えぴろーぐ

「へんたいさん、そろそろ水汲みに行きませんか」

「だーーーかーーーらーーーオレは変態じゃねぇっつってんだろッ!!!!」


すっかり日も落ちあれだけ暑かったさばくちほーにようやく夜が訪れました。しかしただ一人だけ昼間と変わらない熱さで弁を振るっているのはツチノコです。


「はぁ………クソッ!!もういい、さっさと水汲みに行くぞ」


しかしついに諦めたのか、そう吐き捨てると立ち上がりそそくさと出口に向かっていってしまいました。ちゃっかり交換した毛皮はそのままに、スナネコも立ち上がろうとします。しかし…。


「お?」


突然後ろから素っ頓狂な声が聞こえ思わず足を止めるツチノコ。振り返るとそこには奇妙なポーズで立ち尽くすスナネコがいました。両脚をくの字に曲げぷるぷると震える様はまるで生まれたての子鹿のよう。一体どうしたのでしょう。


「…何してんだオマエ………」

「え、でっでもこれうまく立て………」


ツチノコは怪訝そうにスナネコを見ながら先を促しますがスナネコは一向に歩こうとしません。いえ、正確には歩く事が出来ないのです。この時になってようやくスナネコはツチノコの毛皮が普通ではない事に気付いたのです。スナネコはしばらく考えたあと、ぽーん、と毛皮を捨てこう言いました。


「何か歩きづらいのでやっぱり返して下さい」

「………オマエエエエエェェェ!!!!今日という今日は絶対にゆるさあああああぁぁぁん!!!!!!!」


ツチノコの怒号がスナネコを襲い、その横で投げ捨てられたツチノコの毛皮はふたつとも裏を向いていましたとさ。


ほんとにおしまい

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きがえっこしましょ こんぶ煮たらこ @konbu_ni_tarako

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