第30話 先生からの手紙


 勇気へ


「国語は意味がない」「勉強しても上がらない」と、昔言っていたのを憶えていますか?


 それが間違いだということを証明したのは、他ならぬ勇気自身。


 君は本当に“努力の人”、そして、それをしっかり成果にも表わせる。


 まだ時にアセッてしまうことがあるけれど、日に日に実力がついているのだから、落ち着いて、1つ1つ確実にこなしていこう!


 これからの勇気に必要なのは、“初見の問題に対する対応力”。

 それを身につけるには、これまで以上に色々な種類の問題を解いていく必要があります。

 そしてそれをこなすための“解くスピード”も必要です。


 勇気は、先生の講師歴の中で「初めて、国語で100点をとった男」。


「学校のテストと北辰などだと違う」と勇気は言うけれど、努力しなければ点数がとれないのは同じ。

 そして、その力が勇気にはあります。


 あと2ヶ月。悔いの残らないよう、共に合格までの道のりを突き進んで行こう!

                                 栗原。




 菱沼勇気へ


 授業中に解いた北辰テストの過去問で、とうとう偏差値70!

 いつも遅くまで残って勉強している努力が、ここで偏差値になって現れてきました。冬期講習は、過去問を中心にやっていって、勇気が解けない問題を見つけて解けるようにしていこう。自習に来たときに、勉強するスペースがなかったら、先生がいくらでも作ってあげるから、いつでも言ってね。

 わからないところは、ドンドン先生に質問して下さい。


 一緒に理科を制覇して、受験の武器にしていこう! 飛田。




 勇気へ。


 誰が見ていようと見ていなかろうと、自分に厳しく、努力を惜しまない勇気。問題の解答が合っているにも関わらず、恥ずかしがって答えない勇気。最近実は先生にやっと心を開き始めた勇気。

 今やっているその「努力」は、決して勇気を裏切らないよ!!

「菱沼勇気」と書いて「努力」と読む!

 努力に勝る天才なし!!

 受験まで、共に戦おう。


 20XX年 12月 坂本拓基。




 勇気へ


 勇気は先生の1番自慢できる生徒です。

 そして1番信頼している生徒です。

 1年前に左奥の教室で君と話した時の事を今でも覚えています。

 そこから君はとても変わった。

 私から見ても本当に頑張っている。

 人に言わない努力、不言実行の精神。

 これからも続けてほしい。

 色々と伝えたいことはあるが、これ以上言うと、君が調子にのる恐れがあるのでここまでにしとく。

 とりあえず残りわずか! 1分1秒惜しんで取り組め。

「合格しました」

 この言葉を待っている。


 坂本勇気。

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