第5話 説明会

「って、僕現実世界に戻されんの?」

「はい。言ってませんでしたか?1度現実世界に戻って仲間を1人決めて一緒に異世界に行く予定ですよ。」

「仲間?」

「以前、勇者として旅立った方から1人は寂しいと苦情が来まして、それから仲間と共に異世界転移することに変わったんです。」

「仲間にもスキル貰えるんですか?」

「はい、仲間にもスキル付与がありますよ。」


 なら安心だな、でも仲間って誰と行こう友達はほぼゼロ知り合いもいないこのニートくんと行ってくれる人なんているのかな。

 まあ、いざとなったらアイツでいいや。


「なにか質問はありますか?」


 質問って言われても。収納の時の呪文聞いてみるか。


「収納の時に言ってた呪文って何なんですか?」

「収納を使うのに呪文はいりませんよ、ただ出したい物の名前を言わなくては行けないだけなので。」

「ならあの時に言ってたのって本の名前?」

「はい、あの本の名前を言ってただけですよ。」

「20000冊の本の名前を全部ですか?」

「はい、あなた達の約10000倍くらいの速度で喋っていたので呪文のように感じてしまったのかもしれませんね。」


 すごいな20000冊の名前を覚えてるのもすごいが、1万倍の速度で喋るとか、これが種族の違いってやつか。

 ん?じゃあ僕が収納使う時も名前をいちいち言わなくちゃいけないのかな、そこんとこどうなっているんだろう。


「僕も収納からものを出す時に名前を言わないといけないんですか?」

「いえ、取り出したいものをイメージするだけでもいいんですけど流石に20000冊もイメージするのは大変だったので。」


 そうか、流石の女神様でも20000冊もイメージするのは無理なのか。一括りにして本棚にでも入れておけばいいのに。


「なるほど、その手がありましたね。教えていただいてありがとうございます。」


 びっくりした。そう言えば女神様は心を読めるんだっけ。

 ていうか教えてないし、相変わらず無茶苦茶だな。


「他に質問はありますか?」

「勇者スキルで筋力が上がっているんですよね。そんな感じがしないんですけど。」

「元の世界に戻った時に不自由しないようにまだステータスアップはしてませんよ。」


 そうなのか、まあいきなり強くなってドアノブを握った時に握りつぶしたら嫌だものな。


「他に質問はありますか?」

「言葉ってどうなっているんですか?」


 そう言葉、異世界物だと何故か通じるけど今回、通じなかったら大変だからな、ちゃんと聞いておかないと。

 だって…


「大丈夫です。あとで私が教えてあげますから。」

「すごい力で何とかしてくれるんじゃないんだ。」


 ってなるからね。みんなも気をつけよう。

 ーこの後の女神式勉強法(スパルタ)で言葉を覚えさせられて精魂尽き果てたのは言うまでもない。(でも言う)


「質問はありますか?」


 あっついに「他に」が無くなった。女神様も疲れたのかな。

 でも聞きたいことは全部聞いたし、どうしようかな女神様の|最大の秘密(スリーサイズ)でも聞こうかな。


「もう質問はありませんね。」

「いえ少し聞きたいことが。」

「もう質問はありませんね何も聞くな。」


 ちっ黙殺された。聞きたいことは聞き終えたからいいけど。


「では、元の世界に送りますので、早めに仲間を選んでくださいね。」


 やばい、元の世界に帰ること忘れてた。


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