フリムキさんは嘘つきです。

フリムキさん。その言葉の響きでなんとなく想像がつくのですが、こいつはヤベーやつです。
振り向いてはならない。こいつが声をかけてきても、けして振り向いてはならないのです。

本作の読みどころは、フリムキさんが少年たちに行うアクションと、少年たちがその時どのように感じるか、という心の動きです。
これが非常に丁寧に描かれています。臨場感があります。
しかし本作には複数の少年が登場するのですが、この短い字数で彼らの個性をうまく書ききっている。これも、臨場感を覚えるワンパーツです。お見事だなぁ……。

で、ですね。
このフリムキさん、嘘つきです。私が知っているだけでも二つ嘘をついています。
それは、振り向いたらいいことがあるように見せかけておいて、実はやべーことになるってところだろって?
いや、まあ、そうではあるんですけど。
まずこのフリムキさん……、本作のキャッチコピーには「後ろから囁く」と書いてあるのですが……、それはそうなのですが……、

囁くだけじぇねーぞ!!!!!!

ということです。わかりましたね、未読のあなた。
フリムキさんが囁くだけだと思ったら大間違いですよ。やつの攻撃については、ぜひあなたの目で確かめてください。
あと、もう一つ、決定的な嘘……というか策略があるのですが、これはここでは書きません。
それもあなたの目で確かめてください。

その。
瞳で……。

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