リボルバー

@junok0514

死の虜

夏は特に嫌いだ。

暑い上にうるさい。

少しも鳴り止まない蝉の音に耳が刺激され、頭が落ちてしまう。


頭の落ちた先は、

焼き焦がされたように熱い アスファルト。


人生のうちで最もといって過言でないほど意味のない季節だ。


まぁでも、待てば終わる。


そう、これがいいたいが為に、

こんなにも夏のくだりをしたのだ。


とはいえど、夏がすき、なんて変わった趣味の方、いるの?


それはさておき、人生ってものは待てば終わっちゃうのだ、とても、儚い。

その人生の中で

魅惑の恋をしたり、

苦い恋をしたり、

友情を築いたり、

自分の地位を上げたり、

まぁ待てば終わるこの人生でみんなもがく、足掻く、そして自分の人生を美しい形で終わろうとするのだ。



いや、実に馬鹿馬鹿しい。

これ、マジで。


要するに、待てば終わるのに、人生でそんなに苦労する意味ありますか?と。

だからいつ死んでも構わないし、早く人生が終わらないかと思うほど。


平凡に過ごしてきた私にとって本気で人生が楽しいと思った瞬間なんて

四六時中惚気話をしてきたそんなにすきでもないお友達が、深刻な顔で恋人との別れを告げてきた時くらいだ。


でも無性に辛くなる夜がある。

生きてる意味がないから、

生きて生きて生きて

辿り着く場所が死 という場所しかないから、

目標がないから、辛くなる。


そんな自分が本当に嫌いだ。

そんな夜は本気で死んでしまいたくなるし、外に飛び出したくなるし、

飛び出した先で綺麗な流星群に囲まれて、最高に幸せに人生を終えてやりたいと本気で思う。


この前、飛び降り自殺の後の現場を見た。

この人は勇気を出して人生を終えた。

そんな人を、マスコミや野次馬は、

騒ぎ立て、公共に流す。


笑えたものだ。

その人の死はたかが一週間程度の話題にしかならない。そもそも話題になったところでそれがなんなのだ?

人の命を大切に、とかそういう綺麗事は、個人のエゴに過ぎないのだ。


馬鹿らしい。そんな死に方は流石にしたくない。そう思った。


だけど、死にたい。

意味がない、道がない、走っても仕方がない、そう思って目の前がまっくらになってゆくのだ。

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