第20話

「お姉ちゃんお姉ちゃん、たいへんだよ~妖魔が出たよ~」


私の名前は、神野 いちご。

お姉ちゃんの神野 りんごと黒巫女やってます。


「お姉ちゃん何してんの。早く降りてきてよ」

し~~ん

「あ~、もう~」


お姉ちゃんは、とても強いのに妖魔退治に興味がない。

私としては、もっとやる気を出してほしい。

そんなことを考えながら、いちごはりんごの部屋の扉を開けた。

そこには、いつもと変わらぬりんごがいた。

裸で大の字に寝ているりんごがいた。


「早く服着てよ。ほんとは起きてるんでしょ」

「・・・」


妖魔退治なんてダルいこと、したくないな。

今日はいちごに任せよう。

うん、それがいい。

それでは早速仮病でもつかうか。


ひっく


?ひっく?


「な、なんで、おねえちゃんは、いつもそうなの。ひっく」


や、やばっ。

いちごが泣いてしまう。


「じょうだんじょうだん。ほら、ちゃんと起きてるから。すぐにいくから下で待ってて」

「ほんと?」

「ほんとほんと」


りんごは、いちごの涙にはものすごく弱いのだ。

いちごもそれを知っていて、度々最終兵器とばかりに泣いて見せる。

そんなこんなで姉妹は妖魔の出た現場に到着した。


「ごくろうさまです。妖魔はどこですか?」

「あっ、ごくろうさん。このさきの結界に閉じ込めてる」

「おねえちゃん、妖魔はこの先にいるんだって」

「わかった」


りんごは頷き、ゆっくりと歩いていく。

そして、腰のあたりに手を当てた。

そのとき、いちごの声があたりに響いた。


「みなさん、向こうを向いてください!」


慣れた様子で、魔導機動隊も後ろを向く。

しゅるしゅる

スカートが落ちる。

数歩歩いて次は服。

そしてない胸を隠したブラを、りんごは外した。

妖魔の目の前まで行くと、パンティーを外した。

りんごが腕を伸ばすと、いちごがりんごに刀を渡す。


「いちご」

「う、うん」


はあ~。

これさえなければ、もっと尊敬できるおねえちゃんなんだけどなあ。

妖魔の退治をする代わりにいちごはある約束をさせられたのである。

服を着てるとやりにくいから、裸で妖魔と戦うと。

りんごが言うには、一糸まとわぬ姿で緊張感を限界まで出し切りたいという理由だった。

でも、ほんとなのかな。

裸の方が力が出せるなんて。

ほんとなら、その方が危険度が低くなるんだけど。

う~ん、それにしてもお姉ちゃん、妖魔と戦うのが楽しそうに見える。

実際そうなのだ。

りんごは、裸で誰にも文句を言われず暴れまわれることが楽しいのだ。

裸族として。

妖魔退治は面倒だけど、外でおもいきりはしゃげるのは、こいつらに感謝かな。



姉妹が妖魔を封印しているころ、小夜と村正は群馬県のとある田舎の宿屋にいた。

今日はダメだな。

諦めろ小夜。


「いや、ぜったいに行く!」


小夜の声に合わせるように、窓の外が光り轟音がする。


「きゃ~!」


ほらみろ、そんなんでどこに行くって言う気だ。


「うっさい。きゃ~!」


窓の外の雷の轟音はやみそうもない。

いわゆるゲリラ雷雨のせいで、今日の小夜のお仕事は中止になった。


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