訪問

「 さて、困りました 」

「 竹下さんが困るなんて、珍しいですね 」

「 どうやって校長と上との関係性を調べましょうか。考えなしに外へ出て行ってしまったので 」


「 その……、害者二人の近辺を調べてみますか。遠回りですけど 」

 竹下は手を叩き賛同した。


「 それでいきましょう。そうですね、当時の卒アルなんてあればいいんじゃないですか? 」

「 しかし竹下さん、卒アルってどうやって入手するのですか? 」

「 害者の自宅に行ってみてはどうでしょうか? 」

「 ありますかね? 」

「 なかったらその時はその時です 」


 中沢がグーグ○マップを開いた。

「 iPhon○Xですか、いいですね。私もちょっと気になっていて 」

 因みに竹下はガラパゴス携帯である。


「 画面は大きんですけどね。悪くはないんですけど。アプリの対応がまだなものも、あって 」

「 へえ、 」

「 ほら、二人目の害者の自宅。ここですね 」

「 水戸ですね。管轄外ですね。無論、行きますが 」

 中沢は列車案内から行き方を調べる。


「 じゃ、行きましょうか 」

「 本庁の権威をかざせばなんとかなります。おそらく 」

「 というより、君はなぜ森さんの自宅を知っているのでしょうか 」


「 サイバーセキュリティ課に、同期がいて 」

「 なかなか、やりますね 」

「 やりますよ 」


 二人は霞が関駅に向かった。

 昼は結構空いている、この国の中枢都市である。

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