第9話 今思えば、異世界転移ってマズくないですかね……。

いやーこんな気持ちの良いベッドをつくってもらって、芽衣めいには感謝しかないな。

いや、謝罪も必要だな。

あんな小柄な子に1人でやらせて、俺は呑気におしゃべりして呑気に寝るって。

酷すぎる。

どんなことしても俺は土下座をしなければならないのか……?


ていうかベッドだけじゃなくて、夕飯も風呂も用意してもらったしな。

しかも、初対面で。

天使かよ。

そして、どんなことをしても、やはり俺は土下座をしなければならないらしい……。


ああ、息子が高校生にも関わらず至る所で土下座してるのを知ったら、親は一体どう思うのだろうか。

あんな姿絶対見せられない。


まあ、父親なら天国で見てるかもしれないけど。


ただ、数年前からの犯人も殺害方法もわかってない謎の未解決連続殺人事件に父が巻き込まれてから、女手1つで育ててくれた母に、こんな情けない姿を見せることは絶対に許されないことは確かだ。


いや、そもそも普通の姿を見せることが出来るのか?

一体向こうの世界では俺はどういう扱いになってるんだ?

転生じゃなくて転移だし体は向こうにないだろうけど、それにしても母が気の毒過ぎるぞ。夫は殺人事件に巻き込まれるし、息子は音沙汰もなく消えるし。


母の為にも、これは一刻も早く元の世界に戻らないとだな。

いや、母が気の毒だから仕方なくという訳じゃないぞ?

確かにこっちだと美少女とほぼ一日中過ごせるけど、普通にこの先が不安すぎるんだよ。

とりあえず明日はお使いするとしても、全力で生き残るとしても、俺はこれからこの世界でどう生きていけばいいのか分からないし、これからも生きていくとしても肉体労働ばっかだろうし。

美少女と過ごすのは良いけど肉体労働は嫌すぎる。

元の世界なら、少なくともここよりは好きなことを仕事に出来るだろうし、好きなことなら多少大変でも耐えれるだろうしな。まあ、きっと高校、大学でいい出会いもあるでしょう。知らんけど。


俺は一体なんの話しをしてるんだ、もう明日に備えて寝よう。

お使いっていっても何が起こるか分からないのが異世界だ。

しっかり英気を養っておくことに越したことはない。

備えあれば嬉しいなだか憂いなしだか言うしな。

知らねえよ早く寝るぞ。

どうやら4・5・7ぐらいの感覚でで息を吸う止める吐くを繰り返すといい感じに熟睡できるらしい。

ということで、

吸ってー


止めてーー


吐いてーーーー


吸ってー


止めてーー


吐いてーーーー


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どう嘆いても、やはり俺は無能らしい……。 スクラッパー田中 @scrap_tanaka

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