4;ミカサ

寝ぼけながらすりついてくるミカサを見ながら昔を思い出す。


ミカサは小さいときから運動がずば抜けて良かった、それにより幼稚園では怖がられ、遠巻きにされていた。

5歳で10キロの走り込みをしていて隣町の僕の屋敷の庭に迷い込んできた。


大きな木の上で本を読んでいた僕は、木を誰かにゆすられたことにより落ちた、

が、猫のようにくっと回転して着地、振り返り木の根元で正拳突きをしているミカサと目が合った。


「・・・・」

ミカサは木の上を見て僕を見る

「あの高さから落ちて平気?」

「・・・大丈夫だけど・・・君誰?」


ミカサの目がキランと光った、

「私と勝負しなさい!」

「いや・・・だから君誰?」


いきなり殴りかかってくる、

ひょいひょいと避けると、なお向きになって向かってきた


手首を取り後ろにねじ上げて地面に押し付ける

「ぐっ・・・ふえっ・・・・うわーん」

「え?そこで泣き出すの?卑怯だよ!」


腕を緩めても泣き続けた

大人(護衛)が駆けつけてその子を連れてった。

「何なんだよ・・・」


後から隣町の道場の子ってのが解って、なぜか許婚になった


それから毎日のようにやってきて勝負を持ちかける、

僕に勝つまでやると言うのでわ ざと負けたら、泣かれた。


それからは手加減はするけどわざと負けることはしないようにした。


許婚になったのもミカサの我が儘だった、

僕の意見は全く聞かれず、そのままずるずると中学生になった。

私立の軍事関係の中学に行くと僕が言ったら、ミカサも付いてきた。

毎日の勝負(鍛錬)ずっと続いていた。


そして中学2年の空手の大会でミカサが始めて僕以外に負けた。

悔しがり様はすさまじかった、ミカサの父親からの連絡で道場に行くと、大人の有段者の男性が床でうなっていた、骨折した者もいて救急車が来ていた。


まだ暴れ足りないのか、壁や床にも手を出して自分も怪我をしていた

「ミカサ!やめるんだ!」

「さとる!」

僕に向かって殴りかかってくる

「油断した!悔しい!腹が立つ!」

半泣きで殴りかかってきていた。

僕はその拳を受け流しながら

「落ち着けミカサ!周りを見ろ!」

ミカサは止まらない。

「えいなっ!」

壁際に追い込まれていた僕だったが、ミカサの腕を掴み、ねじ上げるように正面から後ろで交差させる。

そして片手でそれを固定した後、ミカサノ頭を掴んで自分の顔に近づけ唇を重ねた。


「「「「「!!!!!!」」」」」

周りの道場の人らは目をむいた


ミカサも何が起 きているのか解らないようで、動きが止まった

それを見計らって腕の拘束を解くと腰を引き寄せさらに深いキスをした。


しばらく、ミカサの唇を堪能していたら、ミカサの力が完全に抜けていた。

真っ赤になりこちらを見るミカサ

「さとる・・・・」

「落ち着いた?ほら立てるか?」

「腰が抜けて・・・・」


はっと周りを見ると、救急隊員も赤い顔をして固まっていた。

(やばっ、やりすぎた)

横抱きに抱きかかえる、俗に言う”お姫さま抱っこ”で

道場の事務室のソファまで運んだ。

ミカサは僕の服のすそを握って離さない

「ミカサ、おじさん(ミカサの父親)と話してくるから、離して」

「いや・・・・さとる・・・もっと」

「・・・・皆見てるよ・・・今度な・・・」

こくんとうなづくミカサ、さっきの行き追いはなんだったの?と思わせるくらいの大人しさだ。


おやじさんと少し話をしてミカサの元の戻り、説教だ!


「ミカサ!悔しかったな?!でもそれは全て自分のせいだろ?皆に当たるのはお門違いだぞ!怪我までさせて、それこそがミカサの弱さだ!」

「さ・さとる・・・」

「おやじさん、あんなに頭下げて・・・誰のためだ?誰のせいだ?」

「・・・・おとうさん・・・・」

「みんなに謝ろうな?そして心も鍛えような?」

「うん・・・・・」


警察も入り大事になったが、示談が成立し てミカサはお咎め無しとなった。

治療費などの負担がかなりかかったらしく、専業主婦だった母親も働きに出るようになった

それを見たミカサは深く反省していた。


「中学でたら直ぐに軍に入る、そしたらお母さん働かなくて良くなるよね」


ミカサの他の人と違うのには原因があった

遺伝子が可笑しいのだ。

身体能力が凄い代わりに切れやすい、それは軍が調べた遺伝子検査の結果を覗いたから解った。中学入学時に行われた身体検査と健康診断で血液検査も行われている。

その人に会った部署に就けるためだ、入隊時に希望を聞かれる、それを必ず無視されると言うことは無い、やる気の無いのに働くことは難しいからだ、まして命を掛ける仕事だあくまで遺伝子検査は補助だ、しかしそのときミカサは異常な数値を出していた。


「この中学から軍に行かないやつは殆ど居ないがな」

「さとるも行くんだよね、同じクラスだといいな」

(まず、無理だろな、遺伝子検査改ざんしたから僕の・・・)


僕はミカサの頭をなでる

(脳のここか・・・・)

なでながら、切れやすい所を治しながら脳をさぐる

パソコンだけではなく脳もいじれる・・・・電気信号だからっていじれるとは思わなかった

神様チートすぎ!


ミカサの切れやすい所は完璧には治せなかった、治すとミカサの運動チートが無くなるからだ。

軍に入るのに無くなってはミカサの命に関わる、それは出来なかった。

それでも、昔より切れにくくなったねと、言われているミカサを見たのでそれ以上は治療はしなかった。

ミカサと結ばれたのは中学を卒業した時、エリートコースのミカサと僕では軍の学校も地域も違って離れ離れになるから、駄々をこねるミカサをなだめるためにはしょうがなかった、本当はもう少し大人になってからのつもりだったので、親父さんたちに約束守れなかったことが後ろめたかった。


(親密になるのは大人(18)以降に!)


そう言われてたのにな・・・・


高校で、初めて本当の機動人型戦闘機に乗った!あまりの嬉しさに、調子に乗ってエリート以上の成果を出してしまった!

あせった~あせった・・・

ま、知識が皆より少し有っただけと言うことにして、最初だけであとは伸び悩み状態にしておりた!

あー全力で戦いたかったなぁ・・・相手になるやつ居ないけど!


無事、モブ機動人型戦闘機になることができました。


ミカサは遥か彼方のトップ戦闘員になっていた。


学生時代は長期休みには合えていたが 、本格的に兵士になってからは殆ど会えなくなった

でもトップのミカサの噂は末端の兵士にも聞こえてくる・・・・


敵を殲滅した話と共に

切れて誰かを再起不能にした話とか・・・・


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