第15話 席替え

「そろそろ、席替えしましょうか」学校が始まってから、1ヶ月ごとに先生は席替えを提案した。先生は、色んな人と話をしてコミュニケーションをみんながとれるように教育させたかったのだろうと思う。


ちなみに、席替えもプログラミングのシステムを生徒が作った。システムを作ったのは、最初は先生だったが2回目からは元プログラマーの紺野さんに変わった。


プログラミングのシステムで席替えをするといっても、結局似たような席替えの結果が続いた結果、みんなが好きな席に変わるといった感じだった。


私の席の隣は、紺野さんになった。紺野さんは、元々経験者だった事もあり授業が進んでもすぐに理解するのが早かった。それに対して、私は全くの未経験者だった為にオロオロしてばかり・・・。そんな私を見ては、紺野さんはアドバイスをくれるようになった。


紺野さんは、キーボードの打ち方から教えてくれた。「違う指を押したら、僕は注意しますから。まずは間違えないで打てるようになって下さい」と紺野さんに言われ、キーボードを間違えないようにを意識するものの、間違えたらいけないと思えば思う程キーボードを見てしまうようになった。


「それじゃ、いつまでたってもプログラミング作成できないですよ。」と言って、隣で笑う紺野さん。しどろもどろな私の代わりに、プログラミングを打ってしまう事もしばしばあった。


ただ、ある日全く紺野さんが私に助言しない日があった。「今日は、何も教えてくれないんですか?」と尋ねると、「先生に言われたんですよ。僕が、佐藤さんに何でも教えてしまうと佐藤さんは自分の力で何もやろうとしなくなるからって。だから、まずは自分で考えてやってみて下さい・・・。」と紺野さんに言われてしまった。


先生は、恐らく私が段々紺野さんに何でも聞くようになってしまい、自分の頭で考えようとしなくなっている事に対して心配するようになっていたらしい。でも、私に直接言わないんだね、先生。


先生の顔を見ると、キョロキョロと挙動不審な顔をされてしまった。どうやら、紺野さんに自分が助言している事を知られたくなかったようだ。


しかし、紺野さんが私に助言しない日はこの時だけだった。結局、先生の忠告を我慢できないほど、私に色々と助言したくてたまらなかったようだ。恐らく、自分が何でもできてしまうから、わからない人が隣でオロオロしているとイライラしてしまう人なのかもしれない。


紺野さんの教え方は、ややスパルタ的で「どうしてこうなるのか、佐藤さんわかりますか?考えて下さい」と、わからない原因から追究する所から始まった。正直、何もわからない人からすればプログラミングの組み方のわからない部分の原因なんで、どんなに考えてもさっぱりわからないのだ。


うーんと唸っていると、いつも後ろから先生が結局助けに来てくれるのだが、紺野さんは先生にも辛口で「僕が佐藤さんを一人前に育てるんだから、放っといてください!」と突き放していた。


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