若き戦士は故郷たる山を後にし、広き世界へ向かう

 山の戦士の一族の子として産まれたカブリは天賦の剛力を備え、父をも凌ぐ戦士となることを目ざして鍛錬を積んできた。しかし山へ踏み入り、父を含む同胞を罠にかけた賊をひとりで討ち果たしたことをきっかけとして新たな道へと見出す。かくて故郷を後にした彼は出会うのだ。数多の冒険へ共に臨む相棒、鉄弓のブレトと妖艶なるニグラに。

 戦士のカブリさんと弓使いのブレトさんを中心に一話完結型で綴られる本作、最初の3話を読んでキャラクターが把握できればどこからでも読める構成となっておりますよ。

 しかもです、各話が本当に多彩なのですよ。冒険あり、推理あり、訓話的小話あり、飽きさせない上に読み応えがすごい! そして綺麗に閉じられるよりもほろ苦さを残すエンディングが多いのですけれども、それがまた本作ならではの魅力——綺麗事で繕わない人間ドラマの味わいになっていて、実にすばらしいのです。

 そうそう、魔法使いのニグラさんがトリックスターとしてこの上なく機能していることも強調させていただきますよ!


(「剣閃き魔法輝くヒロイックファンタジー!!」4選/文=高橋剛)