高校

 翌日。

 竹下と中沢一行は朝早くから外へと向かった。


「 竹下さん、どこいくんですか?そろそろ教えてくれてもいいじゃないですか 」

「 まあ、ちょっと 」

 北風が木々をたなびかせた。


 ー私立東山高校ー

 正門にそう書かれているが錆びてなかなか読みにくい。

「 高校? 」

「 二人目の被害者の共通点です。同じ高校の出身でした 」


「 ……なぜまたそんなことを知ってるんですか……?身元特定早くないですか? 」

「 鑑定の方は、偉大です 」


「 さあ、入りましょう 」

「入って何するんですか?まさか高校の先生に聞き取りを行うのですか? 」

「 それ以外になにがありましょうか 」


 何か聞いてわかるものなんですかねぇ、と中沢が呟いた。

 竹下はずかずかと歩いて行った。

「 ちょっと竹下さん、いきますから、置いて行かないで下さい…… 」

 学校って捜査を断る傾向にあるんだよなぁ、と中沢はつぶやく。


「 授業だりー 」

「 マジやってられねーわ卍まんじ 」

 構内をちょっと歩く。

 授業中に関わらず教室は異常にざわざわしている。


「 今調べたところ、ここ、底辺校っぽいですよ 」

「 こらこら、そんなこと言ってはいけませんよ 」

「 あ、はい。すみません 」


 後ろから教員が声をかけてきた。

「 警察の方、今校長に案内いたします 」

「 ありがとうございます 」


 ー校長室ー

「 え……生徒たちのお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありません 」

 開口一番校長は頭を下げた。

「 いえ、お気になさらずに…… 」


「 本日はどのようなご用件で……? 」

 竹下は警察手帳を出しながら

「 警視庁捜査一課、竹下です 」

「 同じく、中沢です 」

 二人が会釈しながら挨拶した。


「 早速、本題に入らせていただきます。

 この度、この高校の出身である井村剛さんと森昇さんが殺害され、警視庁は連続殺人と見て捜査を行っています 」

「 え、二人目の害者の名前知らなかったんですけど…… 知ってたなら先に教えてくださいよ!」

 中沢は複雑な感情に晒された。

 ソファーがギシギシいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る