第二十八話(Bルート) 二人の復讐
※こちらのお話は先に投稿してます最終話のイメージを壊す恐れがあります。
お読み頂きたいですが、ご注意下さい。
二十七話最後部分からの続きになります。
廃村ロフィア
「クローゼと一緒に戦いたい」
目を見開き驚くクローゼ。
その答えは想定外だったのだろうか。
「ミルマ、私は……」
ミルマはクローゼの方に振りかえり、笑顔で話す。
「ここまで来れたのはクローゼのおかげ、私一人じゃ無理だったよ。だから、お願い。一緒に戦ってほしいな!」
「ミルマ……」
クローゼは少し考えた後、頷いた。
「し、仕方ないわね!」
「やった! ありがとう!」
「話は終わったか? なら始めよう」
黙って様子を見ていたゴールが武器を構える。
ミルマとクローゼも剣を手に取り、それを確認してゴールが二人の間に分断するように斧を振り下ろす。
大きな衝撃と共に二人は左右に分断され、両側から挟むように攻撃を仕掛ける。
ゴールは右からのミルマの斬撃を片腕で払い退け、左からのクローゼの剣を斧で防ぐ。
「むー、私の方は武器すら使わないで余裕ってこと?」
不満そうなミルマはゴールの背後に回り込み力一杯剣を振るうが、またしても片腕で防がれる。
「ミルマ、その攻撃は無駄じゃないわ。おかげで私は攻撃を通すことができる」
正面からはクローゼが素早い連撃を与え、ゴールを防戦一方にしている。
「攻撃を通す? ほう、どうやって?」
「あなたは片腕が封じられていて、私は片手が余っている、それだけよ」
クローゼは両手で持っていた剣を片腕で持ち、その剣をゴールの斧にぶつけたままもう片方の手で腰の短剣を一本抜き、それをゴールに突き刺す。
その短剣が刺さる直前、ゴールの瞳は青色に変わり、体に青い炎のようなものを纏う。
短剣は飛ばされ、ゴールは自身の斧を抑えていた剣ごとクローゼを払い退ける。
「クローゼ!!」
青い炎を纏った瞬間後方へと飛び退いていたミルマは払われかなりの距離を吹き飛ばされたクローゼに向かって叫ぶ。
半壊した民家に叩きつけられるように飛ばされたクローゼは瓦礫等の煙の中からゆっくりと姿を現す。
その瞳の色は、青い。
「大丈夫。私のことはいいから、自分の身をきっちり守りなさい。魔力を開放したみたいだから手強いわよ」
「く、クローゼ……?」
ミルマは初めて見るクローゼの青い瞳に一瞬驚いたような表情を浮かべた。
それを見たクローゼは声を掛けようとするが、それをミルマが遮る。
「今はいいよ! 終わったら、ね!」
ミルマはすぐに気持ちを戦闘の方へと切り替える。
クローゼもそれを聞いて視線はゴールに向けながら一言言った。
「ありがとう……」
「悪いが、ただの人間には退場してもらうぞ」
ゴールはミルマに方を向き、一歩踏み出したように見えた……が、そう見えた時には既にミルマの後ろに居た。
「っ!」
ミルマは完全に反応が追いつかず、その背中に斧が迫る。
「させないわ」
それを超える速さでクローゼが割って入りその斧を受け止める。
ゴールは笑いながら後方へ退く。
ミルマはこのままじゃ自分がただのお荷物だと感じ、必死に何かを考える。
クローゼはその考えを表情だけで読み取り、ミルマに問う。
「力が欲しい?」
考えを読まれたミルマは驚くも、すぐに頷いた。
「武器なら……いいわよね?」
クローゼは誰に聞いたのか、自分に言い聞かせただけなのか、ミルマ本人ではなく、ミルマの武器に魔法を掛ける。
「あ……」
魔法の掛かった武器を持ったミルマはすぐにその力を感じる。
「さあ、二人で終わらせるわよ」
「うん!」
さっきまでは片腕で防いでいたミルマの剣撃をゴールは斧で防いでいく。
速さも、力も先程までとは段違いだ。
その隙にクローゼは後ろに回り込み大きく剣を振るう。
斧を正面で封じられ、防ぎきれないと判断したゴールは自身を覆っている青い炎のような魔力をより一層高める。
魔力の高まりを感じたクローゼは振るった剣にさらに力を籠める。
青い光を纏った剣が炎の壁にぶつかる。
「お前、いつの間にそんな力を?」
「さあ? 私は努力家……いえ、天才なのよ。ミルマの前で無様な姿を見せられないもの」
正面ではミルマが剣を引き、弓を構え火薬の巻き付いた矢を数本放つ。
弓にもクローゼの魔力が付与されており、その矢は青い光を纏いながらゴールへと向かって飛んでいく。
斧で矢を振り落とそうとするが、その斧はクローゼによって弾かれ、武器を失ったゴールにその矢が直撃する。
火薬の爆発と魔力で強化された矢の威力は高く、怯むゴールを容赦なく切り刻むクローゼ。
「これは……。そう、全てを滅ぼすつもりなのね」
ゴールから発せられる魔力の更なる高まりを感じたクローゼは自身も魔力を最大限に高め、その力に対抗する。
「今よ」
「ばいばい、魔族の王様」
クローゼの力に動きを封じられたゴールは正面から来るミルマの剣に為す術もなく切り裂かれる。
その瞬間、ゴールから大量の魔力が発せられ、その体が爆発する寸前、クローゼはミルマの方を見て呟いた。
「さようなら、ミルマ」
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