最終話 終わりなんて決められない

夏も終わり、夏休みも終わった。しかし、蝉はまだ鳴いている。そんな始業式を終えた高校の図書室。

司書の森田先生が葦田 冥人と楽しく話している。

「烏目さん、旅行終わってすぐ、新作書き始めたってね。」そう切り出した司書。

「そうみたいですよね。ツイッターもまたにぎわっているんですよ。」

「そうなの。」

「ええ。何しろ、この旅行で奇跡的な、流れ星を体験できたって。とてもうれしかったって。」

「それは、よかった。そういえば、葦田くんは、さぁ、何の本で感想文書いた?」

「えーと、、、。」

こんな感じで、図書室には会話が満ちていた。


それと同じくらい、二人の掲示板にも会話が満ちていた。しかし、一時は、会話は全くなかった。それは、8月5日から6日にかけてだ。


私立高校の大きな図書館に今日ある本が返された。『あの事件の真実⑬』だ。


冒頭の図書館にもある本が今日、返された。『あの事件の真実⑬』だ。


それを返却した、二人の生徒はどちらも充足感に満ちた顔つきで、それぞれの図書館の司書が、内容を読んでみたくなったほどだそうだ。


こうして、夏休みは終わり、彼らの人生は、それらが紡ぐ世の中は、続いていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

結局いつも、一方通行 頭野 融 @toru-kashirano

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説