第2話 気に入らない病

唐突ではあるが私の患っている病について話をさせてもらう。

「気に入らない病」である。名の通り、多くのことが気に入らないという不治の病である。産まれながらの病で、思春期を迎える頃にはすでに末期的な症状を見せ始めていた。

少し例を挙げさせてもらえば、勉学や交友関係、恋愛などで本気で頭を悩ませ、一喜一憂する人間が気に入らない。

このネット社会、調べれば、ものの数秒で出てくる物事を頭に詰め込み、紙切れ一枚に書かれた数字に一喜一憂する、他人からの評価の為に勉強してる人間が気に入らない。

構築しては、無駄になるような人間関係を必死になって守護している人間が気に入らない。

異性に依存しなければ生きられないのか思える恋愛脳、組み合わせを変えては、でかいだけで中身はスカスカの言葉を交わし、体を求め合う。そんなことに本気になれる人間が気に入らない。

そのような気に入らないを積み重ねて生きてきたのだ。1つ積み上げるごとに、自分の卑屈さや醜さに押し潰されそうになってしまう。溜まっていく不満と自己嫌悪でこの瞬間にも発狂死してしまいそうだ。

日々自分を慰めることに精一杯の生活を、恥ずかしいことに18歳になる今まで続けてきた。他人を嫌う精神は自分への裏返しだということから必死に目を逸らしてきたのだ。

気がつけば目に付くもの全てが気に入らず、結果的に、社会という大組織が気に入らないという結論に至ったのだ。

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