被害者:3名 警察内部の混乱と昇格 総監没す

 大きな一報が入ったのはその時だった。


 purururu………

 竹下の携帯が鳴った。

「 誰から、ですか? 」


 竹下は携帯をパコッと開けた。

 馬場からだった。

「 何でしょうねえ、何か悪いことでもしましたか?私たち 」

 鋭く中沢が突っ込んだ。

「 今さっき、出禁のところに入ったじゃないですか。あれ以外に何がありますか? 」


 竹下は「 気が進みませんねぇ、 」と言い、携帯にでた。

「 はい、こちら竹下 」


 数十秒で電話は終わった。

「 今度は、どんな処分ですか?交番に左遷ですか? 」

 随分交番を悪く言うものだ。

 日本の交番制度は世界各国で「Koban」として、取り入れられているのだ。(だからなんだ。)



 竹下は惜しそうに話した。

「 総監が、何者かに殺害された模様です 」


 びちゃっと音がした。

 中沢がコーヒーを落とした。

 シミが広がる。


「 詳しいことは分かりません。取り敢えず警視庁に乗り込みましょう。

 おそらく庁内はいま、混乱しているでしょう。絶対来るなとは言われましたが。

 中沢くん、早く、車をお願いします 」


 中沢は急いでコーヒーを拭いている。

 シートには付いていないようで、すべてスーツが吸い取ってしまっている。

 中沢の顔から血が引いた。


 竹下は見かねて運転席に割り入った。

 中沢の動悸が止まらない。

 中沢を助手席に押す。


「 たっ、竹下さん、m、免許、持ってるんですか? 」

 暫く考えてこう返した。


「 随分昔ですが、ゲームでやったことがあります。多分……小学生の時なので40年くらいは前かも知れません 」

 というが早いか踏むのが早いか、車は急発進した。

「 おっと、踏みすぎですね…… 」


 中沢は倒れた。

 スーツ、無免許運転、安全性、総監、出世、車……と呟いている。

「 緊急性ありと判断しました 」

 竹下は悠々といった。

 彼も立派な犯罪者であるが、ばれなきゃ犯罪じゃない、と誰かがいった。

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