ステージ

言い合いが落ち着いてすぐ、ボロボロになったカルロスが、ジェームズにヨロヨロと歩み寄り、話の続きを始める。


……ちなみに、アドルフはキレてどこかへ行ってしまった。



「すまんすまん、あー……ステージってのはだな……」

「いやいやいや、大丈夫なのか?……その、ボロボロだぞ?」


流石に気になったジェームズが、そんな状態で平然と喋っているカルロスのダメージを心配する。

「……ん?ああ、大丈夫大丈夫、忘れたのか?ってか知らんか、俺は軍医なんだ」


「……ああ、だから?」


カルロスが軍医だということはアドルフからさっき聞いた。

怪我を治す知識があることもわかる。


だが、だから何だ?

という疑問を持つジェームズ。


「えっ?いや……回復はお手の物だぜ‼︎って……知らんか」


タハハハ‼︎

と笑いながら包帯を一巻きポケットから取り出したカルロス。



「これだよ、これ、これを巻くとだな……ほら‼︎」



そしてそれをアザだらけになっている腕に巻きつけた。


すると、


パァァァ……


と、優しい緑色の光が包帯から出はじめた。


そして、光はカルロスの体全体を包んでいき、


「……傷が、治っていく」


包帯を巻いた腕だけでなく、体中の傷がみるみる治っていくのを見て驚きを隠せないジェームズ。


「この世界ではどんな怪我でも一瞬で治せるんだ。もちろん軍医である俺の力があってだけどな」


完全に怪我を治したカルロスが、変わらずに説明してくれる。


「で、話を戻すが……あのバケモノ、俺たちはオリジナルって言ってるんだが、やつはまだ本気じゃないんだ。」


「なんだと⁉︎」


もうすでに二人もやられているのに、まだ本気じゃないのか?


と、敵の底しれない力を知るたび絶望していくなと思うジェームズ。


「やつら、オリジナル以外にもいるからあえてそう呼ばせてもらう。やつらは戦闘開始から俺たち人間や、野生の動物を食う。食うと経験値がたまり成長する。そして、ある程度成長すると進化してステージが上がるんだ。」


敵の力について、淡々と語るカルロス。


「で、つまりはステージってのはだな、要は進化段階だと思ってくれたらいい。基本的にステージは3段階あって、一つステージが上がるごとにやつらは新しい能力に目覚める。」


能力といわれても、まだその目で見たことのないジェームズにとっては、あまりピンとこないと話だが、要は強くなるっていうことなのだろう。


「ついでに、奴らにはステータスっていうのがあるんだが、体力とか攻撃力とかな……」


「それも進化すると強くなるのか?」


「ああ、進化前からすると、倍まで跳ね上がるんだ。」


「倍……」



相変わらず軽い口調で言っているカルロスだが、恐ろしいことだとジェームズは感じている。


仮に体力……HPか、


があと少しの所まで減らせていたとしても、進化されたら半分も減らせてないということになる。


それだけではない。


防御力も上がるため、ダメージ自体半減するし、


逆にこちらのダメージは倍になるというのだ。

一撃が命取りになりかねない。


そんな敵からどうやって生き残るのか?


『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎』


さっきよりも大きい重い奴の咆哮が轟いた。

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