自賛

「 で、だからと言って他に何か考えられますか? 」

 竹下は一旦ケーキを膝の上に置き、コーヒーをすすった。


「 一つ、私が考えていることがあります 」

「 竹下さん、それは? 」

「 あの学校、やはり上とくっついている、そう考えれば全て筋が通る気がします 」


「 とはいえ、なぜ上とくっついているのでしょうか? 」

「 まず、先ほどの質疑応答の内容を改めることからです 」

 中沢は車が少々窮屈なようで、再び座りなおした。

 この車を選んだのは他でもない彼である。


「 一つ目の質問に関しては、校長が上層部に融通が利くのであるから校長自身が馬場さんらを動かせましょうし、警察、学校、双方警察と裏で繋がっているとわかれば面倒なことになりますから、利害関係が一致した、ということでしょう 」

「 二つ目に関しては? 」


「 あれは事実でしょう。馬場さんに言われたのでしょう。

『 彼らは優秀な刑事です。お気をつけてください 』とでも言われたのでしょう 」

「 自画自賛なんて、竹下さんらしからぬ感じです 」


「 そして三つ目の質問。答えに詰まっていましたね。

 優秀な刑事だ、だから入れるな、と言われたなどと言えません 」

「 なるほど。で、最後のは。厳罰を望んでいない校長の意向が反映されている、と 」

「 そうです 」


 上層部と校長が繋がっていると考えるのが自然。

 となれば警察の信頼を揺るがすことになりかねない。


 竹下はコーヒーをぐびぐびと飲んだ。

 情緒不安定。

 この言葉が今の彼にぴったりだ。

 なにせ彼はその性格により上に気に入られ出世し、一課に入った過去があるからだ。


 一方の竹下は何度も同様の危機に見舞われ、その度に迷宮入の事件を解決し、捜査へ復帰している過去がある。(自業自得感は否めない。)

 今回はかなり大きな事件だ。

 これは難しいが捜査権が返ってくる可能性も、極めて高い。

 そう思っている。


 竹下は残りのケーキをゆっくり口に運んだ。

 糖質は分解されて、ブドウ糖になる。

 ブドウ糖は脳の唯一の栄養源であるから、炭水化物抜きダイエットはダメなのだ。

 朝ごはんはしっかり食べよう!

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