の流れ上、選択の余地などなく、初めからバケモノを倒す方法を会議する話し合いだったらしい。


「大丈夫だ。俺たちはベテラン、これくらいのピンチ何度もひっくり返してきた。」


ジェームズの肩を叩きながら自信満々に言うアドルフ。



「それに、実のところ、バケモノを倒さずに脱出できたという例の方が少ないんだ。」


カルロスが現実の話をする。


「……そうなのか?」


現実的ではないと真っ先に切り捨てようとしていた選択が生き残る道だと知り、困惑を隠せないジェームズ。


「ああ、だから確かに最初は怖いかもしれないし避けたいかもしれないが、気をしっかり持って欲しい」


哲郎がジェームズの肩に手を置く。



「一番厳しそうに見える道の方が案外当たりってこともあるってことだ」


カルロスも手を出し、ジェームズに握手を求める。


「……わかった。ヤツを倒そう」



覚悟は決まったと、カルロスの手を取り、握手を交わすジェームズ。


その表情にもう迷いはない。




パァァァ……


すると、ジェームズの手の甲に何やら紋章のようなものが浮かび上がった。

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